表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
つないだ手の先に  作者: はらぺこ姫
子供と共に
PR
49/52

物語は本当の話

【童話のお話】

「ねえ、パパ。人魚姫のお話、して」

布団の中。

子供達は夫の話を聞いて寝るのが大好きだ。

昔は私が絵本を読んでいた。

でも、あの時から…。


【羽美の小さい頃】

「人魚姫。泡になって消えるなんてかわいそう!」

絵本を読んでいると、羽美が急に泣き出す。

これは、お話だからと言っても…納得しないか。

絵本を閉じて、ぽんぽんしても泣き止まない。

本当に困った。

その時、後ろから声がする。

「おかしいなあ」

どこか、のんびりとした和馬さんの声。

羽美が、びっくりして一瞬泣き止んだ。

お風呂上がりで、頭を拭きながら。

泣いている羽美を膝に乗せる。

「内緒だぞ」

羽美の耳元で何か言う和馬さん。

羽美が、ピタリと泣き止む。

「ほんと?」

頷く和馬さん。

「じゃあ、お話して」

さっきまで、あんなに泣いていたのに。

「ちゃんとお布団に入ったら話す」

いそいそと布団に向かう羽美。

「ここは、パパの場所!」

私は、羽美の手によって布団から追い出される。

仕方なく、隣の布団へ。

その間に、和馬さんも支度を整えたようだ。


【本当にあった話】

「昔々、海で泳いでいた少年は。

溺れかけていた人魚姫に会ったんだ」

娘が、人魚姫って溺れるの?と真剣に聞いている。

ん?この話、既視感がある。

後ろから和馬さんをつつく。

2人は、内緒話のように額を寄せ合っているから。

私なんて全く相手にされない。

ダメだ。これ、最後まで終わらないモード。

諦めて、布団を頭から被る。

「人の世界に憧れた人魚姫は。

魔法使いに頼んだ。

人間にしてくださいって」

ふんふん。と娘の声。

「絵本では、声が出なかったよ?

その人魚姫は、どうだったの?」

そこは、どう話をするんだろう?

「残念なことに。相手は王子様じゃ無かった。

だから、魔法がなかなか効かなくて。

声を失わずに済んだんだよ」

なにそれ。無理やり過ぎない?

でも、娘は素直に納得したようだ。

「やっと魔法が効いて、再会したのが美術館。

光を受けてキラキラしている人魚姫。

少年は、声を掛けることが出来なかった」

少し間延びした声で続きを促す娘。

「だから今度は少年が魔法使いに相談した。

魔法使いの鈴お姉さんは。

恋の魔法が上手だからね」

鈴、とうとう魔法使いになったよ。

羽美の返事がおぼつかない。

寝るまで、あと一息。

「…だから、羽美。君が産まれたんだよ」

多分、そこは羽美には聞こえていない。

でも、顔を覗き込むと幸せそうに笑っている。


【後日談】

娘が、お風呂で真剣に私の足を見ている。

「ママ。足、変化しないよね」

いや、人魚の足生えたことないよ。

その後。

鈴一家とうちの家族で買い物に行く。

「鈴お姉ちゃん、魔法使いってほんと?」

鈴には、前もってその話をしておいた。

鈴には大爆笑されたけど。

やっぱり本人に確認したくなったらしい。

子供の内緒は当てにならない。

私の仕草を見た鈴が笑っている。

「どうだろうねぇ。そうかもよ?」

鈴の言葉に、羽美は納得できなかったよう。

「ねえ、教えて」

ごめん。本当に。

羽美の後ろでひたすら謝る。

「そうだねぇ。羽美ちゃんが大きくなって。

恋の魔法が試したくなったら。

その時は、ちゃんと教えてあげるね」

羽美は、こてんと首を傾げている。

「でも、同じ組のとーとくん。

羽美のこと好きって」

待って、それ今話していいこと?

「でもね、羽美はパパが大好きだから。

ごめんなさいしたんだ」

和馬さんの居る方向を見る。

子供を肩車した直人さんと。

離れた場所で話をしている。

よし、聞かれていない。

「そっか。今はパパが大好きなんだ」

鈴は笑いをこらえている。

鈴も、娘を持ったら。

私の気持ちも判ると思うよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ