王子様家のピザパーティー
王子様にイヤリングを買ってもらえた。
えへへ。
えへへ……。
鏡の前、なんどもそれを見つめる。
淡い水色、小さな丸いイヤリング。
王子様からの贈り物。
そう思うとどうしてもニヤけてしまって、鏡には変な顔の私が写る。
でもこうしてずっと鏡の前でニヤニヤしててもしょうがない。
今日はフランちゃんがシーフードピザを焼いてくれるらしい。
お魚料理ということで、私もお呼ばれしてるのだ。
「に、ニマニマ禁止……。」
鏡に写る自分にそう命令する。
うん、これできっと大丈夫。
イヤリングに相応しいきりっとした自分になれた。
き、きっと……。
最後にぱちんと頬を弾いて王子様とフランちゃんのお家へ。
扉を開けると焼けたピザのいい香り。
「あ、めぐるちゃんようこそ。
もうちょっとで焼けるからここで待っててね。」
王子様はなぜか玄関に椅子を置いて私を待ち構えていた。
示されるままに座ると、王子様はよしよしと私の頭を撫でてくれた。
「でもどうして玄関で待ってるんですか?」
「フランがねー。
秘密の力でピザ焼くみたいだから。」
「あ、それなら納得です。
王子様のお家、ピザ窯はないですもんね。」
フランちゃんには内緒の力がある。
それはこのアパートの周知の事実。
私はおとぎ話に出てくるような魔法使いさんなのかなって予想してるけど、それは今は関係ない。
大事なのは、その秘密の力で作られるピザは恐らく絶品であるということ。
「お嬢様ー!めぐるお姉様ー!
焼けました!ご飯の時間です!」
私はいいタイミングで来たみたい。
フランちゃんがニコニコ笑顔で飛び出してきて、私たちはリビングへと招かれた。
「ふふー。めぐるお姉様も大好きなシーフードです!
たくさん召し上がってくださいね!」
執事服にエプロン姿。
フランちゃんの不思議な出で立ちもとっくに慣れた。
でもその笑顔にはまだ毎回きゅんと来てしまう。
とっても愛らしい笑顔。
その笑顔だけでご飯も食べられちゃいそう。
ピザのメインは海老とイカ。
ホワイトソースに浮かぶそれらはとっても美味しそう。
それに美味しそうなのはピザだけじゃない。
付け合わせにはトマトスープ。
ほかほかと美味しそうに湯気を立たせてる。
フランちゃんがピザを一切れ私のお皿に載せた。
王子様も一切れもらって、ご飯の準備は完璧。
みんなでお手々を合わせていつもの言葉。
「いただきます!」
「い、いただきます。」
「はい!どうぞ召し上がれです!」
フランちゃんに見守られながらピザをひとくち。
「わ、すごい。
やっぱりフランちゃんは料理の天才だね。」
ひとくち食べただけで、口から全身に幸せが広がる。
ピザの生地もソースも全部が美味しい。
しかも幸せなのは味だけじゃない。
「ふふー。お褒めにあずかり光栄です!
えへへ。もっと褒めてくれてもいいですよ?」
そんな風に嬉しそうに笑うフランちゃん。
その姿もこの場に幸せを呼び込んでいる。
それに王子様も。
にょーんとチーズを伸ばして無邪気にピザを頬張ってる。
私とお買い物してたときはもっと大人びてたのに。
今はよしよしと撫でたくなるくらいに子供っぽい。
「めぐるちゃん、どうしたの?」
私の視線に気づいたのか、王子様は首を傾げた。
「ふふっ。なんでもないです。」
「えー。気になる。」
「なんでもないですってば。」
笑いを堪えてそう言うと、王子様はちょっとだけ口を尖らせた。
でもすぐにピザを食べてまたさっきと同じ無邪気な表情。
とっても可愛らしい。
「めぐるちゃん、また見てるでしょ。
あとでどうして見てたか尋問するからね。」
じ、尋問……。
何されちゃうんだろ……。
えっちなことならいいな……。
なんて邪な気持ちは心の中だけ。
ひと呼吸だけこっそり深呼吸。
そして私は王子様にお返事する。
「そ、そんな大した理由はないですよ……?
なので尋問してもなにも……。」
「じゃあ尋問するー。
フラン、手伝ってー。」
「はい!かしこまりました!」
尋問が決定しちゃった。
ひゃー……。
内心どきどきしながらもご飯は続く。
今日も楽しい食卓でした。




