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13.混沌時代

 交代でしばらく休息を取った後、蛍光砂時計が再び落ちきると、探索隊は出発した。


 老バダはすでにこの階層の迷宮について大まかな判断を下している。そこで一行は彼の考えに従い、分かれ道や複数の通路に出るたび、緑皮鬼の巣がありそうな方向を選んで進んでいった。


 探索はさらに進み、今度は小型居住地を二つ続けて掃討したところで、老バダがその場での休息を命じた。


 緑皮鬼の居住地はひどく汚く、不快な場所だった。この知能の低い邪悪体は、日々の生活のすべてを同じ場所で済ませている。だが、その濃い臭いは同時に、冒険者たちの痕跡を隠すには格好のものでもあった。


 しかも今回も、一日中慎重に進みながら作戦を立て、戦闘を続けてきた。冒険者たちの多くは疲れ切っており、もはや悪臭など気にしていられない。長時間考え続けていた老バダさえ頭痛を覚えている様子で、隊の中でまだ余裕を残しているのは女野蛮人だけだった。


 探索隊は再びその場で眠りについた。


 蛍光砂時計一つ分の時間が過ぎる。


 老バダは今回も時間通り、砂が落ちきる前に目を覚ました。まだ眠っている者たちを起こして準備をさせ、物資を簡単に確認すると、隊は三度目の行軍に出た。


 攻略が深部へ進むにつれ、岩壁に囲まれた通路はますます曲がりくねり、進みにくくなっていく。


 場所によっては攀じ登り、飛び越え、身を屈めなければ通れないところまであった。その一方で、道中に見つかる小型居住地は次第に大きくなり、中に集まる緑皮鬼の数も増えていく。中には百体を超える場所さえあった。


「老バダ。ここまで食獣人にはもう出会っていないが、さすがに緑皮鬼が多すぎる。アンダの戦力とあんたの指揮があれば勝てるとしても、これだけ大規模な戦闘を続ければ、いずれ気づかれる。そろそろ撤退も考えたほうがいいんじゃないか?」


 カルロが慎重に問題を提起した。


 探索隊がいるのは、いくつもの道が交わる通路の中央だった。バブキとドールはすでに各方向を何度も往復して調べており、どの道も緑皮鬼が休む石洞へ通じていることを確認している。しかも、どこも百体を超える数が集まっており、互いの距離も近い。大規模な戦闘を起こせば、気づかれずに済ませるのは難しかった。


 しばらく考え込んだ後、老バダは深く皺を寄せた老顔のまま説明した。


「緑皮鬼は巣を中心に、外へ広がるように群れで住みつく怪物だ。ここまで居住地の数が増えているなら、俺たちはもう目的地の近くまで来ているはずだ」


「老バダ、私にはまだ分からないことがあるんだけど。第二陣の探索隊は、地下へ降りてすぐ怪物の群れに散り散りにされたんでしょう? どうしてここに緑皮鬼の巣があるって分かったの?」


 老冒険者が考えている間、他の冒険者たちもそれぞれ方法を考えていた。ミユナもその一人だったが、前の隊は自分たちほど深くまで進んでいない。それなのに、どうしてそこまでの情報が分かったのか疑問だった。


 まだ時間はあり、近くに他の脅威もない。老バダは考えを巡らせながら答えた。


「実際に判断したのはあいつらじゃない。持ち帰られた手掛かりから、俺がそう推測した」


「老バダが?」


 他の冒険者たちはますます分からなくなった。当時の老バダは地上城にさえ入っていない。それでどうして、これほど正確に判断できたのか。


 老バダはすぐには答えなかった。


 バブキとドールが最後の通路を調べ終えて戻ってくると、まず一行を先ほど掃討した石洞まで後退させた。それぞれに休む場所を取らせ、見張りも残してから、ようやく先ほどの話を続ける。


「生き残った奴から聞いたんだが、あいつらは運悪く、降りてすぐ大緑皮鬼が率いる群れに襲われた」


「緑皮鬼のような群れで生きる怪物は、特別な事情でもない限り、高位の変異個体が生まれるには一定以上の数が必要になる。はっきりした統計があるわけじゃないが、俺の経験では……最低でも千体以上だ」


 ジェットを除く冒険者たちは、皆真剣に耳を傾けていた。


 何しろ、伝説の冒険者が長年積み重ねてきた個人的な経験だ。たった一つの情報でも、今後の冒険者人生を変えることがある。


 老バダも惜しむつもりはなかった。冒険者になって四十年以上。人に伝えられるものはいくらでもある。低級な邪悪体についての情報程度を出し惜しみする必要もない。


 それに、順調にいけば蒼藍帝国で引退するつもりだった。長年の冒険で得た知識を、自分と一緒に土の下へ埋める必要もなかった。


「千体以上というのも最低限の見積もりだ。この失われた迷宮城には長年外敵がいなかった。緑皮鬼は邪悪体の中でも繁殖力が特に強いうえ、雑食だから、どんな場所でもかなり適応して生きていける。だから俺は、ここには少なくとも中規模の緑皮鬼の巣が一つはあると見ている」


「どうして大規模な巣じゃないの?」


 老バダに教える気があると分かり、ミユナも遠慮なく質問を続けた。


 老バダは首を振った。


「迷宮城には、建造時の習慣というものがあるからだ」


「迷宮城は混沌時代から残された特有の存在だ。あの近古の時代、テレサ世界の環境は知性種族が生きるのに適していなかった。逆に悪魔種族や魔獣、邪悪体なんかは適応力が高かった。奴らはそれぞれ違った形で知性種族を必要としていたが、多くの場合、俺たちは野外に放し飼いにされた餌にすぎなかった……」


 混沌時代は、ほぼすべての知性文明を滅ぼした。


 それでも四正教やエルフ族、ドワーフ族、さらには各地へ散り散りになった村や部族には、讃歌や断片的な記録が今も伝えられている。


 それは確かに、知性種族にとって振り返ることさえ苦痛な時代だった。


 だからこそ、現在の知性時代では、知性種族も各大国もこれほど発展に力を注いでいる。


「当時、各種族の先人たちは伝承を守り、過酷な環境へ抵抗するため、さまざまな形の砦を次々と築いた。綿密に設計されたそうした砦があったからこそ、知性種族はどうにか生き延びることができた。それが、今各地に残っている遺跡や禁忌の地だ」


 歴史の話など面白いものではない。


 だが、自分たちが今行っている任務に直接関係しているとなれば、どれほど退屈でも冒険者たちは真剣に聞くことができた。


「じゃあ、迷宮城は?」


 ミユナが再び尋ねる。


「迷宮城がどうして生まれたのかは分かっていない。ただ、エルフ族の記録によれば、混沌時代の中期から後期にかけて、悪魔種族が突然、知性種族を真似て大量の砦を築き始めた。そして、それぞれ自分たちに適した環境へと作り変えていった。それが、今俺たちが探索している迷宮城になった」


「悪魔種族が築いた迷宮城には一つ共通点がある。奴らは『世界の心』と呼ばれる不思議な秘宝を使って、迷宮城のすべてを制御していた。魔獣や邪悪体を飼い置くことも、その機能の一つだ。仕組みは分かっていないが、それが迷宮城で最も重要な中枢なのは間違いない。だから迷宮城も、必ず世界の心を守ることを中心に造られている」


 そこまで話すと、老バダは一度言葉を止めた。


 何かを思い出したらしく、顔中の皺が寄り合い、その表情がひどく険しくなる。


「お前たちは運がいい。今残っている迷宮城は、主の大半がすでに死んでいるか、姿を消している。もし三大魔王の迷宮城だったら、この隊じゃアンダ以外、入口をうろつくだけでも死ぬ危険がある」


 皆が集中して聞いている中、不意に「ふん」と小さな鼻笑いが聞こえた。


 一斉に視線を向けると、丸顔の青年がうんざりした顔をしている。


 ジェットには、老冒険者がまた当てにならない知識をひけらかしているようにしか思えなかった。わざと大げさに、いかにも恐ろしい話を並べ、自分がどれほど大した人間かを見せつける。そして人をこき使うことで、自分だけ利益や得を手に入れようとしているのだ。


 その鼻笑いは、当然老バダの耳にも入った。


 だが怒ることはなく、逆に冷たく笑う。


「少し話しすぎたようだな。こういう話は飛ばして、本題に入るか」


 その言葉に、周囲の冒険者たちは一斉に腹を立てた。


 伝説の冒険者から、これほど惜しみなく経験を教えてもらえる機会など滅多にない。それを価値も分からないひよっこに邪魔されたのだ。


 ミユナなどは、次に混戦になった時、ジェットへこっそり一本矢を追加してやろうかと本気で考え始めていた。


 老バダはそんな一人一人の反応までしっかり見ていた。満足げに口の端をわずかに歪めると、話を続ける。


「俺の経験からすると、この迷宮城は地上と地下に分かれてはいるが、上は飾りにすぎず、本体は地下から始まっている。つまり、ここはまだ第一層にすぎない」


「普通なら、第一層に大規模な緑皮鬼の巣が存在することはない。あれは少なくとも一万体もの邪悪体が集まり、場合によっては緑皮鬼の祭司までいる。そんな難易度のものが出てくるのは、三大魔王の迷宮城くらいだ」


「へっ。あんたがないと言えば、ないことになるのか? また外したらどうするんだ?」


 周囲から向けられる視線に気づき、自分が皆から目をつけられていると感じたジェットが、再び我慢できずに口を挟んだ。


 今度の老バダは正面から相手にしなかった。挑発することもせず、少し濁ってはいるものの、今なお鋭い両眼で丸顔の青年をじっと見つめる。


「迷宮城の邪悪体が成長するには、世界の心から養分を受ける必要がある。主を失ったこの迷宮城で、自然繁殖だけで大規模な緑皮鬼の巣が形成されることは難しい。ほとんどあり得ん」


「お前……」


 ジェットが反射的にまた言い返そうとした。


 その瞬間――


「ゴッ!」


 鈍い音が響いた!


 丸顔の青年の頭へ凄まじい衝撃が加わり、激痛が走ると同時に、その身体は地面へ倒れて意識を失った。


 冒険者たちは、片側の頬を真っ赤に腫らし、歯まで何本か抜け、口から血を流し続けている丸顔の青年を見た。


 続いて、離れた岩壁にもたれて座る女野蛮人へ視線を向ける。


 その手では、人間の拳ほどもある石がいくつか弄ばれていた。


 老バダは首を振り、軽く笑った。


 だが内心では、自分が一歩遅かったことを惜しんでいた。そうでなければ、すでに剣を抜き、隊の中にいるこの不安分子を斬り殺すつもりだったのだ!


 女野蛮人は絶妙なところで手を出した。


 おそらく、老バダが抑えきれなくなりかけていた殺意を察したのだろう。


 他の冒険者たちも、それに気づいた者と気づかなかった者に分かれていた。だが、どちらにせよ、空気の読めない新人一人のために口を出そうとする者はいない。名目上の隊長であるカルロでさえ、何も言わなかった。


 アンダが手を出してジェットを救ったのを見て、老バダも本題へ戻った。


「だから……百体を超える緑皮鬼の居住地が出てきたということは、推測していた中規模の巣がかなり近い。それはつまり、この階層の出口もそう遠くない可能性がある」


「今日はここまでにして休め。俺に、次をどう進めるか考えさせてくれ」

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