010 スーパーに、いきたい
はい、おはようございま~す……。まずは朝から~……。
『【もりもりうドーピン具うどん・2人前】、お待ちどうさまです』
「「いただきま~す!!」」
食欲旺盛な2人で申し訳ない。俺は朝からでもカルボナーラうどんいけちゃうんだけど、カルボナーラうどんにちくわ天とか乗せるわけにはいかないじゃん? いや、合うかもしれないけどさぁ……。
「んっ!! 上に具材が乗ってるだけで、かなり味が変わるのね!」
「いやぁ、昨日は食券出まくったからなぁ~。朝から特盛になっちゃったな」
「良いのよ、朝からいっぱい食べる派だもの、私」
「おお、俺も俺も! 朝から食わないとさ、活力が出ないんだよねぇ~」
いやぁ~朝からうどんが美味すぎる……。五臓六腑にしみるぅ~……。
『うドーピン具特盛ボーナスとして、全ステータスが2上昇しました』
「おほ~。飯食ってステータス上がるの最強~……」
「なんだか、凄くズルい気がするわ……!」
「まあでも、どれぐらいあがるのかとか、そういうのは全く教えてくれないんだよ、ナビちゃんは。多分大きな落とし穴があるんだろうが……」
「…………本当ね。いつもなら必ず、何かしら言ってくるところなのに」
「ね。だからさ、永続効果のドーピングとは言え、過信は禁物かなって思ってるんだ」
ドーピングの効果なぁ、どこまで上がるのやら……。そのうち壁にぶつかったりして、ナビちゃんが得意げに煽ってくるんだろうけどさ。それまでは手探りだなぁ。
「ごちそうさま~」
「美味しかった~。ごちそうさま! ねえ、今日は何をするの?」
そうだなぁ、今日は何をしようか……。3階層の拡張と、モンスターガチャをしてみても良いかもな~。
「3階層の拡張と、モンスターガチャ……かな? そろそろ3層目を増やそうかと悩んでたんだ」
「ダンジョン以外の予定はあるの?」
「え? ああ~考えてなかったな。そうだな、う~ん……」
え? ダンジョン以外の予定か~考えてなかったな。確かに、周回速度が物凄く早くなった現状、2時間もあればダンジョンの周回は終わると思うんだよな。そうなると、午前中とかは暇か……?
「じゃあ、闇魔法の練習とか!」
「良いわね! じゃあ、私が魔法の先生になってあげる! 簡単な闇魔法の知識ならあるから、教えてあげるわ!」
「おお~!! よろしくお願いします、ルシカ先生!!」
「あら、ちょっと照れるわね」
自分で先生になるって言ったのに、先生呼びされて照れる人がいますか? いたわ、目の前に。可愛いんだからもう~。
「それじゃ、簡単な闇魔法からよ。ブラインドっていう魔法で、相手の視界を闇に閉ざす魔法ね!」
「ブラインド……自分に使えば良いか?」
「私に使ったら? 害はほとんどないし、成功しているかどうか、肌で感じ取れるし」
え、それはちょっと、なんか怖いな~。相手の視界を闇に閉ざすって、なんか下手なことをしたらルシカの目が一生見えなくなったり……。あ、うどん食って貰えば解決するか? 状態異常も回復するんだし!
「じゃあ……まずは俺の我流のブラインドでもいい?」
「良いわよ。ケントのセンスが知りたいし」
「俺のセンス、ねえ~……」
俺のセンスか~……ゲームで下手すぎて『うどんでも捏ねてろ』って送られてくるぐらい、なんというかセンスは~……。いや、それに対して本当にうどんを捏ね始めたんだから、常人とは異なるセンスがあるのか?
ええい、雑念を捨てろ。ルシカの視界から、光を奪うようなイメージで……。不可視のサングラスをかけてやるような、そういうイメージでいくか!! 昨日の闇を広げる感触を思い出して、それを相手の目に集中させる……。いけっ!!
「ブラインド!!」
「…………あ、ちょっと暗くなったわ。私が耐性持ちなのも悪いけど、筋は良いわね!」
「おお、上手く出来てるってこと!?」
「実戦レベルには遥かに及ばないわ。もう1回、やってみて?」
あ、あれ……? なんかいつもの優しいニコニコルシカちゃんじゃなくなってません……か? なんというかこれは、スパルタの様相を感じるのですが~……。
「発動までも遅い! もっと魔力を瞬時に出せるように!!」
「は、はい!!」
「考える間もなくブラインドよ! 挨拶代わりにブラインドを使えるように!」
「はいいい!!」
――――その後もスパルタは続いた。MP切れでぶっ倒れたら、50UMPのミニうどんを食わされて全回復させられて再開となった。午前中のうちにブラインドが完璧になるまで、みっちりしごかれることになって……。
「――――ぜぇ……ぜぇ……! ブラインド!!」
「ん! 私の耐性を貫通するほどになるなんて、やるわね。キュア!!」
ルシカが光の魔力を使ってブラインドを打ち払うのではなく、状態異常回復魔法のキュアを発動しなければ解除出来なくなる程度の闇を、作り出すことに成功した!!
「合格よ、ケント! 凄いわ、半日で出来るようになるなんて!!」
「ひい~……。疲れた~……」
これでようやく、俺も魔法が……!!
「それじゃ、ダンジョンで実戦といきましょ!! あ、3階層とモンスターの追加もするのよね!」
「おお……。よく、覚えておられましたね……」
『3階層の追加、4000UMP。そこから差し引いて、モンスターガチャは残りのUMPで17回可能です』
「うお、急に喋った!!」
「モンスターの追加方法、興味があるの! 見てみたいわ!!」
おおん、余韻に浸るまでもなく、実戦のご提案だ……。3階層の追加と、ガチャか~……何回やろうかな~? 思い切って、10回ぐらいやっちゃうか~?
「なあ、別にモンスターは全部配置しなきゃいけなとかでは、ないんだよな?」
『はい。むしろ、階層の深さによって配置上限が決まっています。大型のモンスターになると、複数の枠を消費する場合もあります』
「なるほど! まあそうじゃないと、1階層に100体!! とか出来ちゃうもんな」
『その通りです。ちなみに、1階層と2階層は上限が5体です』
「あ、そうだったんだ!」
ストックしておけるし、配置上限もあるなら~……。よし、10回引いちゃおう!!
「じゃあ、3階層追加!! デザインは同じで、9階層まで同じでいいかな~」
『10階層で変更するということですか?』
「なんか区切りが良いし、ボスフロアみたいな感じにしたくないか?」
『ボスフロアの設定ですね。確かに可能です。その時がきたら、ご紹介致します』
おお、ボスフロアとかも設定出来るのね。その時がきたら、頼むよ~?
『3階層生成開始…………。2階層と難易度は変わりありません。配置可能モンスターも同様に5体です』
「あ、そうなんだ。じゃあとりあえず、10連ガチャしちゃうか~!!」
『10連ガチャという機能は現在ありません』
「そうっすか……。じゃあ、引くか……」
「ん~……!!」
ルシカ、ガチャの様子が気になるのね。まあそんなに面白いものでもないよ? 半透明な画面に出たガチャの画面をタップして、カプセルからモンスターのアイコンが出てきて『○○が出ました~』みたいな感じだからさ。
『モンスターガチャ、1回目……ちくわんこが出ました』
「ええ~……」
「あら、これはいつものわんこですわね」
ほらね、こんな感じなんですよ……ん~……。
「ルシカ、回してみる?」
「良いの!? じゃあ、9回連続で回しちゃうわ!!」
『はい、9回連続ですね。どうぞ、お引きくださ』
「ちょっと待てお前!? 10連ガチャはないって言ったくせに、9連ガチャはあるのかよ!?」
『9回連続でガチャを回すという機能は御座います。10連ガチャがないだけです』
こんのやろぉおおおおおおお……!! なんっか、ムカつくよなぁ~……!!
『ふっ……』
「ふっ、じゃねえよ!!」
「回しちゃうわね! えいっ!! あっ、見て見て!! 銅色のと、金色3個もあるわよ!?」
『ちくわんこ、長ネギンバト、レアモンスター・ゆでたまコッコ、スカイごぼうなぎ、長ネギンバト、キャロラビット』
あ~新顔も居るが、通常レアリティっぽいな。ゆでたまコッコってレアモンスターだったのか。じゃあ、この3個も出た金色のって……更にレアってことか?
『スーパーレア! 重騎士サー・ロインが当たりました!!』
「牛の、騎士……!? フルアーマー……!?」
「まあ!」
『スーパーレア! 重戦士グラビ豚が当たりました!!』
「おいおいおいおい、豚肉じゃねえか!! いや、強そうだなこいつ……」
「わあ!!」
おいおい、急に肉が出てきたぞ!? これってもしかして、確率ドロップで肉系のマテリアルが出ちゃうんじゃないの~!? いやでも、くっそ強そうだなぁ……。
『スーパーレア! Miso.スープレックスが当たりました!!』
「なんだこの恐竜頭の覆面レスラーみたいなやつ!?」
「これは……なんですか……?」
『ミッソースープレックスです。非常にタフで投げ技等の接近戦に長けた、愛の戦士です』
うわあ、絶対にまともに相手したくねえ。でもミッソーってまさか、味噌か……? そうだとしたら、こいつを倒すと味噌のマテリアルが得られたり……?
「……なあ、1体ずつさ、1階層で試してみないか?」
「私も、これを全部同時には、絶対にマズいと思うわ!」
「まずは、重騎士サー・ロインからセットするか、1階層に……」
『1階層、重騎士サー・ロインをセットしました。基本撃破UMPは1000です』
「「1000!?」」
ヤバい、コッコの5倍だ……。1階層で最弱の個体とは言え、絶対に強いだろ……。1階層のコッコでも、爆発の威力は大火傷を負うであろう威力はありそうだったんだぞ? 1000って!! ヤバいって、これ。
「ケント、どうする……?」
「……強い相手を知るってのも、重要だとは思う。ナビちゃん、俺達で勝てると思うか?」
『お答え致しかねます』
お答え致しかねます、か。都合が悪いことにはダンマリを決め込むナビちゃんが、答えられないと答えた。つまり……メチャクチャ強いんだろうな、こいつ。
「いや、やっぱり回収だ。コッコ相手にブラインドを試そう! うどんぶり3体、コッコ2体を配置で頼む」
『回収、再配置完了』
「そうね。ぶっつけ本番は怪しいもの、まずは弱い相手から試しましょ!」
3階層を追加して増えたうどんぶりスライムも含め、こいつらを3体配置。さらに新しく出たコッコを含めて2体配置。これで配置限界、UMPも基礎で800もある……。ボーナスで倍になれば、1600だ。それにこいつら、結構経験値も良い。
「よし、やろう。実戦で経験を積みたい」
「ええ! やりましょ!! でもねケント」
「ん? どうした?」
「お腹が空いたわ」
「あ~……そ、そうだった。昼だったねえ……」
「うっふふ、ご飯を食べてからにしましょ!!」
もう昼だったのを忘れてたや。じゃあ昼は~……ああ、ルシカの顔に書いてあるわ。カルボナーラ、カルボナーラって。
「カルボナーラが良い?」
「うんうん!! カルボナーラうどん、大好きなの!!」
大好きなのって、乙女全開じゃないっすか。可愛いっすね~……。ほんじゃ、カルボナーラうどんを……これから動くんだし、1杯だけにしておきますか。
『【試作型カルボナーラうどん・2人前】、お待ちどうさまです』
「「いただきま~す!!」」
あ、ベーコン忘れた。うわあ~美味いけど、物足りねえ~!! せめてコショウだけでも……。いや、今からでもベーコンを焼くか?
「あ、ベーコン……焼く?」
「ん、欲しいわ! やっぱりベーコンがないと……ちょっと寂しいわね!」
「だよな!」
そうと決まればベーコンよ……って、もうほとんどないんだった……。ちょっとケチ臭い量になっちゃったけど、我慢しておくれ~。
「ごめん、これしかなかった」
「嬉しいわ、これだけあれば美味しさも上がるわよ~!!」
本当はもっと食べたいですって顔に書いてありますよ、わかりやすい人だなぁ~。あ~どうしよ、午後からでもベーコン買いに行くか? まあ、少し遠くのスーパーが夜の9時までやってるし、そこで買えばいいか。前居た会社に近いから、ちょっと嫌なんだけどな~。
「ん~っ!! チーズも卵も、私の世界では高級品! コショウなんて食べたことないぐらい高級だし!! ベーコンも!! ほんっっっとうに、美味しい~!!」
この笑顔のためだ、ちょっと嫌なぐらいがなんだ。俺は行くぞ、ダンジョンの時間が終わった後に、スーパーへ行くんだぁ……!!
◆◆◆◆◆
「――ブラインドッ!!」
『コ、コッ!? コケーッ!?』
「いいわよケント! 効いてる効いてる!!」
ダンジョンアタックの時間。実戦では問題なく、ブラインドを成功させられるようになった。ただ、ひとつだけ問題も発覚した。
「その隙、貰った!!」
『コケーッ!!』
「やったか!?」
「そのセリフ好きよね」
『はい、やってますやってます。ゆでたまコッコ撃破、ボーナス400UMP』
うどんぶりスライムには、ブラインドが通用しないのだ~!! あいつら、視覚情報に頼っているわけではないらしくって、視界を潰すブラインドは特に意味がなかったんだよ。
『全てのモンスターを撃破、安全地帯となりました。ボーナスチェスト』
「遂に出現すら言わなくなったな!?」
『流石に言うべきですか。ボーナスチェスト、出現』
それはさすがに言って? 出現ぐらいはさ、言おうよ?
「今回は何が入ってるかしらね」
「また食券かなぁ~?」
『レアアイテム【中金貨交換券】を獲得しました』
ふぅん!? んっ、おりゃーっ!?
「す、凄い勢いで取り出して破ったけど、そんなに良くないものだったの!?」
「いや、逆だ! 中金貨交換券が出たんだよ!!」
「あら、金貨だったのね!」
おお、これが中金貨……。全くというほど何も描かれていない、ただの金色のコイン……。ズシッとくるこの感じ、いったい何グラムの金貨なんだ!?
「200グラムもあるぞ……。す、凄い……」
「またいっぱいお金が貰えるのね?」
「お、俺の、下手したら年収ぐらい……」
「ネンシュー?」
「今まで年間で稼いでた金額ってこと!! こ、これ、1000万円……? マジ……?」
ヤバい、手が震える……。ここ、1階層だよな? こんなに凄いボーナスチェストの中身でいいのかよ!?
「こ、こんなに、良いのかな……。ボーナスチェストの中身が豪華過ぎないか? モンスターのレアリティと関係あるのか……?」
『お答えします。配置したモンスターのレアリティによって、ボーナスを獲得するのが困難になります。よって、高レアリティのモンスターが階層に増えれば増えるほど、ボーナスチェストの中身もクオリティが上昇するということです』
「それ、再配置前提みたいなルールじゃないか!!」
『本来は深層で発覚するような内容ですので』
じゃあ、重騎士サー・ロインと、他にコッコとかで埋めたら……。いやいや、欲を出すのはやめておこう!! いやでも、一応聞いておくか。今なら色々答えてくれそうだし?
「重騎士サー・ロインはスーパーレアだったよな? もしもボーナスが取れたとして、他に4体倒せばボーナスチェストも豪華になるのか!?」
『重騎士サー・ロインの配置コストをご確認ください』
「……コスト、4? コッコは1……。あ、グラビ豚とレックスも4だ」
『今回出現したスーパーレアの3体は、配置コストが4となっております。つまり、4体分の枠を消費します』
あ~じゃあ、ボーナスチェストは5体連続だから、出現しないってことか~……。
『つまり、重騎士サー・ロインの撃破は、4体連続で撃破したとカウントされます』
「おお!! つまり、何でも良いから1体入れておけば、5体ボーナスになるってことか!」
『その通りです』
「……どうする? 一番簡単に倒せるちくわんこ、入れておくか?」
「それが良いと思うわ。ちくわんこは放置していてもこちらを見つけてくるし、一直線に突っ込んでくるもの」
よし、それじゃあ……。1階層に重騎士サー・ロイン! それと、ちくわんこをセットだ!
『再配置、完了。リセットしますか?』
「ああ、頼む! ルシカ、頑張るぞ!」
「ええ、本気でいくわよ!!」
さあ、スーパーレア……いざ尋常に、勝負!!




