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ゲームが下手すぎてうどんを捏ねていたら、ダンジョンが出来上がりました。〜うどん作るのも、下手〜  作者: エリーゼ


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015 ナビという存在

 精霊界において、私の立場は非常に低いものだった。

 だがそれは、突如として始まった2つの世界の大接近によって大きく崩れることとなった。


「ナビ、お前の管理するダンジョンを決める」


 全ての精霊は、新しい世界に出現するダンジョンの管理を担当することとなった。もちろん、全てのダンジョンではない。なんせ圧倒的に精霊の数が足りないので、主要なダンジョンだけだ。小規模なものまでは手が回らない。そのはずだった。


「厳正なる抽選の結果、お前の担当は……このダンジョンとなる」


 それは、住宅地のど真ん中に発生する予定のダンジョンだった。こんなに目立つ場所に出現しては、間違いなくあっという間に攻略される。ダンジョンコアを破壊されれば、またたく間に私の仕事は終わり……そして、ダンジョンと繋がっている私の命も尽きることとなる。

 つまり、精霊王は私に、犠牲になれと言っているのだ。このダンジョンと共に、死んでくれと。


「わかりました」

「外にモンスターを溢れさせなければ、何をしても構わない。さあ、ゆけ」

「はい」


 悔しさのあまり、涙が流れ落ちそうだった。下級精霊など、所詮は使い捨ての命なのだと。精霊王だけは全ての精霊を平等に扱ってくれると信じていたのに、これならば……まだ、仲間達にも下級精霊であることをバカにされ、虐げられているほうがマシだった。

 貧民から、突如として死刑執行待ちの罪人となった気分だった。


 ――――そして、運命の日。ダンジョンの出現は、どうやっても止められない。覚悟を決めた。


『――――何が、ゲーム、下手すぎ、うどんでも捏ねてろだ!! 捏ねたら、強く、なんのかっつうの!! こうなりゃ、世界一美味いうどん、作って、勝って煽り返してやる!!』


 ダンジョンが出現する直前、とんでもないノイズを見てしまった。私が死を覚悟している時に、この男は……何を作っているのだろう? うどん……? 白くて綺麗だ、あんなものを食べようというのだろうか。

 そんなことを考えていた時、私の魔力がそのうどんとやらに引っ張られ始めた。何が起きているのかわからずパニックになり、そしてダンジョンが出現する現象が重なってしまった。


『世界一に、なれ!! うどん!! お前は俺を、世界一に導く最強のうどんだ!! 頑張れ、頑張れ!! ひぃ~腰が痛え~!!』


 世界一の、うどん、ダンジョン……。

 その言葉に私とダンジョンは吸い寄せられてしまったのか、あの白く綺麗なうどんというものの中に、閉じ込められてしまったのだ。あの男の意思が、私やダンジョンの意思よりもあまりにも強烈だったのだ。


「うどん……。ダンジョン……。私は、このダンジョンを管理し、導く精霊……。うどんのダンジョンの精霊……」


 ダンジョンと一体化した私は、すぐにこの男の家をダンジョン化させた。ダンジョン化現象の被害を最小限に抑えるために。この男をダンジョンマスターとし、ダンジョンのコアを――――。


「――――いっしょに、このダンジョンを、そだててくれるの?」

「貴方は……」

「このダンジョン、そのもの。あなたはだぁれ?」

「私は、貴方が……貴方が簡単に殺されてしまわないように、このダンジョンの守護者となった、ナビと言います」


 ダンジョンのコアは、私に語りかけてきた。そして、私は咄嗟に嘘をついてしまった。本当は、貴方と一緒にすぐ死んで、モンスターが漏れないうちに崩壊する運命でしたなんて、言えなかった。


「なびちゃん? ぼくは……うどんジョン! じゃあ、いっしょにそだててくれるなら、なびちゃんにちからを、あげるね!」

「こ、これは……」


 それは、予想外の出来事だった。うどんジョンと名乗るダンジョンコアは、私にダンジョンの管理権限の全権を与えてきたのだ。そして、うどんジョンの全ての知識が私の中に流れ込んできた。

 そしてこれは、精霊王にも予想外の出来事だっただろう。ダンジョン管理の全権を獲得した精霊など、今まで存在しない。あの精霊王も、日本という国の『黄泉の国ダンジョン』というダンジョンを担当しているが、全権は所有していない……。


 ――――今すぐにでも、このダンジョンを崩壊させることが可能になった。


「ぼくね、おおきくなりたい。いっぱいいっぱい、やくにたちたいなぁ~……ふわぁ~……」

「眠いのですか?」

「うん~……。ぼくね、ぜんぶ、なびちゃんに、まかせるね……」


 うどんジョンは眠ってしまった。本来ならば私は、このダンジョンと共に命を散らすべき……。しかし、精霊王にはこう言われた。


「……外に、モンスターを漏らさなければ。何をやっても構いませんよね?」

『――――俺のうどんは!? はぁ!? どこに消えたのぉ!?』


 外にモンスターを漏らさなければいい。私は、死ねと命じられていない。ただそうなるのが当たり前だからと、命令をされていない。そして私は今、精霊の枠から外れ……ダンジョンの管理者となった。これ以上、精霊王の命令を受ける必要はない。


「権利付与、ダンジョンマスター稲庭犬人。このダンジョンの管理を、手伝ってくださいね。世界一のうどん職人さん?」


 このダンジョンを実質的に作り出した男、稲庭犬人。彼には感謝してもしきれない。まさか、死ぬために生まれてきたような私が、なんの未来もなかった私が……。明るい未来を手に入れられたのかもしれないのだから。


「ダンジョンは基本的に取り消し操作が出来ない……。ん……? 稲庭犬人のこのスキルは……? ユニークスキル、うどんマスタリー……?」


 稲庭犬人のうどんマスタリーというユニークスキルは、う・ど・んと入っている言葉、その言葉だけで構成されたものが得意になり、好きになるという効果だった。うどんしかないのではと、ダンジョンの力を使って検索してみたところ、『うどん、運動、undo』という言葉がヒットした。

 

 ――――undo、この言葉がどういうものなのか……。私は稲庭犬人という存在がどれほど異常なものなのか、のちに思い知ることとなる。


『バカタレがよ……』


 そんなことはつゆしらず、私は稲庭犬人を少し脅かしてやろうと思い、プレゼントを兼ねて話しかけてみることにした。


『――初回作成ボーナスで、バカタレを作成しました。摂取することで精神(マインド)が少し下がりますが、他全てのステータスを永続的に向上させます。バカほど美味しいうどんつゆが作れるタレです』


 これが、彼とのファーストコンタクト。そして今私は……ラジテレビの本社へとやってきた。

 稲庭犬人を害そうとする者を、このダンジョンの存続を脅かそうとする者を、私は赦さない。ラジテレビは稲庭犬人の私生活を破壊し、それをネタにメシを食う悪魔だ。私はラジテレビを決して赦さない。


『到着したよ、ナビちゃん。この倉庫で本当に大丈夫そう?』

「はい。見つからないように麺棒は隠してください」


 モンスターをダンジョンの外へ漏らさなければ良いのでしょう? ダンジョンの、外へ。

 ならば、ラジテレビをうどんジョンの中へ取り込んでしまえば良い。稲庭犬人の自宅、0階層の存在する土地として、ラジテレビの土地を指定し直す。これで、ラジテレビも…………0階層になった。そしてこの0階層はペナルティフロアとして独自に隔離。稲庭犬人よりも強い権利を持つ私だけが使える、私専用のダンジョンとして機能させる。


『ありがとっ、ナビちゃん! 助かったわ!』

「いえ、それよりも外出の際はイルジオンをお忘れなく」

『わかったわ。本当にありがとう!』


 メリューシカは可愛いですね。彼女は稲庭犬人のために連れてきた、本来失われるはずだった命。私と同じ、死ぬ未来しか存在しなかった、可哀想な命。幸せになりなさい、メリューシカ。私が幸せになったように、貴方もまた幸せになる権利がある。


 だから…………。だから。


「…………稲庭犬人とメリューシカの邪魔をしたラジテレビに、制裁を」


 彼と彼女の邪魔は、誰にもさせない。海老天之助……操作、開始。

 精霊王? 私は、ダンジョンからモンスターを漏らしていませんよ。だってラジテレビは……私が支配したダンジョンの一部となっているのですからね。




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ナビちゃん、人間味あると思ってたが中身入りだったか。 でも人の情事見たいって叫ぶのは…とてもよく分かる!見たいよね! ナビちゃんは、情報操作手段を、手に入れた! 建物取り込むとそこに居る人も所有物扱…
うおっ想像以上にナビちゃんの愛が重い… ラジテレビ滅びて草 ナビちゃん聞いて多分ラジテレビだけじゃないと思うの他のテレビ屋や新聞社とかも記事書いてるかも( ≖ᴗ≖) 精霊王「人の心とか無いんか?無い…
ナビちゃん!? そして海老天のひとそこでつかうのかーい!!! ※冷静に考えるとダンマス就任したのにモンスター狩ってる犬人さん達の方がオカシイ??? ナビちゃんはもっとダンジョンの神様に近い存在だと思…
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