↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男性向け恋愛ゲームのヒロインの姉に転生したので、妹もゲーム主人公も幸せにします  作者: 駒うさすず
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/53

10話 勉強会当日

 放課後、勉強会のメンバーで一年一組に集まった。

 麻菜ちゃんが来見君を見て驚く。


「あ、るーみんだ」

「え、それオレのあだ名?」

 来見君は嫌がるでもなく、面白そうにしている。

 こういうところがいい子だ。


「そうだよー。来見だから、るーみん。まっさんと一緒によくいるよね」

「よく知ってんね。えーと、沙月さん、だっけ」

 麻菜ちゃんは頷く。


「るーみん、目立つからね。女子の間で結構有名だよ」

「え、なにそれ。格好いい、的な?」

「ううん。可愛いって」

 何だよー!と来見君が天を仰いだ。小柄だし、ノリが良いし……うん、格好いいというより、可愛いよね。わかる。



 勉強会が始まった。

 教室の端のほうでいくつか机を寄せて、皆は持ってきた勉強道具を取り出した。


「まだ新学期が始まってひと月だから、範囲も狭くて済むと思うけど……」

「でも全部わかんないですよ。てか、何がわかんないのかもわからないです!先輩ヘルプ!」

 元気よく言う麻菜ちゃん。とても麻菜ちゃんらしい。


「じゃあ麻菜ちゃんは、数学Ⅰの、このページの練習問題からやってみない? 答えを見ながら解いてみて」

「えっ、答え見ちゃっていいんですか?」

「いいのよ。一つの問題で引っかかるより、いくつも問題文や解き方に触れるほうがいいと思う。解き終えたら、もう一度最初から解くの。自力で解けると思ったら、次は同じ問題を答えを見ないでやってみてね。この計算はこれからも使うことが多いから、今覚えたほうが後は楽になるわ」

「やってみます!」

 麻菜ちゃんはそう言うと、教科書とにらめっこし始めた。麻菜ちゃんは基本的に真面目なのよね。

 咲愛を見ると、咲愛は古文の教科書とこの前買った参考書、そしてノートを取り出している。


「私は大丈夫。最初は自分でやってみる。わからなかったら聞くね?」

 うちの妹は今日も偉くて可愛い。


 来見君は翔馬と話している。小声で話が弾んでいるようだ。

「何で俺んとこ来んだよ。レン姉と話せるって喜んでたろ」

「バッカ、お前。女の先輩に一人で話しかけるって緊張すんだろ!」

「しねえよ。レン姉だぞ」

「普通はするんだよ!」

 ごにょごにょと何か話しているが、声が小さくて聞き取れない。

 しばらくして、来見君が急に普通に話しだした。


「あ。なあ、雨坂は数学Ⅰわかる? 授業も聞いたけど、そのときのノート見てもわかんなくてさ」

「ああ、それは……」


 どうやら翔馬が教える側みたい。翔馬自身は現代の国語の教科書を出している。

 ゲームの翔馬はそれほど成績が上位という印象はなかった。そこまで悪いというわけでもないけれど、はっきりと成績がいいとも書かれていない。

 今の翔馬は、得意科目の数学だけかなり上位。他の教科の成績との差が大きい。

 咲愛と一緒に勉強していることも多いから、自然に勉強する習慣ができたおかげだと思う。


 千賀屋君も、この間買った参考書を持ってきていた。

「先輩に教えて頂きたいのはここなんです」

「ああ……最初だからわかりにくいわよね……」

「この問題では……」

 千賀屋君の声が遠い。


「……鈴白先輩?」

 千賀屋君の声にはっとする。


「……あ、ごめんね。少しぼーっとしてしまって。何だっけ」

 まずい、意識が飛んでた。千賀屋君以外もこちらを見ている。

 中でも翔馬の顔が一番怖い。


「レン姉。ちょっとそっちの席に行って」

 翔馬の声に、千賀屋君が反射的に口を開こうとして、続く言葉に口を閉じた。


「レン姉全然寝てないだろ。少し寝てて。千賀屋には俺が教える」

「……え、ううん。大丈夫よ、せっかく準備もしたし」

「へえ、何時まで?」

「……ちょっとだけ……」

「お姉ちゃん、いつまで準備したのか時間教えて」

 咲愛まで問い詰めてくる。


「……三時。でも」

「レン姉、もう一回言うけど、そっちの席に行って、少しでいいから寝て」


 でも千賀屋君を放っておくわけには……と千賀屋君を見ると、千賀屋君も心配そうな顔をしていた。


「俺、数学なら教えられる。昨日そこだけ復習しといたから。文句ねえだろ千賀屋」

「……ああ」

 翔馬は私を立たせ、少し離れた席まで連れていった。


「三十分くらいしても起きなかったら起こすから、寝てて」

 翔馬はそう私に言って、千賀屋君のほうに向かった。


「そこ、俺も前にレン姉から教えてもらった。ひっかかってんのは、途中の計算で、なんでここではこの公式を使うかがわからない。違うか」

「……そうだ」

「それは、ここに書かれてる意味を……」

 二人の声を遠くに聞きながら、私は眠りに落ちた。


 目が覚めて、すぐ時計を確認する。眠ってから二十分くらいだろうか。

 翔馬と千賀屋君が、並んで参考書を囲んでいた。


「……正直、驚くほど分かりやすかった」

「だろ。考えすぎてんだよ」

 すごい。翔馬が人に教えられるほど理解してくれてる。しかも、原作でも今でも仲が悪い翔馬と千賀屋君が、穏やかに話をしている。

 感無量で見つめていると、こちらを見た翔馬と目が合った。


「……レン姉、その見守る微笑みやめろ」

 げんなりした翔馬のその言葉に、千賀屋君の眉が吊り上がる。

「なんだ貴様、鈴白先輩にその態度は!」


 ……一瞬前までのいい空気が台無しだった。

いつも読んでいただきありがとうございます。励みになっています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。