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男性向け恋愛ゲームのヒロインの姉に転生したので、妹もゲーム主人公も幸せにします  作者: 駒うさすず
第二部

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51話 にぎやかな新学期

「あった……二年一組!」

 始業式が終わってすぐ、私は二年生の教室棟に来ていた。

 下駄箱の横に貼り出されたクラス表。

 二年一組と書かれたすぐ下に、『雨坂翔馬』の名前を見つけた。

 原作ゲームでも翔馬は一組だった。今はもう懐かしくさえ思う。

 並んだ名前を追って、同じクラスに『来見優輝』『鈴白咲愛』の名前を見つけた。

 ゲームの通りだ。


 原作ゲーム『君は見る、僕は瞑る』は、翔馬が学園の二年生になった春から物語が始まる。

 全然違う人間関係になってしまっているけど、ゲームみたいな展開があったりするのかしら。

 ……あの翔馬に彼女ができる未来が、ちょっと想像できない。

 ゲームの翔馬の持っていた繊細さはどこに行ったのか、ずっと行方不明のままだ。


「鈴白先輩、ここにいらっしゃったんですね」

「こんにちは、千賀屋君。うちのクラスは早く終わったのよ」

「先輩の三年二組はここから近いですからね」

 クラス表は今日貼られたばかりなんだけど。

 当然のように把握されている。

「ん? 千賀屋君、何組なの?」

「三組ですよ。沙月さんと同じクラスになりました」

 原作ゲームだと、千賀屋は咲愛と同じ一組に転校してきていた。

 ここは違うのね。

 千賀屋君と話していると、軽やかな足音が聞こえてきて、隣で止まった。

「鈴白先輩、柳さん」

 鈴を転がすような声。

「小真智ちゃん! 入学おめでとう」

 去年の文化祭で会った、小真智ちゃんが立っていた。

 うちの学園の制服に身を包んでいる。

 少し大きめの制服を買ったようで、手の甲の半分くらい袖で隠れていた。

「ありがとうございます。今日は柳さんと一緒に帰宅するよう言われていて、迎えに来ました」

「僕が行くと言っただろう」

「ごめんなさい。先輩がたにもお会いしたかったの」

 胸の前で揃えた両手を少し横に傾け、小首をかしげる小真智ちゃんは、少しあざとい。

 でも。

「それなら仕方ないか」

 わかるわ。年下にねだられたら、頷くしかないのよね。

 私も咲愛にお願いされたら断れない。


 ほかの生徒たちも次々と廊下に出てきた。

 翔馬と咲愛と来見君の姿も見える。

「レン姉。と……お前か」

 嫌そうな顔で千賀屋君を見た後、隣の小真智ちゃんに気がついたらしい。

「えっと……姫篠、さん?」

「はい。雨坂先輩、ご無沙汰しております。このたび鏡水学園に入学しました。今後ともよろしくお願いいたします」

「あ、うん。よろしく」

 小真智ちゃんは翔馬の隣の咲愛と来見君のほうを見た。

「千賀屋柳の従妹の、姫篠小真智と申します。咲愛先輩には昨年にご挨拶できず、失礼いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」

 丁寧に頭を下げる小真智ちゃんに、咲愛はにっこり笑った。

「お姉ちゃんからも聞いてるよ。困ったことがあれば聞いてね」

「千賀屋の従妹? オレ、来見優輝。よろしく!」


「あー! ちがやん!」

 明るい声が聞こえてきた。呼び名だけで誰なのかわかる。

「先生に呼ばれてたの、無視して教室を出たでしょー!」

 麻菜ちゃんが口を尖らせながら階段を降りてきた。

 すぐに小真智ちゃんにも気づいた。

「おや、その子誰?」

 小真智ちゃんが咲愛や来見君にしたのと同じように、丁寧に挨拶する。

「よろしくー。あたし、沙月麻菜。ちがやんと同じクラスだよ。コマちゃん、スマホある? 連絡先交換しよ!」

 さっそく小真智ちゃんにあだ名が付けられている。

 連絡先交換をしながら、麻菜ちゃんは千賀屋君に話しかける。

「ちがやん、明日登校したら先生のとこ行きなよ。話があるって。……よし、交換完了!」

「クラス代表の話は断ったんだよ」

「先生はやってほしいらしいよ。明日先生に直接言ってー」

 自然に皆が揃ったので、駅まで一緒に帰った。


 最寄り駅から鈴白家に三人で向かう。

「二人とも同じクラスでよかったわね」

「担任が竜堂先生になったの」

 知ってる。それも原作ゲームの通りだ。

「咲愛は麻菜ちゃんと離れたのが残念ね」

「でも一年生で同じクラスだった子が何人かいるから。明日一緒にお弁当食べる約束してるの」

 そうなんだ。

「翔馬は来見君とまた一緒のクラスでよかったわね」

「いや、俺も優輝以外に友だちいるから」

 そうなんだ!?

「何その顔。当たり前じゃん」

 だって原作ゲームでは来見君以外友だちいなかったし……。

 本当に立派になって……。

「その子どもを見るような微笑み、腹立つからやめてくれない?」

 ……全然精神性は変わってない!


 家に到着して、持っていた鍵を鍵穴に挿す。

 鍵には、お正月に翔馬がくれた学業成就のお守りを結んである。

 原作ゲームの期間に入ったら皆変わってしまうのかと思っていたけど、そんなことはなかった。

 この一年、どんな学園生活が待っているんだろう。

 そう思いながら、私は鍵をひねってドアを開けた。

いつも読んでいただきありがとうございます。励みになっています。

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