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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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金策そのに 鈴のお手伝い


「やっほー!遊びに来たよー!」

「遊びにきましたー!」

「いえー!ようこそー!!」

「ようこそです!」


お医者さんごっこの翌日。

私とフランは鈴とこのみちゃんのお家に遊びに来ていた。

理由はもちろん遊ぶため。

テレビゲームならお金もかかんないしね。

1日遊び尽くすぞー!


と思ってたんだけど。


「聞いたぞ兄弟!金に困ってるんだってな!

 いい仕事紹介してやるよ!」

「え、なんでそのことを。」

「みゅーみゅーから聞いた!」


前はみゅーちゃん呼びだったのに新しいあだ名に変わってる。

それはともかく、みゆちゃん経由で私の懐事情は伝わってるらしい。

懐事情を知られてるのはちょっと恥ずかしいが、鈴のコミュニティの広さを考えると聞いてみるのも悪くなかろう。


「んー。ちなみにどんなお仕事?」

「まぐろ漁船!」

「却下します!却下!却下です!」


すごい勢いでフランが却下した。

そりゃそうだ。

危なくて拘束時間が長い。

フランの嫌がる要素でいうと満点だ。


「えー。だってお前めっちゃ魚に好かれるんだろ?

 天職だも思うけどなー。

 船の帆先に結びつけてさー。

 あー、フランちゃん、叩かないでー。」


ぷーぷーと文句を垂れる鈴をフランがぽかぽかと叩く。

鈴は宇宙人、痛みは感じない。

叩かれているにも関わらず。楽しそうに笑っていた。


「まあそんな冗談はさておきさ。」


ある程度叩かれたところで、鈴はからりとそう言った。

まぐろ漁船は冗談だったらしい。

今度は本命のお仕事。


「実は明日さー。

 みゅーちゃんとみゅー爺やとお出かけすんだよね。

 でも仕事もあってさー。

 仕事代わりにやってくれたらお給料あげるー。」


そう言って鈴は警察手帳をぽいっと投げてよこした。

警察手帳を……。


「いや、ちょっと待って。

 それは、無理。」

「えー。なんでさ。」

「いやいや!だって!駄目でしょ!」


警察の仕事を代わりに??

それはいくらなんでも無理だ。

私にそんな能力はないし、なんかの法に抵触しそう。

だって私は一般人。

警察と同じことをしていいはずがない。


「り、鈴ちゃん?僕もそれはだめだと……。」


このみちゃんもあたふたとしてる。

私の感覚は間違ってなさそうだ。

なのに鈴はなおもカラカラと笑う。


「でーじょーぶでーじょーぶ。

 在宅勤務のお仕事だからー。」


鈴はそう言うと、腕輪をちらりと見せた。

なんで腕輪?

そう聞く前に答えは返ってきた。


「警察からさー。

 行方不明者とかいたら連絡くるからさー。

 来たら腕輪で調べて住所送ってー。」

「ん、それだけ?」

「だけー。」


思った数倍簡単なお仕事だ。

あ、でもなにか罠があるかも。

一応ちゃんと聞いておこう。


「本番の前にお試ししたい。

 どんな風にするの?」


私が言うやいなや、鈴はスマホをぽいっと投げ渡してきた。

スマホには大きく『業務用!!!』とシールが貼られてる。

鈴の公務用のスマホらしい。


「じゃあお試しなー。

 まず地図アプリを出して……。

 そんで小鳥の位置にピン打って。」

「うむ。」

「はい終わり。これを連絡きたらするだけ。」

「え、楽すぎない?」


腕輪でちょっと思い浮かべて、そこにピンを刺すだけ。

お仕事と言っていいのか分かんないくらい楽だ。


「まあそれでも大事な仕事だからなー。

 じゃあ明日は任せたー。

 よっしゃ!ゲームしようぜ!」


もうこの話は終わりとばかりに、鈴がテレビ台に向かって駆けていく。

あっという間にSwitchが起動。

スマブラの壮大なテーマが流れ始めた。


「僕、今めっちゃピチュー練習してるんですよ。

 フランちゃんもボコボコにできる気がします!」

「まだまだ負けないですよ!

 ボコボコに仕返します!」


このみちゃんもフランも待ってましたと言わんばかりにマイコントローラーを握った。

さて、私も勝負勝負……。


「あ、でも待って。大事なこと聞いてなかった。」

「んー?なんかあったっけ?」

「お金お金。どれくらいもらえんの?

 日給?出来高?」

「出来高ー。」


ふむふむ。

答えた数だけお金がもらえると。


(まあこんな簡単なお仕事だ。

 お小遣い稼ぎくらいにはなるかな。)


スマホポチポチで終わる簡単なお仕事だ。

金欠を解消するほどは望まない。

手間を考えると……。


「1件につき1000……いや500円くらい?」

「うんにゃ。1件50000円。」


ふむふむ。

ふむふむ。

へー……。


「ごごご」

「お嬢様。お気を確かにです。」


フランがそっと手を握ってくれた。

いや、待って。

嘘でしょう?


「いや、人探しに本来使う労力考えてみろよ。

 これでも安いもんだぜ。

 ほら!早く!スーマーブーラー!!」


呆気に取られる私を急かすように、鈴はバンバンと床を叩く。

でもそんな気軽に流していい金額じゃない。

なんか裏、裏があるのでは。


「こ。このみちゃん。このみちゃんはこのバイト。」

「あー……。1日だけやりました。

 金銭感覚おかしくなりそうなので……。

 もうやることはないです!」


このみちゃんはそう言い切ってみせた。

で、でも確かにそうだ。

もしこれで10万円とか手に入っちゃったら普通のお仕事ができなくなってしまう。


「り、鈴。やっぱり、私、この仕事……。」

「えー!!みゅーのすけと遊べないじゃん!

 やって!やって!やって!お願い!」


一度手にしたコントローラーを手放し、私の元へ。

ぶんぶんと私を揺さぶるものだから、私は頷いてしまった。


「よっしゃ!じゃあ明日は任せたからな!

 やったー!みゅーたんと爺やと遊べるー!」


ということで引き受けることになった。

簡単すぎて気が重い……。。

こんな稼ぎ方でいいのだろうか……。


「あ、それとついでにこのみのお世話もよろしく!

 それも含めてバイトだから!」


最後に鈴はそう言った。

ということで明日は警察代理とこのみちゃんのお世話係。

あんまり大金にならないといいな……。

そんなことを思いながら、私は自分のコントローラーを握るのであった。


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