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暁の少年  作者: 川里麗ニ
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第2話 幕間2

とある日の帝国の首都。そのスラム街の一角

にある、ブティック店の店内で、アイオーン

は、自分の財布の中身を確認して、青ざめて

いた。歌姫マリアは、売春行為を邪魔してし

まった幼い売春婦へと…洋服をプレゼントし

たい!との事でブティック店に入店した歌姫

一行だが…、このスラム街に訪れたのは公務

ではない。歌姫が学業を終え…その帰り道で

の出来事。アイオーン以外にも、陰ながらの

護衛は、ついているが…歌姫の私的な行動の

際は、その経費は、全て、その騎士が負う!

と、言う事になっている。


「女の子なんだから…お洒落くらいはね…」


と、謂う歌姫に、少しは共感するが…、

スラム街の性質上、違法な手口で商品を揃え

るスラム街の店は、時価の倍の値をとる、ぼ

ったくりである。


(また、年俸…削るのか…)

アイオーンが歌姫の騎士になり、十数年、

歌姫マリアの自己満足につき合わされてき

た。アイオーンは、既に10年分の年俸を

歌姫の私的な行動に溶かしていた…。


頻りに試着室と店内を出入りする幼き売春婦

は、円満の笑みで、「これにします!」と、

試着室から、顔を覗かせる。淡いピンク

色の羽織りと、白のブラウスにスカート…。


「うん!似合うと思うよ!!」

と、声を弾けさせるマリア…。


それ以外にも、幼き売春婦に数着プレゼント

する歌姫…。アイオーンは、手痛い出費と、

思いながらも支払いを終えて…ブティックを

後にする…。


「今日は、ありがとうございます!!」

出会いこそは波乱で、あったが幼き売春婦は

歌姫をお気に召した様子。夕暮れ時のスラム

街に溶けていく、売春婦の背中を眺めるマリ

アは、不安げな表情を浮かべていた。


「ねぇ…オリン」

と、不安げな表情をアイオーンに向けるマリ

ア…。皆まで言わなくても歌姫の騎士は、歌

姫の思考を読んでいるが…敢えて言葉を待つ

…。


「あの子…、大丈夫かな??」

「そぉ言う、生き方もあるんだ…」

と、現実を突き付けるアイオーン。歌姫は、

俯く…。帝国の絶対的な支配。階級社会の

エトセトラを歌姫の騎士は、歌姫に学ばせて

きたつもりだ。直ぐに言葉を紡がず沈黙する

のは、その辺を歌姫も考慮しての事だろう。


「でも、やっぱり…私は、あの子に売春なん

てして欲しくない。あの子の事…歌姫の屋敷

で、雇えないかな??」


「犬…猫…じゃあるまいし、拾った後の責任

は、どう取る。歌姫の屋敷の使用人は、帝国

の試験を受けた一流の使用人だ。そこに歌姫

様の息が掛かった者が流れれば、誹謗中傷の

いい的だ…」


「でも!」と、喰らいつく歌姫にアイオーン

は、ため息を付き、「俺は、責任を負わない。

俺は!!…な」と、歌姫の懇願を了承する。


スラム街の住人は、報酬さえあれば…身内も

売るが、独特の結束感がある。恐らく、あの

売春婦の事も、報酬さえ与えれば教えてくれ

る。しかし…ながら、荒事になる場合も想定

される。その時…、歌姫は、重荷だ…。


アイオーンは、自分が動く!と、陰ながら

歌姫の護衛に付く猛者達に合図を送り、陰

ながら、歌姫を護衛する1人の女性が…物影

から、現れた。


柔らかな微笑みを浮かべる女性…。アイオー

ンは、「歌姫をよろしくお願いします」と、

だけ告げる。女性は、視線で了承し、歌姫の

背中を支える。


「それじゃ…ちょっと行ってくるから」

と、歌姫に背中を見せるアイオーン。

「あっ!オリン!!」と、呼び止める声に

耳を澄ますアイオーン…。


「夕飯までには…帰ってくるよね??」


その言葉に、アイオーンは、在りし日の事を

思い出し、歌姫に背中を向けたまま唇に笑み

を浮かべた。


(あれは…いつの頃だったろう…)


と、在りし日を、思い出し、(まったく…)

と、心の中で、ため息を付く…。


この歌姫様は、先に食べられる事を了承して

いるのに、自分は、共に食卓を囲う者を待っ

ている…。


(あまり時間は、ないか…)と、暮れ行く

情景を眺め、アイオーンは、スラム街の奥

へと溶けて行った。


日は沈み…闇夜が辺りを支配する時間。ス

ラム街の一角を統治する領主の屋敷に、あ

の幼い売春婦は、いた…。月明かりが指す

領主の寝室で、行為に溺れる領主と、幼き

売春婦。行為が終わったのち領主はベット

に身を投げ…幼き売春婦は、その隣にいた。


「ねぇ…領主様。一度だけでも、いいんです

名前を呼びながら抱いてくれますか?」


幼き売春婦が思い浮かべのは、昼間にあった

少女と少年。(温かい人達だったなぁ…)と、

回想に浸る幼き売春婦は、領主へとはじめて

のお願いをしてみた。次の瞬間!領主は険し

い表情で、売春婦の口を塞ぎ…。静かな声で

一喝した。


「どう言う経緯かは、知らんが…娼婦程度が

図に乗るな!!」


それは幼き売春婦も分かっていた。しかし…

あの二人組が脳裏に焼き付いて離れない。そ

こで、売春婦は気付く、優しくされた事がな

い事を…。自分の生い立ちを思い返し、瞳に

涙を浮かべる幼き売春婦。その様に刺激され

たのか、領主は、バスローブをはだけさせ、

再び行為に及ぼうとした。その…瞬間!!

正門を突き破る轟音が響いた!!


「敵襲ーーー!!」と言う叫びと共に一気に

騒がしくなる、屋敷の外と内側。


領主の寝室の扉がノックされ、1人の使用人

が、領主に告げる。


「敵襲です!!」

「数は!?」

「1人です!」


嘗ては、名のある魔法使いの一族だった領主

は、(1人…?)と、思考を巡らせる…。


(スラムの連中は統治下にある。何者だ)

と、はだけさせた、バスローブを正し…、

寝室から、バルコニーにでる領主。そこで

嘗て名のある魔法使いは、因縁の相手を目撃

した…。


月明かりに晒される玄関前の広場…。そこに

累々の屍の山を作り、バルコニーへと視線を

向ける少年……。


「アイオーン!!」と、領主は怒りと苛立ち

を混ぜ…その名を口にした…。

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