018 思いつきクッキング
「ルシカ、そこでゆっくり待っててくれ。驚かせたいんだ」
「ん、わかったわ。ケントがそう言うなら甘えちゃう! 楽しみにしてるわね」
本日分のマテリアルガチャはまだ引けないので、今あるマテリアルで勝負します。
今回はなんと2品、やるぜ……俺は。
「まずは味噌とドラゴン白モツ、大盛りニラを半分にして1枚分だけ使用。これに通常うどんを組み合わせる。ナビちゃん、俺のイメージ通りになんとか組み合わせてくれ」
『なるほど……。なるほど、承りました……』
しっかりとした味噌味の煮込みうどん、それに熱が通ったぐらいのニラと、器の半分を隠す量の白モツ!! 味噌の風味を吸ってぷるっぷるの、美味しい美味しいドラゴン白モツの味噌煮込みうどんだ!!
『……完成、致しました。【ドラゴン白モツ味噌煮込みうどん】、お値段は……5000UMPです』
「おお……」
高え。泣きそう。
『……モンスターガチャ産の要らないモンスターを分解し、UMPに還元しますか? 半額程度は返ってきます』
「え!? じゃあ、えっと……低レアリティのやつはほとんど分解で!!」
『うどんぶりスライム以外の各種1体をのみ残し、9000UMPになります』
「オーケー!」
昨日勢いでガチャしたやつ、分解させて貰った……。まあ引きすぎたよね、わかる。やり過ぎたよ。
「さぁて、それじゃあもう1品……」
『うどん生地、豚バラ肉、ニラ、調味料マテリアル……ですか?』
「ああ! これで今からもう1品作る。いいかナビちゃん、俺が今から作るのはうどんと言って良いかわからない、かなり冒涜的な料理だ。でも俺は、これが食べてみたい!!」
さあもう1品。ナビちゃん、俺の考えを受け入れてくれ!!
『…………なるほど。そう、使いますか。な~るほど』
「こいつを焼いて、こう……こうっ……!!」
『複数の調味料が必要なので、この選択型ではない調味料マテリアルの使い所としては完璧ですね』
だろぉ~!? これさ、閃いた時に天才的だと思ったんだよ!! なあ、作ってくれるよな!? サイドメニューだけど、いいよな!?
『大丈夫です。ダンジョンマスターの想像通りのもの、完成致しました』
「おお!!」
『【うどんギョーザ】、お値段は……500UMPです』
「や、安い!? 良いのか、この値段で!?」
『良く見てください。高級なマテリアルは使われていません』
「……おお、確かに!!」
きったぁあああああ~!! うどん生地でギョーザの皮を作って、普通のギョーザと同じように焼いたサイドメニュー……。俺の想像通りなら、このギョーザはかなりのもちもち触感でジューシーな……。
「ルシカ、完成したぞ!!」
「あら、じゃあ早く食べたいわ!! 楽しみだったのよ!!」
『新メニュー、2人前ずつですね。まず先に【うどんギョーザ・2人前】どうぞ、お待ちどうさまです』
「…………ねえ、この、包まれてる食べ物は?」
「ああ、うどん生地で皮を作ったギョーザだ!! これをうどん料理と言い張るのは少し気が引けるが、俺はありだと思う!!」
「5個もあるわ!! なんだか香ばしい香り……ねえ、食べて良いかしら!」
いやいやいや、ちょっとお待ちになってくださいよルシカ様。今ね、メインディッシュが到着するでしょうから!! 俺はねえ、これを閃いてやりたくて仕方なかったんだよ。
『【ドラゴン白モツ味噌煮込みうどん・2人前】お待ちどうさまです』
「わっ!? こ、これが……さっきミソ? モツ? って叫んでたうどんね!」
「ドラゴン白モツの、味噌煮込みうどん!! いつもの醤油ベースとは違う、濃厚でパンチのあるスープだぞ!」
「どっちも美味しそうー!! いただきまーす!!」
「ああ、いただきます!!」
だろ? そして、ここからが!! ドラゴンなんです!!
「それでな、ルシカ……。俺は……これがやってみたかったんだ」
「うん? 何を……ギョーザを……?」
ギョーザを、濃厚な味噌煮込みうどんに入れて、スープと一緒に食べちゃいます!! レンゲに乗せたスープとギョーザが、口の中で爆発…………あ。死ぬ。
ついでにドラゴンの白モツも食べちまう。ああ……。あまりにも運動量が少ない生物だからか知らないけど、牛や豚のモツより柔らかくてぷるぷるで、それでいて臭みもなく濃厚でジューシー……。それでいてしっかり歯ごたえもあって、噛む度に旨味が溢れ出してくる。
「…………」
「…………おぉ」
本当に美味しいものを口に入れた時、言葉を失う。ルシカは1枚目のギョーザは何も付けずに食べたが、2枚目はギョーザをスープと一緒に食べた。そこからは何も語らず、3枚目と4枚目が即座に消滅した。そして俺に向かって手振りだけで『これ。もう1枚。お願いします』と伝えてきた。
『【うどんギョーザ・2人前】お待ちどうさまです』
「…………」
「んっ…………」
わかる。わかるよ、ルシカ君。今は手振りだけで感謝を伝えるに留めたい、この濃厚でジューシーな風味が口の中から出ていくのが嫌なんだよな。俺も、そうだもん……。
そしてうどんだ……。こういう煮込み系のうどんって、ふやけてしまったりとろけてしまったり、イマイチなうどんになりがち……。しかし、これは違う。しっかりと味噌モツ鍋の味を吸っているのに、全くふやけたりせずにしっかりとうどんを主張してくる。それでいて、しつこすぎない。
全て食材にパンチがある。もはや俺達は、最終ラウンドで渾身のストレートを何発も受けてボロボロのボクサーだ。ノックアウト寸前、視界はうどんのように真っ白になっている。
「お、ぁあ……」
「感謝……。感謝しか、感想が浮かんでこないわ……」
「ありがとう……。あいつに勝った俺達、ありがとう……ごちそうさま……」
「ごちそうさまぁ……」
ドラゴン白モツ味噌煮込みうどんは、カルボナーラうどんみたいに高尚な食べ物ぶってる様子が全くなかった。味よし、ボリュームよし、パンチよし。文句の付け所が一切ない。
「…………ちょっと、食休みしよう」
「ええ、休みましょ……。この後また戦闘は、ね」
「ちょっと、余韻が必要だ……あ、お茶淹れるよ。緑茶で良い?」
「私も手伝うわ!」
この後、どっぷりと余韻に浸った俺達は1時間ほど食休みを挟み……。もう一度ヤツと戦う意思を取り戻し、再び立ち上がった。
「――――よし、再戦だ!!」
「やるわよ、レックスとの再戦ね!」
「……レックス道場と名付けよう」
「良いわね、レックス道場!」
ミッソースープレックスとの連続再戦……レックス道場の開始である!!
ちょっと短いけど、ここまで書きたかったので。
次回、レックス道場!! 2階層以降のヤツには、果たして勝てるのか!!




