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君を好きになるのは、何度目だろう。 ~親愛度100で記憶を共有したヒロインたちと、一週間ループを攻略する〜  作者: 月雲 天音
第3章

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第22話 特別な1日

 その日の夜、いつものエントランスで優花さんを待つ。


 これまでのように自動ドアを入って来る。


「優花さん、こんばんは」


「奏多くん、今朝ぶりね。こんばんは。こんな所で待ちぼうけ?」


「……うん、優花さんを待ってた」


「え?何?大人をからかっちゃダメよ」


「からかってないよ。本当だよ……今朝、久しぶりに優花さんと話したら、もっと優花さんと話したくなった」


「ふーーん。どういう風の吹きまわしかわからないけど、私で良ければ話し相手になるわよ」


「ねぇ、優花さん大学生活は楽しい?大変?」


「そうねぇ。大学の講義や課題にバイトもあって忙しいし、いろいろ大変な時もあるけど、友達と遊んだりして楽しいこともいっぱいあるわよ。奏多くんも大学進学希望かしら?」


 優花は、手で子供の頃の奏多の身長を示しながら、微笑んで答えた。


「うん、進学クラスに進んだから大学のことが気になって」


「そうかぁ。この前までこんな小さかったのに、奏多くんも大きくなったなぁ。あ、そうだ」


 そう言った後、優花さんは持っていたポーチの中を探り、ラップで包まれたドーナツを取り出した。


「今日の売れ残り。これあげる。ドーナツでも食べながら、勉強がんばるんだよ」


 去ろうとする優花に声を掛ける。


「優花さん、次のバイトの日はいつ?」


「ん?どうしたのかな?」


「また、こうやって話したいなって思って……」


「あらあら、そうねぇ……バイトの日は……ふふふ……秘密」


「えー?」


「また、偶然会った時に、話聞いてあげるよ」


――それ以上は踏み込ませないという線引き。


「つまんないのー」


 子供っぽく拗ねて見せる。


「うふふふ。子どもなんだか、大人びてきてるのか分からないね、奏多くん」


「……それじゃあ、またね」


 一歩踏み込めば、やんわりと戻される。


 まるで、見えない壁があるかのように。



 この周は、これ以上優花と会うことはなかった。


 5人目の候補も見つからない。

 

 そんな状況だから、金曜日の作戦会議は行わなかった。


 そして、週末を迎える。


――――――――――


 土曜日。


 改札を出てきた凜は、ピンク生地に白いドット柄のノースリーブのワンピースをまとっていた。


「おはよう」


「おはよう、凜。今日のワンピース、似合ってて可愛いね」



 朝なのに、日差しは強く、既に暑くなり始めている。


 でも、そんなこと気にせず、手を繋ぎ二人は図書館へ向かった。


 今日は、ゆっくりとそれぞれの好きな本を並んで座って読んだ。


 お昼は、凜お手製のお弁当を食べる。

 凜の弁当はみるみる上達していて、見かけからとても美味しそうだ。


 いつもの心休まる土曜日を二人は過ごした。


――――――――――


 日曜日。今日も天気は晴れ。


 彩芽との待ち合わせ場所に行くため、マンションを出る。


「やっほーー!」


 彩芽が待ち構えていた。

 黄色いTシャツにショートパンツ姿だった。


「あれ、駅で待ち合わせじゃなかった?」


「かなたんの家、駅に向かう途中にあるし……ほら、少しでも長く会いたいじゃん」


「あやむん、赤くなってるよ」


「赤くなってないし!てか、ここで『あやむん』を出すのやめろ」


 怒ったそぶりをした後、彩芽はケラケラと笑う。


「さて、今日はどんな『特別な日』にしてくれるのかな?かなたん」


「ハードル、上げないでもらっていいかな?」


「あはは、あたしを満足させるためがんばるんだ、かなたん」



 アクセサリー店に行き、初デート記念に大きめのリボンの髪留めをプレゼントした。

 彩芽は、とても喜び、すぐにその髪留めをはめた。


 「かなたん、どう?似合ってる」


 「うん、可愛いよ。今日の服装にもぴったし」


 「良かった。ほんとにありがとね、嬉しい」


 お昼は、彩芽がどうしても行きたいパスタの店があると言い、そこでパスタセットを食べた。


 午後からは、チェーン店のカフェに行き、それぞれ好みの飲み物を頼んで、たくさんおしゃべりした。


「あやめお嬢様、今日のデートはいかがでしたか?」


「とても楽しかったぞよ」


「ぞよ?」


「変な振りをしたかなたんが悪い」


「あはは。楽しかったなら良かった」


「うん、ほんと楽しかった。プレゼントも貰ったし、『特別な一日』になったよ」


「それはよかったでござる」


「ござるって何だよ」


 彩芽はケラケラと笑う。


「さてさて、デートはそろそろ終わりかぁ。明日からかなたんは、また『攻略』だね」


「うん、そうだね」


「他の女の子、口説くのは嫌だけど……私たちのことが無かったことにならないようにするために……がんばってね」


「うん、がんばる」


「あー、でも、やっぱりなんか嫌だなー」


「あはは。学校の下校は一緒にできるから」


「その言い方、嫌だー。てか、夏休みにもうすぐ入るし!」


 笑いながら彩芽は言ったが、本音だろう。

 夏休み、オレたちの進学クラスは課外がある。でも、彩芽たちの情報クラスは課外はない。



 優花さんとの間にある見えない『壁』。

それを壊す方法は、まだわからない。


 でも、凜や彩芽と過ごした時間を、無かったことにしたくない。



 だから、オレは。

 また次の『月曜日』へと向かう。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

33話まで毎日夜9時に投稿します。引き続き、お読みいただければ嬉しいです。

ブックマーク、リアクション、評価、感想等、とても励みになります。いただけたら有難いです。

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