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ゲームが下手すぎてうどんを捏ねていたら、ダンジョンが出来上がりました。〜うどん作るのも、下手〜  作者: エリーゼ


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12/20

012 理想以上のカルボナーラ

 はぁ……はぁ……。

 見てごらん、この、えっちな輝きを……。


「マテリアル、和牛サーロイン……」

「こ、これ、本当にお肉なのよね……?」

「お肉だよ……」

「き、綺麗過ぎるわ。こんなの……」


 わかる、わかるよぉ~ルシカ……。俺もね、ここ数年のダンジョン騒ぎで和牛なんて、それこそ高級なお肉なんて口にしたことがなかったんだ。

 それにしても、スーパーレア確定のボーナスチェストかと思っていたサー・ロインの完全撃破ボーナスも、実は確率による出現だっただけ……。本当に最初の運が良かっただけだったんだ。

 そう、16体目さ。もう今日は無理か、無理だな~と諦めかけていた最終週、銀色よりもギラギラと輝くボーナスチェストが出現した。プラチナチェストと、そう呼ぶことにしたそれからは……このマテリアルが出現したんだ。


「ハイパーレア、か……」

「もう手に入らないかもしれないわね……」

「だなぁ……」


 ハイパーレアアイテム、マテリアル・和牛サーロイン。奴の名前を冠した、高級部位のお肉だ。これをどうするか? 正直、もう少し捻ったメニューに使うべきなのはわかっている。わかっているんだが……。


「ルシカ。俺はね、この部位で……」

「いいの、わかっているわ。使いましょう!」

「…………わかってくれちゃうかぁ~!! ルシカは天才!! 最高!! 牛柄下着!!」

「最後のは関係ないでしょ!? わかってないわね、この下着の良さを!!」


 いやいや、わかっています。わかっていますとも! だって、こんなに美人で澄ました顔してるのに、下着は牛柄なんだよな……って思うと最高だもん。なんか、良い。


「まあまあ、それじゃあ……。やるぜ!!」

「ええ、やっちゃって!!」


 それはとりあえず置いといて、この和牛サーロイン……贅沢な使い方をさせて貰うぜ!!


『【マテリアル:和牛サーロイン】【選択型マテリアル:黒コショウ】、【試作型カルボナーラうどん】に合成開始……』

「うおおおおお、豪華過ぎるだろぉ~!!」

『マテリアルを和牛サーロインベーコンに加工、アクセントとして黒コショウを追加……。完成しました。【和牛ベーコンのカルボナーラうどん】です。価格変更、2000UMPになります』

「はぁっ……!?」

「ほえっ!?」


 ひ、ひっ……!? 2000UMP!? それってつまり……9割引だから……本来は2万UMPってこと!? ば、バカお前、4階層の建造費用より高いじゃないの!?


「……いや、食おう。何を日和る必要がある? 和牛サーロインベーコンだぞ? 超高級食材が、ある意味では実質無料で食えるんだぜ? ルシカ、食べるよなぁ!?」

「た、食べたいわ……。でも、凄い価格で……」

「ルシカ! 問題ないさ、途中の武器修理とミニうどんのMP補給とか諸々を差し引いても、7万以上UMPが残ってるんだぜ!!」

「……じゃあ、頂くわ!!」


 そうだよな、こんだけあるんだから派手に使っても問題ないんだって。へ、へへっ……。


『ご注文承りました。【和牛ベーコンのカルボナーラうどん・2人前】、お待ちどうさまです』

「「……いただきます!!」」


 デカい。そしてベーコンだからカリカリかと思いきや、かなりジューシーさを残した肉感強めのベーコンだ。これがベーコンなのかと言われると、ギリギリベーコンのサーロインの切り身って感じもする。


「…………!?」


 口の中でとろける触感、そして焼けた外側のカリカリ感、広がる香りと風味はまさにベーコン。だが、食ったことがないレベルのそれは、俺の脳を破壊しようとしてくる。

 カルボナーラソースに絡めた大振りのベーコン、急激にねっとりとした舌触りがまとわりつき、強烈過ぎるサーロインベーコンを優しく包んでくれる。一体となって襲いかかってくるそれは、完全に俺の脳を破壊してしまった。


「…………ルシカ、泣いてるぞ」

「美味しい……! 美味し過ぎて……!! ケントも泣いてるわよぉ……!!」

「わかる……。泣かざるを得なかった……」


 感謝。圧倒的感謝だった。

 破壊された脳内に残った感情は、圧倒的な感謝の気持ち。俺が考えていた理想の遥か上をいく、とてつもない衝撃。進む……手が止まらない……。そしてもう、ない……。


「…………頼むよな?」

「ええ…………お願い」

『ご注文承りました。【和牛ベーコンのカルボナーラうどん・2人前】、お待ちどうさまです』

「「いただきます……」」


 冒涜的過ぎる、旨味の威力と卵とチーズの優しさ。和牛サーロインベーコンの旨味を吸ったうどんもまた、驚異的な旨味を叩きつけてくる。黒コショウのアクセントがくる度に卵とチーズの風味がリセットされ、また次の一口へと進むことが出来る。

 ――――そして、もう……ない。


「…………」

「…………」


 わかる、わかるよルシカ。3杯目はヤバいよなって、そう言いたいんだろ? だってこれ、2人で1杯頼むと4000UMPも持っていくもんな。4階層の建造費は1万UMP、既に食費のほうが建造費より高くなっている。それはどうなのと、そう言いたい目をしているのはわかっている。

 だが、困ったことに……。この和牛カルボナーラうどん、50UMPで注文出来るミニうどんより、麺の量が少ない!! 高級料理あるあるだよな、異様に量が少ないのに値段がヤバい料理。それがまさに、この料理にも起こってしまっている!!

 つまり、まだ1食分ぐらいにも満たない量しか食べられていないんだよね……。


『ご注文承りました。【和牛ベーコンのカルボナーラうどん・6人前】、お待ちどうさまです』

「ここは高級料理店じゃない。俺の家だ……だから、高級料理であってもバクバク食べて良いし、同じ料理を何度も頼んじゃいけないなんていうルールは、ないっ!!」

「最高!! ケント大好き!!」

「「いただきま~す!!」」


 これで10杯、怒涛の2万UMP消費の夕食。ああ、美味い……。何皿目でも最初の一口目の美味さを感じる。これでもっと量があれば、もっと量が……!! だが、それは注文数でカバーすれば良いだけの話だ。使い道に困って余らせるより、自分の幸せと欲望のために使うべきなんだ。


「私、毎日これでもいい……。ううん、これがいい……」

「毎食はありがたみが薄れるから、それに野菜とかも食べないとだし……。たまには普通の料理も、俺が作るからね……」

「あ、野菜……! そうね、確かに食べてない」

「……俺、この後スーパーに行って買ってくるよ。ポトフとか作ろう」

「私も行きたいわ!」

「オッケー、じゃあ一緒に行こう」


 最近野菜を食ってない気がするし、他の食材も欲しいからスーパーに行こう。まあもしかしたら状態異常解除の効果で、そういう栄養面の問題も解決されてるのかもしれないけど、気持ちの問題ってのがあるからさ。


『――――5食合計、全ステータスが10上昇、制限に達したステータスは、これ以上上昇しません』

「うおっ!? 1食で全ステータス2も上がってるのか……ああ、遂にきたか」

「制限に達したって、今言ってたわね」


 遂にきたか、あると思ってたんだよなぁ~うドーピン具の条件。さて、制限に達したってステータスはどれだ? ちょっと見せて貰おう……ん、ルシカは何も言わず見せにきたな。それだけ見て欲しいっていうか、信用してるってことでいいのかな。じゃあ遠慮なく見せて貰おう。


◆◆ステータス◆◆


【名前】稲庭 犬人

【レベル】10 【性別】男性

【職業】かけ出汁うどんマイスター


【EXP】880/1100 【MP】66/66


【STR】13+10  【VIT】13+10

【AGI】14+10  【TEC】14+10 

【MAG】8+10 【MND】10+10


【ダンジョンマスター】

・うどんジョン

 ┣UMP:54200

 ┗全3階層


【ユニークスキル】

・うどんマスタリー

・ダンジョン管理

 ┣基本管理スキル

 ┣4階層拡張【10,000pt】

 ┣モンスターガチャ【500pt】

 ┣マテリアルガチャ【1日1回、30,000UMP】

 ┗クルーガチャ【使用済み】


【スキル】

・武器投擲:レベル3

・剣術:レベル3

・暗殺術:レベル2

・判断:レベル1

・闇魔法:レベル2


◆◆◆◆◆


 ああ~……なるほどね? 制限の意味がわかった気がするぞ? ルシカのも見てみよう。


◆◆ステータス◆◆


【名前】メリューシカ

【レベル】9 【性別】女性

【職業】マジカルうどんクルー


【EXP】686/1000 【MP】555/555


【STR】5+9  【VIT】 6+6+9

【AGI】6+9  【TEC】18+9 

【MAG】25+9 【MND】9+9


【ユニークスキル】

・うどんマスタリー

・幻影魔法:イルジオン

・ダンジョン管理

 ┗基本管理スキル


【スキル】

・火魔法:レベル5

・光魔法:レベル4


【装備スキル】

・うどんぶりシールド・スーパー

・堅固要塞


◆◆◆◆◆



 な~るほど? これは、確定だなぁ……。


「レベル以上にドーピングの数値は増えないみたいだな」

「そうねぇ~……。なるほど、そういう制限があったのね」

『制限に到達したため、補足情報です。下級のうドーピン具アイテム、つまり下級の食券や下級のマテリアルでは、一定数値以上のドーピングは不可能となります』

「さっきの和牛サーロインは?」

『下級です。希少性であるレアリティとは別に、品質である下級中級上級などが存在しています』

「な~るほどね!」


 ん? あれ、ちょっと待ってくれ? 俺は今、大事な部分を何か見落とさなかったか? なんかルシカのステータスに違和感を感じたんだが……。


「…………ルシカ、いつの間にかうどんマスタリーが生えてないか?」

「あ、あるみたい……。うどんマスタリー……」

『異世界人でありながらうどんを愛したことにより、獲得した模様です』


 そんな簡単に取得出来るもんかよ、うどんマスタリー……。それじゃあ俺は? なんでうどんマスタリーが取得出来たわけ?


「ユニークなのに2人目の所有者が居て良いのかよ。というか俺は? 全国のうどん職人に謝るべきでは?」

『仕事でうどんを作っているのと、趣味でうどんを作ったことの違いです。そしていくつかの偶然が重なり、うどんジョンのダンジョンマスターとなったことがきっかけで発現しました。地球人で唯一なのと、異世界人で唯一なので、ユニークの定義は揺らいでいません』

「すげーこじつけ!! なんだそれ!?」

『…………』

「あら、黙ってしまったわ」

「都合が悪くなるとこれなんですよ」


 まただんまり、か。まあナビちゃんはこういうところがあるからな。味方ではあるんだけど、完全に味方とは言い切れないような、なんとも言えない不気味なところがある。まあ、害はないから全然良いけどね!!


「よっし、色々とわかったところで! 買い物いこっか!」

「ええ、行きましょ! この世界の食べ物、もっと見てみたいわ!」


 そうだよね~。実は簡単な外食以外だと、うどんぐらいしか食ったことないんだよね。うどん以外も好きになってくれると良いけど、それだとマスタリーってどうなっちゃうのかな? まあ俺も、白米が好きでもうどんマスタリーはそのままだし……大丈夫か?


「どうする? 走っていく?」

「体力のステータスも上がってるし、どのぐらいの身体能力なのか気になるわ。走りたい!」


 あ、そういえばルシカもうどんマスタリーを得たってことは、運動が得意になったわけか。なるほど、反対されるかなーと思ったら全然好意的だったのは、このスキルが原因か。


「そういや、うどんマスタリーって、う・ど・んの文字が全部含まれてて、なおかつそれだけで構成されてるものが全部得意になるんだぜ」

「…………異世界の言語に直すと、ウュー、ドィーエ、ネェヌよ! 発音しにくいでしょ?」

「ああ~翻訳とか言語理解様々だぁ~!! ルシカと普通におしゃべりが出来て、俺は嬉しいよ~!!」


 ひい~。異世界言語じゃ、全然言葉が通じなかっただろうなあ~……。あ、その異世界言語の状態だったら、並び替えて何か言葉になったりしないのかな?


「なあ、その……うぃぅー? ど、どぅ~……」

「さっきの言葉?」

「そう、それを並び替えたら、何か言葉が出来たりしないか?」

「う~ん……」


 お、考えてる考えてる。もしかしたら何かあるのかな~? というか多分、このユニークスキルとか諸々、異世界由来の力なんだろうな。だって、ルシカは俺に魔法をなんら問題なく教えられたわけだし、相違点がないってことだろ? つまり、異世界の言葉で何か出来上がれば、それも得意なものとしてカウントされるってわけだ。


「ウュネェドィーエ。元に戻すって言葉、かしら?」

「元に戻す? そんなの得意になっても、なんじゃそ…………りゃ…………」


 おお……。おいおいおいおい……。これじゃないか……? もしかしなくても、これが原因なんじゃないか!?


「ダンジョンのモンスターの再配置、本来は出来ない操作だってナビちゃんが言ってたんだよ。それなのに出来ちまったのは、もしかしたら……」

「元に戻すが、マスタリーに入ってるからってこと?」

「多分そうだ!」


 元に戻す、これだろ!! これがうどんマスタリーに含まれているんだ!! あ、ちょっと待てよ……? 他の言語に直して良いんだったら、アルファベットに直して……U、DO、N。並び替えたり増やしたりして出来そうな言葉は……。


「あ……UNDO(アンドゥ)、こっちの言葉でも元に戻す、だ!!」

「あら、全然うどんが入ってないけど」

「別の言語があってさ、こう直して並び替えると……UNDOでうどんが全部入ってるんだよ!!」

「本当だわ。この変換した言葉、私達の世界の言葉に結構似てるわね」

「もしかしたら、ルシカと俺達の世界は近い何かがあったから、こうやって繋がっちまったのかもしれないな」

「あり得る仮説ね。もしかしたら、私達の世界と繋がってしまっているダンジョンが存在するのかも?」

「ふ~む……」


 なるほどなるほど、面白い仮説だが~……。あ、やべ! スーパー閉まっちまうよ!!


「やべ、もう7時半じゃん! スーパーは21時までだからさ、急ご!」

「あ! そうね、忘れていたわ!」


 この時間となると、やっぱり前に居た会社の近くのスーパーしかないな。しゃーねえ、いくか!!


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― 新着の感想 ―
ステータスも上がるし涙が出るほど美味しいし読者を朝から腹空かす事も出来るし最強のうどんだな()
和牛ベーコンカルボナーラうどん…めっちゃ食べたい…お腹空いてきた…
なるほどギルティ( ˘ཀ˘ ) 20時半に投稿して良い飯テロ力じゃねぇですねぇ!? 反則級カルボナーラたべたい(´・ω・`) 和牛のサーロインをカルボナーラに投入するとかレギュレーション違反甚だしい…
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