↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男性向け恋愛ゲームのヒロインの姉に転生したので、妹もゲーム主人公も幸せにします  作者: 駒うさすず
序章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/54

03話 犯人は誰だ

 ※作中ゲーム、『君は見る、僕は瞑る』の登場人物は全員十八歳以上です。


「うーん……まずい」


 家に戻ったあと、私は二階の子ども部屋にいた。

 机の前で頭をかかえる。

 雨坂(あまさか)翔馬(しょうま)、鈴白(すずしろ)咲愛(さくら)、鈴白(すずしろ)恋華(れんげ)。

 『はるはる』のキャラと同じ名前の人物が三人、しかも思い出してみれば鈴白家の外観はゲームに出てきた絵とそっくり。


 信じたくないけど……ゲームの世界に入り込んでしまった、ということなんだろう。

 会社でオタク仲間だった後輩が萌え萌え言ってた「ゲームや漫画の世界に転生するパターン」だ。

 まさか本当にあるとは。

 まだ自分で戦ったりするファンタジー世界でなかっただけマシだ、なんて全然思えない。


 この世界は十八禁……十八歳未満購入禁止の男性向けゲーム。

 ゲームではイベントが起こって、主人公の翔馬の選択によって攻略対象と仲良くなり、エンディングを迎える。

 その間には必ずエッチシーンが入るのだ。

 咲愛はもちろん、今の私、恋華にもある。

 まあ何年も先のことだし、恋人同士なら……って、それは置いておいて。

 問題はシナリオだ。


 このゲーム、なぜか咲愛だけ貞操の危機が何度も訪れる。

 しかも翔馬相手以外で。

 そのイベントは、一つ選択肢を間違っただけでバッドルートに一直線。咲愛の目から光が消える。

 私をはじめとする他のヒロインには、翔馬以外とのエッチシーンは用意されていない。際どいシーンはあっても、選択肢はなく未遂で済んだり、翔馬が助けに入ったりする。

 咲愛ルートでだけ、咲愛を好きだというキャラクターが何度も何度も! 出てきては危機が訪れるのだ。

 シナリオを書いた人のコメントを見たけど、咲愛が推しキャラだったので熱が入ったらしい。愛が屈折してる! 


 ゲームの全部のルートやイベントはクリア済みだ。アルバムだってフルコンプ。私ならこの世界で、咲愛の貞操に関わるイベントを阻止できるはず。

 妹は守りきって見せる!


「よーし! お姉ちゃんがんばる!!」

「じゃあお姉ちゃん、がんばりついでにご飯の用意手伝ってね」

「え」


 決意を込めて立ち上がったところで、後ろから咲愛に呼ばれた。


「お母さん達から、今日は帰りが遅くなるから、ごはん食べておいてって。ハンバーグ温めるから、手伝って」

「あ、うん、わかった……」


 可愛い妹にお姉ちゃんは使われるのだった。

 なんでこの子、こんなに逞しく育ってるんだろう……?


 もう一つ、気になることがある。

 ゲームでは、翔馬は今私達とは顔を合わせていないはずなのだ。

 もともと、雨坂家は鈴白家と隣同士だった。

 それが縁で家族ぐるみで仲良く過ごしていたが、まだ幼い翔馬を残しておじさん、おばさんは事故で亡くなってしまう。

 その時に恋華……私じゃない、ゲームの中の恋華は、翔馬が親戚の元に行くことが幸せだと考えた。だからあえて翔馬を突き放す言葉を言った。


「……翔馬ちゃんは、あっちのおうちにいきなよ。バイバイ」


 たった一言だったが、今まで仲の良かった女の子にそんなことを言われた翔馬は、それまで静かに泣いていた涙が止まり、呆然としていた。

 ゲームをプレイしていた私ですら、手が止まってしまったのだ。子どもならどれだけの衝撃だっただろう。

 ショックを受けたままの翔馬は、そのまま遠縁の親戚に引き取られたはず。

 でも今の私の記憶には、違う思い出が残っている。

 確かに翔馬のおじさんとおばさんは事故で亡くなった。……けど、翔馬は我が家で暮らしているし、私がなにかを言った覚えもない。

 さらに、翔馬の今暮らしている家は、鈴白家。私達姉妹のいる家だ。


 これはどういうことなの?



「恋華が翔馬ちゃんの親戚の方達の前でワンワン泣いて、翔馬ちゃんを連れて行かないでー! って騒いだからよ」


 夜、帰ってきたお母さんに聞いてみると、予想外の答えが返ってきた。

 ちなみにお子様二人はすでに就寝中だ。私、年上だから! えっへん!

 ……恋華になったことで、私の精神年齢は引っ張られてるのかもしれない。



「翔馬ちゃんまで恋華の大泣きにびっくりして泣き出しちゃって。二人とも過呼吸を起こすし……落ち着くまで一旦うちで預かることになったの。その間に向こうの方と話をして、結局これからもうちで暮らすことになったのよ」


 記憶が戻る前の恋華(私)がすでにやらかしてた。

 確かに私なら、ゲームの恋華みたいに考えられないだろうし、子どもの時なら翔馬と離れたくないって大泣きするだろうな。

 ……成績表に「もっと落ち着きましょう」って書かれてるくらいだし。


「あのときはあんた、涙と鼻水でものすごい形相になってて……」


 お母さん、そんな詳細に思い出してもらわなくていいんだよ。そんな娘の姿、忘れて。


「翔馬ちゃんにはつらい記憶だから、そのことあの子に話したりするんじゃないわよ」

「わかってる」

「あら、いつもなら何で?って聞くのに。お姉ちゃんになったってことかしら?」


 お母さんが私の頭を撫でる。


 ご両親が亡くなった時の光景なんて、いくつになっても辛いだろう。

 それにしても、私が駄々をこねたって……。

 ゲームの恋華と違いすぎる。

 でもゲームでは、その後翔馬が親戚をたらい回しにされたりしていると聞いた恋華は、自責の念から自分を追い込むようになるし、また傷つけてしまうのが怖くて翔馬から距離を取ろうと、学園で再会した時も冷たく接してしまっていた。それでさらに自責の念が強くなって……の悪循環。


 私のやらかしは恥ずかしいけど、翔馬はゲームだと親戚の家に居づらかったみたいだし、結果的には良かったのかな……

作中ゲーム『君は見る、僕は瞑る』の登場人物は、時系列がおかしくても全員十八歳以上です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。