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暁の少年  作者: 川里麗ニ
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第3話 帝都動乱2

夜明け前の薄紫色の空の下…、広大な敷地面

積を誇る屋敷の一角に建てられた宿舎の中に

彼は居た…。歌姫の屋敷と言われる敷地内の

一角にある、歌姫の騎士専用の小さな宿舎で

歌姫の騎士アイオーンは、一晩中…、読書に

励んでいた。アイオーンが眺める書物は、伝

承の頃より、帝国に培われてきた魔術の本。


海に面した帝国の首都は、海外からの知識も

得ているため古今東西の魔術書が収集されて

おり、魔術を学び…対…魔法使い戦術に特化

したアイオーンの知識の宝庫である。


暁の精霊王と、謂われる由縁の夜明け前の空

の色と同じ、薄紫色の魔眼を輝かせ魔術書を

紐解くアイオーン。一言一句を記憶する魔眼

の能力を使い、ただページを捲るだけで…、

アイオーンは、独学で、対…魔法使い戦術に

思考を巡らせていた…。


アイオーンは、この帝国の中枢を担う歌姫信

仰の中心である…歌姫を守護する役職…歌姫

の騎士であるが…、そのじつは、一般的な帝

国国民に劣る混血の底辺魔法使い。微弱な魔

力を糧として、四大精霊を喚び、八百万の神

である暁の精霊王を使役する事ができるが…

所詮は、虎の威を借る狐状態である…。


自分が弱いと思うなら、学べ!そして…強く

なりたいなら強者を模倣しろ!!


それが…アイオーンの師である黄金の焔の指

導…。微弱な魔力しかない底辺の魔法使いに

精霊達と契約する様にとも勧めたのも、また

黄金の焔である…。


(暁の精霊王…か…)

と、在りし日を思い浮かべ身震いするアイオ

ーン…。と…、そこへ…「暁の主様…?」と

聞き慣れた声がした。


身震いをしたアイオーンを心配し、彼の顔を

覗き込むのは、原始の時代から存在する風の

精霊…シルフ…。


(また勝手に…)と、詠んでもいないのに現

れた風の精霊の姿に毒づきながらも…、アイ

オーンは、何も語らない。アイオーンが使役

する精霊達の中で最も協力的なのは、他でも

ない…、黒髪の少女を模した風の精霊だ…。


少し自分の過去に触れたアイオーンは、(そう

言えば…、最初に契約したのはシルフだった

な)と、幼き日を思い浮かべるアイオーン。


微弱な魔力を糧に魔法陣を描き…召喚した、

初めての精霊は、風の精霊だった…。


「私を使役したいのなら、屈服させてみなさ

い!!」


と、挑戦的だった筈の風の精霊だが…なにを

思ったのか?三日三晩の死闘の末…、風の精

霊は、アイオーンに頭を垂れた。しかし…、

実力で勝てた訳ではない…。何故?アイオー

ンに使役される道を選んだのか?は、十数年

経った、現在も謎のままである…。


(精霊は、純粋な魂を好むと謂うけど…)

と、当時を振り返るアイオーン。物心がつく

前から居た孤児院から、先代の歌姫に拾われ

黄金の焔へと引き渡された過去…。当時は、

とにかく歌姫の騎士になる事を願っていた。


何故?そうしたかったは、幼い憧れであり、

今の自分があるのは、精霊達のお陰であり、

在りし日に起因している…。


机の上に置いた騎士の勲章を手に取り、在り

し日を思い出す、アイオーンは、そこで夜が

開け始めている事に気付く…。


「悪い…心配させたな」と、シルフの頭を軽

く撫で…、宿舎を後にするアイオーン…。


「お姫様を護る英雄…か…」

と、呟くアイオーン。(そうなれているなら…

少しは、誇らしいな…)と、自虐を込めたア

イオーンは、朝の禊へと向う…。


騎士勲章 在り日の情景 現在の歌姫を思い

浮かべながら…。

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