上機嫌な小鳥とめぐるちゃんの不思議
めぐるちゃんをお家に招いてのピザパーティー。
その途中。
「ただいまー!」
玄関からそんな元気な声がした。
声の主は小鳥。
でもその声はいつもよりもずっと上機嫌。
こっちの部屋に入ってくるまでもなく、その声色がなにか幸せなことがあったと語っている。
そんなことを思ってる間に、手洗いを済ませた小鳥がお部屋に入ってきた。
やっぱりその顔はとても嬉しそうな笑顔。
それになにか紙袋を持って、なにがあったか聞いて欲しそうにこっちを見てる。
「まあまずは座りなよ。」
「そしてこちらが小鳥お姉様のピザです。」
「小鳥ちゃん、紅茶もどうぞだよ。」
「あ、わりぃな。」
まあでもまずはピザパーティーへの招待が先。
まだ温かいうちに食べて欲しいからね。
「うわ、めっちゃうめぇ。
ありがとな、フラン。」
「どういたしましてです!」
そんなこんなでピザをもぐもぐ。
小鳥の嬉しかった出来事はごはんを食べたあとのデザート。
そしてみんなが食べ終わった頃。
「さてさて、小鳥。
なんでそんなにハッピーなんだね。
聞かせてくれ給えよ。」
私はそう切り出した。
その言葉に小鳥の目がきらっと煌めく。
待ってましたと言わんばかりに、小鳥は机の上に紙袋を置いた。
「なんだと思う?当てたら褒めてやるよ。」
ふふーっと自慢げな表情。
そんなに小鳥が喜ぶもの……。
カップ麺かな。
「カップめ」
(いや、待てよ。)
言いかけて罠であることに気づいた。
カップ麺ならフランがいる目の前で自慢するわけがない。
没収のリスクがある。
そうなると考えられるのは……。
「雛乃からなんかプレゼントもらった?」
「あー。それはちょっと違うな。
プレゼントだけど鈴からだ。」
ふむふむ。
鈴がくれるプレゼント……。
「あ!分かったかも!」
思案していると、めぐるちゃんが手をあげた。
小鳥が手で促すと、めぐるちゃんは元気よく答えた。
「クッキーとかかな?鈴さんお料理上手だし!」
「残念!食べ物じゃないんだな。それが。」
ふふーっと小鳥はいじわるげに笑った。
食べ物よりもいいもの。
なおさら想像つかないや。
小鳥、めっちゃ食いしん坊だし。
「あ、ていうかそのイヤリング可愛いな。
めっちゃ似合ってる。」
「あ、ひゃ、ひゃい……。」
唐突なイヤリング褒め。
ふふー。
贈ったのは私なのです。
褒めてもらえて嬉しい。
鼻高々。
「なんでお前がどやってんだよ。」
「私が贈ったからね。」
「へー……。え、まじか。へー……。」
まじまじとイヤリングを見つめる小鳥。
小鳥も欲しいのかな。
もしそうなら嬉しい。
待っておれ、クリスマスにはペアリングを贈るから。
「えと、えと、い、今は小鳥ちゃんの紙袋……。」
「あ、そうだな。悪い。」
顔を赤くしためぐるちゃんに促され、本題へ。
もう答えが出ないことを確認して、小鳥が紙袋に手を入れる。
ガサガサという音と共に、それは現れた。
それは私も知っているもの。
確かに小鳥が大好きそうな……。
「蟹のカップ麺タイマー!!!」
「そう!いいだろ!?
鈴にしては良いプレゼントだと思わないか!?」
そう、それは私が贈ろうとしてたタイマーだった。
蟹の形で3分測れるタイマー。
カップ麺の蓋を抑える機能もついてる。
「確かに可愛いですね。
触ってもいいですか?」
フランが手にとってぽすぽすと撫でる。
頭を撫でるとタイマーは動きだした。
その間も小鳥の蟹のタイマー自慢は続く。
「カップ麺作る度に時計見るのめんどいじゃん?
でもこれがあれば自動で知らせてくれるしさ。
しかも重しにもなるんだぜ。
ひとつで一挙両得。
これをくれた鈴はさすがだよ。
物の価値ってもんが分かってるな、うん。
あれ、どうしためぐる?
なんかあったか?」
途中、小鳥は首をかしげてめぐるちゃんを見つめた。
小鳥に釣られて見ると、あうあうと口をパクパクさせるめぐるちゃんが目に入った。
(あ、そういえば……。)
めぐるちゃんはこれ買うの断固反対してたな。
なんで反対してたんだろう。
お昼はそう思ってたけど……。
(もしかしてこの展開分かってた……?)
きっとめぐるちゃんは鈴が小鳥にあげることを察してた。
だから被んないように取り計らってくれたのだ。
きっとそうに違いない。
「小鳥、実はね。
今日私もそれを買おうとしてね……。」
かくかくしかじか。
私が同じのを買おうとしたこと。
それをめぐるちゃんが止めたこと。
おかげでダブらずに済んだこと。
それを伝えた。
そしてここからは私の推理。
「つまりめぐるちゃんは未来のことが分かるのかも。
めぐるちゃんはやっぱりすごいのです。」
「え、え、はい!?」
私の推理にめぐるちゃんは目を丸くした。
今さら隠したってしょうがないのに。
「ふふっ。さすがめぐるだな。ありがとよ。」
私の話を聞いて、小鳥がめぐるちゃんの頭を撫でた。
私も加わってふたりで撫でる。
「ち、ちが。たまたま、ぐうぜん、あぅ。」
「結果がすべてだよ。めぐるちゃんは未来人だね。」
「ふふっ。未来が分かるなんてすごいな。」
ふたりで撫でる。
それを見てたフランもめぐるちゃんのお膝に乗っかってぎゅっと抱きしめた。
もう完全に逃げられない。
「めぐるお姉様。
ふふっ。これからどうなると思いますか?」
フランの問いへのめぐるちゃんの答えは沈黙。
さて、どうなるでしょう。
結果、めぐるちゃんは3人にもみくちゃに撫でられくすぐられたとさ。
おしまい。




