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余命60年の私と余命8億年の君  作者: とりもち
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金策そのいちの顛末


「王子様とお医者さんごっこしたかったからです……。

 お金は払うつもりでした……。」


めぐるちゃんはすぐにそう白状した。

お医者さんごっこしたかったから。

ふむふむ。

ほうほう……。


「ごめん、もう一回言って。」

「お医者さんごっこしたかったんです……。」


恥ずかしそうに顔を真っ赤にしてる。

どうやらその言葉に嘘はない様子だ。


(まじかー。)


どうして嘘をついたのか。

私のためを思って嘘のお仕事を紹介したのかなーって予想はしてた。

でもまさかまさかだ。

そんな理由で嘘をつく子がいるとは。

私はどこでめぐるちゃんの教育を間違ったのだろう?


「えっと……あ、あたしは席外すな。

 あとはふたりでごゆっくり……。」

「待って。小鳥もここに居て。」


逃げようとする小鳥の手を掴んで引き止める。

めぐるちゃんがおかしなことを言っているのだ。

私ひとりじゃ受け止めきれない。


渋々と小鳥も部屋に残った。

さあ尋問再開だ。


「でもお医者さんごっこ?

 そんなの言ってくれればいくらでもするのに。」

「ち、違くて、その……。

 患者さん役の王子様じゃなくて、あの……。

 王子様を診察したくて……。」


またしどろもどろ。

しかも輪をかけてよく分かんない。


「どういうことだよ。」

「さぁ……私に聞かれても……。」


小鳥もよくわかってないようだ。

私だけが取り残されてるわけじゃないのはちょっと安心。


「えっと。ごめん。詳しく教えてもらっていい?」

「あぅ。」


そこから先を聞きたいのに、めぐるちゃんは固まってしまった。

これじゃ先に進めない。

どうしたものか。

そう考えたとき、小鳥が助け舟を出してくれた。


「よく分かんないけどさ。

 お医者さんごっこ、やってみればいんじゃね。」


うむ、確かにそうするしかあるまい。

ということで実践だ。


「じゃあめぐるちゃんお医者さん役ね。

 小鳥は看護師さんだからナース服着てきて。

 確か鈴が買ってきたセクシーナース服……いたっ!」


ぺしっと無言で叩かれた。

まあそれはともかくだ。

やつてみないことには分からない。

めぐるちゃんは少し渋ったものの、お医者さんごっこしてくれないと怒るよと言ったら渋々頷いてくれた。


(患者さん役……。よし。)


演じたいイメージもばっちり。

さっそくスタートだ!


「えっと……今日はどこが悪くてこちらに……。」


おずおずとめぐるちゃんはそう言った。

うーん、さっきの方が女医さんぽかった気がする。

そんな緊張しないでいいのに。


「今日は……」


(あ、そうだ。いいこと思いついた。)


症状を伝えようとしたときに天啓が舞い降りた。

ふふー。


「今日は胸の調子が悪くて。

 動悸が激しいというか……。」

「え」

「うん、どきどきしてしょうがないんだ……。」


めぐるちゃんはぽけーっと口を開けた。

まったく、お医者さんらしくない。

まあここは私がカバーしてあげよう。

なにも喋らないめぐるちゃんの代わりに、私はさらに言葉を続ける。


「僕のこのどきどきはどこから来たのかな。

 お医者様をひと目見たときから……。」


「っ!もしかしてこれは……。」


「恋の病……?」


めぐるちゃんの目をまっすぐに見つめて、私はそう言った。


「あぅ。あの、その……。」


めぐるちゃんはそう言って顔を赤くした。

ちゃんと私からのアプローチは聞いてるらしい。


ふふー。

でもまだまだこれから。

畳み掛けるぞー。


「ねぇ、そこのベットで一緒に寝ない?

 そしたらこのどきどきも……いたっ。

 看護師が殴った!こいつ!クビにして!」


肝心なタイミングで小鳥にぶたれた。

なんてひどい看護師だ。

おかげでお医者さんごっこも中断してしまった。

まだめぐるちゃんの言ってた違いも見つかってないというのに。


「まあでも何となくは分かったよ。

 こいつ、すぐ調子に乗るもんな。」

小鳥の言葉に、めぐるちゃんはゆっくりと頷いた。

え、ひどい。

「で、でもこれはこれで良いというか……。

 小鳥ちゃん、続きしちゃ……。」

「駄目に決まってんだろ。」

「あぅ。」

小鳥はそう一蹴した。

私ももうちょっとしたかったのに。

でもまあしょうがないか。

私にはよく分かんなかったけど、めぐるちゃんの真意については小鳥が理解したみたいだし。

これ以上続ける意味もない。


あ、でも。


大事なことを忘れてた。

すっごくすっごく大事なこと。


「でも嘘ついたのは悪いことだからね!

 めぐるちゃんにはその罰を受けてもらいます!」


そう、嘘をついたことへの罰だ。

私の言葉に、めぐるちゃんはまた口をパクパクさせた。

でもしょうがない。

可愛い彼女からお金を受け取るわけにはいかないからね。

お金の代わりといえばやっぱり……。


「今日から1週間、私とフランの抱き枕ね。

 予定してたバイト代は2万円だっけ?

 身体で払ってもらうからね!」


ということでめぐるちゃん持ち込みの治験バイトはこれにて終了。

お金こそ手に入らなかったものの、もっと素敵なものが手に入ったのであった。


可愛い可愛い抱き枕。

フランとたくさん意地悪しちゃお。

ふふふ。

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