↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男性向け恋愛ゲームのヒロインの姉に転生したので、妹もゲーム主人公も幸せにします  作者: 駒うさすず
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/54

23話 ラッシュガードの攻防

 リゾートプールに行く当日になった。

 翔馬には借りている部屋から我が家の玄関に来てもらい、そこで合流した。

 他の皆とは駅で待ち合わせだ。

「レン姉、まだー?」

 玄関から翔馬の声が聞こえる。

 私はリビングでショルダーバッグを漁っていた。

「ちょっと待って。財布がどこに行ったのか……」

「お姉ちゃん、玄関にあるよ。私が持っておくね」

「そっか、忘れないように置いたんだっけ。お待たせ、行きましょう」

 エアコン消した。鍵も良し。

 今日の咲愛はTシャツと少しフリルがついたハーフパンツに、花の飾りがついたサンダルを合わせている。

 翔馬はここ最近いつも着ているTシャツとハーフパンツ。この子これしか服持ってないのかしら……。スニーカーは旅行の後買ったようで、新しいものを履いている。

 私は珍しく、脱ぎ着しやすいようにシンプルなロングワンピースを着ている。足元はちょっとだけヒールのついたサンダル。

 セミの大合唱が聞こえる中、私たちは駅へ向かった。



 駅の改札前ですでに集まっていた皆と合流する。

 麻菜ちゃんはTシャツと飾りのついたデニムのショートパンツ。スニーカーとキャップの組み合わせが麻菜ちゃんに似合っている。

 千賀屋君は普段のイメージ通りだ。

 綺麗めファッションというのだろうか。薄い柄のシャツと夏用の薄手のジャケット。シンプルなスラックスと一色の細身のスニーカーが身長の高さを引き立てている。

 来見君は大きなオーバーサイズのシャツに、ゲームのキャラクターらしきドットの絵が大きくプリントされている。そしてハーフパンツと履きやすそうなサンダル。


「おはようございます、先輩。学園で見る制服の先輩も素敵ですが、私服は愛らしさが際立ちますね」

「おはよう千賀屋君。今日も元気そうで良かったわ」

「朝から意味わかんねーこと言ってんじゃねーよ」

「こら」

 翔馬を小突く。

「ごめんね、待たせちゃった?」

「大丈夫でーす! 楽しみで早く来ちゃっただけなんで!」

「オレもー!」

「ねー」と麻菜ちゃんと来見君がわかりあっている。可愛い。

 改札をくぐってホームへ向かう。



 電車に数駅乗り、降りると目の前に大きなドーム状の建物が見える。今日の目的地だ。

 ホテルが併設されていて、プールは宿泊客以外も利用できる。

 来る前にホームページも見たけど、浮き輪なども貸し出しがあり、建物の大きさからして一日遊べそうだ。

 入場手続きを千賀屋君にお願いした。戻ってきた千賀屋君は全員に飾りのついたキーバンドを渡した。

「この飾りにICタグが入っています。ロッカーの施錠もこれで行ってください。買い物をする時はこれをかざして、帰る時にまとめて精算になります。防水加工はされていますが、あまり乱暴な使い方はしないようにしてください」

 すごい。この飾りが鍵にもなるんだ。

「わかったわ」

「更衣室からプールに入場したら、近くに飲食店があります。その横で待ち合わせにしましょう」

 千賀屋君の言葉に皆が頷いた。

「なるべく待たせないように急ぐわね」

「いえ、先輩と会える喜びに比べれば、待つ時間など一瞬です」

 千賀屋君が絶好調だ。


「うわー! きれーい! 市民プールと違う!」

 明るい更衣室を見て麻菜ちゃんが歓声を上げた。

 確かに、プールから戻ってくる人もいるはずなのに、床がしっかり乾いている。

 入口とプール側は二重のドアで区切られていた。

 三つ並んで空いているロッカーを見つけたので、そこを使うことにする。

「じゃーん! もう着てきてたのでしたー!」

 麻菜ちゃんがさっとTシャツを脱ぐ。

 下には黄色地に花柄がプリントされたタンキニを着ていた。

 シンプルな形だけど、華やかで大きな柄が麻菜ちゃんに似合っている。


「帰りの着替えも持ってきてるからバッチリだよ。さーちゃんとレン先輩は?」

 仁王立ちの麻菜ちゃんに、私はワンピースを脱いだ。

 咲愛もTシャツを脱ぐ。

 私はシンプルだけど胸元にだけ飾りのついた黒いタンキニ。

 上からショートパンツタイプのものを履いている。

 咲愛は肩ひもの部分がフリルになっているパステルカラーのタンキニ。短いパレオがついている。私と咲愛の二人であれやこれや探して買ったものだ。

 胸元がすっきりしているので、あまり強調されないのが気に入ったらしい。

「私たちも着てきてるの」

「やっぱりやりますよねー! さーちゃん可愛いね! 似合ってる」

「麻菜ちゃんも明るい色似合うよね。可愛い」


 私はそんな二人のやりとりを聞きながら笑顔のまま、持ってきたラッシュガードをさっと羽織る。

 ……だって。

 この二人、私より年下なのに。

 ……。

 ……真実を直視するのはやめよう。


「あ、あたしもラッシュガード着とこ」

 麻菜ちゃんと咲愛もそれぞれ持ってきたラッシュガードを羽織った。

 キーバンドの鍵でそれぞれロッカーを施錠して、腕輪として手首に巻く。

「じゃあ、行きましょう」


 プールに繋がるドアを出ると、ざわめきに包まれた。

 同時に、プール特有の水っぽい匂いもしている。

 混雑というほどではないけど、利用者は多かった。

「あ、来たきた。鈴白先輩、こっちっすー!」

 出るとすぐに来見君の声が聞こえた。

 そちらを見ると、……わあ。

 一角だけ、世界が違っていた。

 皆、顔が良いんだなあ……。

 売店の横に三人の男子が並んでいた。

 翔馬はハーフパンツタイプの水着。一部に柄が入っているけれどシンプルだ。

 千賀屋君は真っ黒でひざ上丈の、こちらもトランクスタイプの水着。ラッシュガードを上から着ている。

 来見君は明るい色のハーフパンツタイプ。大きめのラッシュガードを羽織っていた。

 周りで女の子たちが三人の方をチラチラと見ている。わかる。

 私は今からあの中に入りに行くのね。……やだなあ。

 しかし待たせるわけにもいかない。


「ごめんね、待たせちゃった?」

「全然! 全然っす! 皆可愛くて……なんだっけ……目の保養?」

「るーみん、おっさんくさい」

「ひどっ。正直に言ったのに!」

「それはありがとねー」

 にひひ、と麻菜ちゃんが笑う。


「俺も水着買ったんだけど、どう?」

「可愛いと思う。ね、さーちゃん」

「うん。可愛い」

「なんでー!? 格好良くない、これ?」

「格好いいと思っているところが、可愛いと思うわ」

「鈴白先輩まで!?」


 はしゃぐ来見君に比べて、他の男子二人は静かだ。

「翔馬、ちゃんと水着持ってたのね」

 声をかけると、「え、あ、は?」と返事じゃないものが返ってきた。

「水着。持ってたのね、って言ったの」

「ああ……うん」

 歯切れが悪い。


「どうしたの? 待ってる間に体冷えた? 温かいもの買ってこようか?」

「い、いらない。……あのさ、レン姉」

「うん?」

「……前、閉めたら」

「前?」

「ラッシュガード! 閉めたら?」


 ……ああ、私が二人にコンプレックス持ってるから、せめて出すなと。

 優しさなんだろうけど、人に指摘されるのって腹が立つわね。

「……」

「え、何で脱いだ!? やめろよ着とけよ!」

「なによ! 私の勝手でしょう!?」

 翔馬は普段なら「着て」と言ったときは無理やり着せてきたりするのに、なぜか今日は近づいてこない。

「お願いだから!」

 と言うだけだ。

「嫌ならいつもみたいに着せなさいよ」

「え、は? いやそれは……」

 無理に着せるほどじゃないなら、脱いでたっていいじゃない。

「鈴白先輩、僕もラッシュガードは羽織られたほうが良いと思います」

「えっ……そう……?」

 珍しく千賀屋君が真剣な表情で言ってくるので、仕方なく私はもう一度ラッシュガードを羽織った。


「せっかく買ったから、水着、見せたかったのに」

「見たから。見えてるから」

 見たくないものを見せて悪かったわね!

「先輩が魅力的な事は自然の摂理ですから」

 千賀屋君、それは言い過ぎです。ありがとう。


 ぱちん、と麻菜ちゃんが手を打った。

「あたし流れるプール行きたい! そしたら終わりのところでスライダーやる! いっしょに来る人!」

 全員が手を上げて、最初に流れるプールに行くことが決まった。

いつも読んでいただきありがとうございます。励みになっています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。