父の日は勝負の日
【意外な共通点】
「坂上さん、今日も」
うちのお父さん。
ニコニコしながら碁盤を出している。
「良いですよ。やりましょう」
2人がいろいろと話してわかったこと。
どちらも囲碁が好きだったらしい。
じゃあ一局。
いやいや、もう一局。
そのうち、勝負することよりも同じ趣味の同士として。
今ではたまにお互いの家を行き来しているらしい。
今日も、父の日だからプレゼントを持っていく。
と言った途端にこうして集まっている。
「花音がケーキ焼けるようになるとはねぇ」
お母さん、私だってやれば出来るよ。
「和馬、昔から母の日と父の日にはケーキ作ってくれたのよ。
お父さんには、大好きなチーズケーキ」
あれ?チーズケーキ好きなのって。
「うちの旦那も、チーズケーキが好きなんだけど。
買うことはあっても作ったりはしなかったわねぇ、誰も」
いや、だからお母さん。私を見なくても。
「今年はちゃんと作ったって」
和馬さんと話をして、チーズケーキを作ったのだ。
うちのお父さんは、レアチーズケーキ。
和馬さんのお父さんは、ベイクドチーズケーキ。
そこに差があった。
ちゃんと二人分作った。
今度は数式なんてなかった。
当然と言えば当然だけど。
その分、小さなこだわりが随所にある。
【オセロの魅力】
「せっかくだから、私も何かやりたいかも」
お父さんズ見ていたら楽しそう。
その呟きを聞いたのかお父さん、勝負の手を止めた。
「オセロ盤ならある」
いそいそと私と和馬さんの前に置いてくれる。
オセロなら、ルールは判る。
判るんだけど。
「でも、和馬さんに勝てる気が全くしないんだけど」
普通に考えて、理詰めの勝負で勝てる訳がない。
「じゃあ、四隅とも花音が先に置いていいよ」
さすが和馬さん、太っ腹。
それなら勝てるかも。
こうして始めた勝負。
「花音。なんでそれで負けているの?」
おしゃべりの合間に、隣で見ていたお母さん。
こっちが聞きたい。
「もう一回勝負する!」
悔しいので、もう一度勝負。
今度も途中までは、間違いなく私の方が多かった。
でも、おかしいことに。
「途中から、全部ひっくり返されていたわね。花音」
お母さん言わないで欲しい。
ちょうど、お父さんズの勝負も終わったよう。
【ブレーンは必要】
私たちのオセロ盤を見たお父さんズ。
結果から、状況がある程度飲み込めたみたい。
「和馬。花音さんに手加減くらい」
和馬さんのお父さん和馬さんに苦言。
「これ以上は無理だって」
うん、四隅以上のハンデは考えられない。
私の隣に座ったお父さん、しばらく盤面を見る。
「なら、私が花音につこう」
お父さん。ありがとう。
「私も協力しよう」
和馬さんのお父さんまで乗ってきた。
「それ、おかしくないか?」
和馬さんの抗議はお父さんズに黙殺される。
こうして始まった勝負の結果は。
「お父さんありがとう!!」
左右からのアドバイス。
なるほど、ここに置いてしまうと。
ひっくり返されてしまうのね。
こうやって無事に勝てた私。
お父さんズとハイタッチをする。
お母さんズは苦笑い。
勝負に勝てれば良いんです。
【本当の勝負?】
「花音、今度はこっち」
和馬さんが、自分の隣の椅子を叩いている。
「花音が居ないと勝てない」
私、和馬さんより弱いよね?
首を捻りながら隣に座る。
「私もやりたいよ?」
和馬さん、頷く。
「花音と僕は交互に。
父さん達は、相談しながらでどう?
その代わり、ハンデなし」
お父さんズ、頷いた。
「くぅ。負けたか」
結果は、お父さんズに圧勝。
「よし、和馬くん。今度は私と勝負だ」
お父さん。オセロにハマったのね。
あぶれた私にお母さんがトランプを持ってきた。
「トランプなら、私たちもできるわよ」
トランプは、和馬さんのお母さんも入って一緒に楽しんだ。
帰り道。
「なんで、お父さん達に勝てたんだろ」
和馬さんと私対お父さんズ。
相談なしの交互に打つ勝負。
それは、圧勝。
でも、和馬さんだけになると。
お父さんズ勝ったり負けたり。
不思議なこともある。
「花音に甘いからなあ。父さんたち」
ん?手加減されていたってこと?
「無意識なんだと思う」
父親の気持ちは、よくわかんない。




