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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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彼女と彼女の関係


「小鳥小鳥。腕組んでもいいよ。」

「はいよ。」

「小鳥小鳥。お姫様だっこを許可する。」

「しねえよ。アホか。」

「わ、彼女に向かってアホとは。ひどい。」

「アホはアホだろ。するわけねぇだろ。」


まあ小鳥の言う事は一理どころか百理ある。

ここは東京都錦糸町。

こんなところでお姫様だっこで歩いてるやつがいたら異常者だ。


「今のは小鳥の常識をテストしたんだよ。

 おめでとう。合格。」


私の言葉に小鳥はひとつため息をついた。

でも腕は組んだまま。

この距離で充分すぎるほどに嬉しい。


「今日のお店さ。ピザがすごく美味しいんだって。

 なににする?マルゲリータ?

 それともトマトソースとモッツァレラの?

 それとも……わ、た、し?」

「意味分かんねぇよ。」


またため息。

でも口元はほころんでる。

ふふふ。


「こんなの鈴に見られたら笑われちゃうね。」

私が言うと、小鳥はくくくと笑った。

「確かにな。あいつ、きっと驚くな。」

「いつ伝える?」

私が聞くと、うーんと小鳥は考える。

そしてすぐに返事。

「しばらく秘密にしとこうぜ。

 揶揄われたら恥ずいし。」

「じゃあちょっと秘密ね。」

小鳥の口に人差し指を当てて口封じ。

小鳥はちょっと顔を赤くしたあと、優しくその指を払いのけた。


そうこうしてる間に目的地のレストラン。

予約している安藤です。

そう小鳥が告げて、個室へと通された。


「とりあえずジンジャーエールと……。」

「あ、私もそれで。」

「かしこまりました。」


ふたりジンジャーエールを頼んで、メニュー表を眺める。

店長ちゃんおすすめだけあって、メニューはどれも美味しそう。

海鮮のピザとか、めぐるちゃん大歓喜に違いない。


「めぐるも今度連れてこようか。」


同じことを考えてたのか、小鳥はそう呟いた。

息ぴったりなのも嬉しい。

やばいな。

会話してるとなんでもないようなことまで全部が嬉しく感じてしまう。


「とりあえずマルゲリータと……あと生ハムでいいか。それとシーザーサラダ頼むのでいいか?」


小鳥の提案に頷いて答える。

飲み物を持ってきてくれた店員さんに注文して、あとは到着を待つばかり。


「ねぇ小鳥。手出して。」

「ん?はいよ。」

「あんがと。」


差し出した手をにぎにぎ。

あったかい。


「……なんかすごい勢いでいちゃつくな、お前。」


小鳥は目を逸らしながらそう言った。

そうかな。

これくらい普通だと思うけど。


「いや?」

「嫌ではねぇよ。」

「じゃあする。」


ということでにぎにぎ続行。

小鳥の手はすべすべであったかいな。


「小鳥の手は綺麗だね。」

「……お前の手も綺麗だよ。」

「そんなことないよ。私の手はとっくに汚れてる。」

「おととい泥団子作ってたもんな。」

「うん、楽しかった。」


そんな会話をしてるうちに、料理も届いた。

先に届いたのはサラダと生ハム。

私に食レポの才能がないのが悔やまれるくらいにすごく美味しそうだ。


(あ、そうだ。)


良いこと考えた。

せっかく美味しそうな生ハム。

餌付けしたい。


「「……あーん。」」


声が被った。それに行動も。

ふたり揃って相手に向かって生ハムを突き出している。

これはちょっと恥ずかしい。


「……いただきます。」


先に動いたのは私。

小鳥が差し出してきた生ハムをパクり。

塩からくて美味しい。


「はい、あーん。」

「……ん。」


ちょっと……いやかなり顔を赤くしてる小鳥にもひとくちあげた。

ひとくち食べて、小鳥はぷいっと顔を逸らした。


「ピザもあーんしよっか?」

「いや、あーんはやめとこう……。

 バカップルみてぇだ……。」

「ま、まあ確かにね……。」


お互いにジュースをひとくち。

そこからは普通にピザを食べて、デザートにティラミスを頼んだ。


「はい、あーん。」

「ん。」


やっぱり我慢できなくなって、最後のあーん。


「……ほら、お返し。」

「ふふっ。おいしい。」


小鳥からもお返し。

他の人に見られたら、バカップルだと思われるだろうな。

でも個室だからセーフなのです。



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