白眼の冠 / 器の水
しろめのかんむり / うつわのみず
◆白眼の冠
あの灰は君がみせた色
白は君はみせない色
目の前にいる君が垂らす
美し過ぎて残酷な黒
斑に濁るのが怖くて
掻き混ぜずにずっと眺めたんだ
白に凄く似ているけど
絶対に白には成れないの
耐えて
ほら、幸せなんだろう
白じゃないくせに
白には成れないくせに
ゆらゆら揺れる優しさは
すがってすがって、色を狂わせる
君のその素晴らしい態度は
迷って迷って、僕を狂わせる
歪な色で堕ちていく
驕る僕を宥めてよ
肌色に薄く纏う薬
早く僕を宥めてよ
色のない透明な空気
君と同じ毒を吸わせてよ
紫が漂っているなら
ほら、僕を押してよ
前は君、境界線なんてない
ほら、僕を押してよ
独りでは進めないの
掴んでないと転びそうなの
愛が欲しい
愛が欲しい
でも、名前が浮かばない
忘れるなら全部消してよ
名前がないのは悲しいでしょう
触りたいのに透き通るから
濁るならいっそ潰してよ
最初君と笑ったのはいつの日か
忘れるならいっそ潰してよ
忘れるなら全部消してよ。
◆器の水
平然と立たせてよ
僕を揺らしたりしないで
溢れたら終わりなんだよ
掬えたりはしないから
何度でも言ってあげる
だから僕に触らないで
少しでも眼に映ったら
もう消えたりはしないから
突き放して、お願い
こぼれるだろう
僕の中の気持ち悪い水が
どんな声も、抗いながら
聴けないだろう
この震える心臓の音も
泣いていいと言って
僕を赦してしまうのはやめてよ
笑ってと言わないで
どうせ耳を塞ぐから、強く
強く
また明日、なんて
僕の血は受け入れない
大丈夫、だなんて
そんな言葉は言えない
消して
消して
消して
消して
揺れて
揺れて
揺れて
揺れて
愛してる、なんて
言わないで、僕は愛せない
大丈夫、だなんて
そんな言葉は言えないから
突き放して、お願い
こぼれるだろう
僕の中の気持ち悪い水が
どんな声も、抗いながら
溢れるだろう
僕の中の気持ち悪い水が、水が
とめどなく




