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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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聖夜を歩く


「小鳥小鳥。腕。」

「はいよ。」


クリスマスの街をふたりぶらつく。

街中はイルミネーションできらきら。

ご飯を食べたばっかりなのに、チキンも香ばしく美味しそうに思える。

総じて世界は煌びやか。

まるで私と小鳥を祝福しているかのように。


「小鳥小鳥。」

「なんだよ。」

「腕組むより手繋ぎたい気分。」

「へいへい。」


組んだばかりの腕を外して恋人繋ぎ。

そう、恋人繋ぎ。


「へへ……。」

「ふふ……。」


お互いにちょっと恥ずかしくて目を逸らす。

でもとっても特別な気分。


「クリスマスっていいね。

 街中賑やかで楽しくて。」


私がそう言うと、小鳥はふふっと笑った。

なんか変なこと言ったかな。


「お前、クリスマスは嫌いじゃなかったか?」

どこ情報だろうか。

クリスマスが嫌いなんて……。

「あ。」

「思い出したか?」

小鳥の言葉に頷いて答える。

そういえば昔はそんなこと言ってたっけ。


高校のときに小鳥と歩いたクリスマス。

寒くて苦しい冬の日の記憶。

当時は幸せそうな人を見ると妬ましかったんだっけ。


「撤回する。クリスマス。大好き。」

「ふふっ。ならあたしも大好きだ。」

「いえーい。」

「いえー。」


恋人繋ぎの手をにぎにぎ。

手袋してなくてもあったかい。


でも今の目的地は街中をぶらぶらすることじゃない。

それとなーく小鳥の手を引いて誘導する。

イルミネーションの綺麗な公園へと。


(ふふー。小鳥とイルミー。)


ウキウキする心を抑えて公園へ。

とっても綺麗なイルミネーション。

ではあるんだけど……。


「さ、さすがに人多すぎるね。」

「だなー。別にあたしは気にしないぞ。」

「い、いや!私が気にする!人混み苦手!」


というわけで退散。

あんまりごちゃごちゃしてるといちゃいちゃするのに抵抗あるのです。

なんかすごく恥ずかしいし!


仕方ないから街中ぶらぶらを続行。

むむむ。こんなはずでは。


恋人繋ぎのまま、人の流れの反対に向かって歩く。

そういえば高校のときも人を避けながらこんな風に歩いたっけ。

そして……。


「あ、ちょうどいい公園。ちょっと休むか?」

「え、あ、うん。」


ベンチのある公園。

そこに腰掛けてひと休み。


「昔のときはガチで疲れてたよな。今はどうだ?」

「毎日走ってるからね。これくらいじゃ疲れない。」

「だよな。偉い偉い。」


ベンチの上、小鳥が頭を撫でてくれた。

今の距離はすごく近い。

それにふたりきり。


「す、好きだー……。」

「え」

「な、なんでもないです。」


ちょ、ちょっと恋人らしいこと言いたくなった。

でもちょっとタイミングがおかしかった。

小鳥の顔が見れない。

絶対頭にはてな浮かべてる。


「あ、あたしも好きだぞ。」


そう言って肩に回される腕。

ず、ずるい。

それはとてもずるい。


「小鳥。好き。」

「あたしも好きだ。」


今まで我慢してたのを取り返すように、ふたり同じ言葉を繰り返す。

小さな公園。

誰も人が通る気配はない。


それから何度も繰り返し、くしゅんと私がくしゃみをしたところで正気に戻る。


またふたり手をつないで駅へと。

そして電車に乗って、また手を繋いでアパートへ。


とってもあったかな一日。

でも最後に思い出す。


(指輪渡すの忘れてた……。)


まあいいや。

明日渡せば……。



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