母の日の贈り物
母の日に間に合わせようと頑張りました。
本日、0時、8時、12時、18時に更新しています。
よろしくお願いします。
【数式の謎】
結婚してからしばらくして。
新婚生活は、想像より大変な部分もあったけど。
周りが心配するより、順調に生活している。
ちなみに新婚旅行は、和馬さんの大学を中心に。
住んでいたところも教えて貰った。
他人からは、もっと他にもと言いそうだけど。
私的には非常に有意義な時間だった。
お陰で思った以上に精神的にも余裕がある。
だから、こんな話にもなる。
「ねえ、和馬さん。
女の子にケーキの作り方教えたよね?」
ことの発端は母の日に何をプレゼントする?
今まで何を贈った?という質問から。
和馬さん、お母さんにはケーキをプレゼントしていた。
ケーキ。ケーキと言えば。
ふと思い出しての質問。
「ケーキ?」
和馬さんは心当たりが無さげ。
でも、こっちには証拠がある。
「これ」
スマホの写真を見せる。
茜さんのお友達から、“何か判ったら教えて”。
と、茜さん→鈴経由でもらったやつ。
その時は、聞く気もなかったけど。
今思えば貰っといて正解だった。
「ああ。これか。花音も見たら判るよ」
和馬さんは一人納得しているけど。
私、数式なんて解けないよ?
「よし、一緒に作ろう」
私の視線に、和馬さんは笑っている。
【数式を解く】
まず、2人で買い物ということで。
近所のスーパーまで一緒に歩く。
「ついでに晩御飯も買おうか、何にする?」
普通の会話。でも、大事な会話。
そう言えば、結婚してから歩くことが増えた気がする。
歩いて行ける範囲に、いろいろ揃っているせいもある。
外食も思ったほどしない。
私は、和馬さんのご飯が美味しい。
和馬さんは、私のご飯が美味しい。
そこで2人満足してしまっている。
話が逸れつつも、無事買い物を終え。
目の前に並べられた材料は知っているものばかり。
いちごも小さいけどあった。
これ、切るの?
「じゃあ花音。さっきの紙を出して」
スマホから印刷した用紙を取り出す。
「まず、小麦粉はここ。砂糖はここ。バターはここで」
和馬さんに言われるまま。
順番に書かれた数式の上に材料を乗せていく。
ほぼ埋まったけど。
「ここ、一つ余っているよ」
ラストの場所。
たぶん、ここが一番重要。
和馬さんも頷いているから正解。
「ねえ、花音。大好きな人に何かを渡す時。
一番必要なものは何だと思う?」
大好きな人に必要なもの。
まさか?
いやそんな訳…和馬さんならあるかも。
「愛情?」
和馬満面の笑み。
まさかの正解。
“和馬さんの限定”ならば。
花音でも数式は解ける。
初めて知りました。
【数式の威力】
「という訳で作ろうか」
和馬、手際良くスケールを取り出すと。
パパッと測って混ぜている。
「へぇ。数式あったら早いねー」
順番に並んだ材料が。
気持ちいいくらい消費されている。
「何?花音のお母さんの分は、花音の担当だよ」
え?見学が良いんだけど。
結局、和馬さんの分が焼ける間に、私もやる羽目に。
「こうやって一緒に作るのは花音だけ、なんだけど?」
そう言われれば、やるしかない。
スケールを使うことのない私。
どうしても動きがぎこちない。
和馬さんも、とくに何も言わず見守ってくれる。
問題は、その後起きた。
「そんなに強く混ぜたら、ふわふわのスポンジ出来ない」
そう言って、いきなり後ろから手を握る。
「ひゃぁ」
変な声が出た。
ビックリして、泡立て器落とすところだった。
和馬さんは全然気にしていない。
「だから、こうやって混ぜないと」
ごめん。全く頭に入らない。
目の前のボウルが、気持ちいいリズムを奏でているけど。
私の頭の中は無の極地。
「和馬さんが邪魔しなければ、完璧だった」
和馬さんは首を傾げている。
美味しいケーキには必要な工程だったんだろうけど。
もう少し、やり方があると思う。
【新たな数式は】
ぶつぶつ言う私の隣で。
和馬さんは、洗ったいちごを並べている。
「次の数式はやらないの?」
ここまで来たら、最後までやります。
「よく見て」
まず。最初の数式。
その部分は、ヘタを落とす。
なるほど。
「で、隣ね」
隣の数式。
和馬さんイチゴの向きを変え、縦に切る。
「これだけ?」
和馬が切ったいちごを並べる。
「あ、ハートの形のいちご」
これは、可愛い。
だから、角度大事だったのね。
「花音もやろう」
言われて、いちごの前に立つ。
和馬さん、当然のように後ろから包丁を一緒に握る。
「補助しなくても」
和馬さんの補助は必要?
「花音。1人でやれる?」
冷静になって考えてみる。
いちごは小さいので繊細な作業になる。
「やっぱり無理。お願いします」
結局、2人での共同作業。
出来たのを見比べる。
和馬さんの方が圧倒的に綺麗な出来。
数式と並べて、写真を撮る。
鈴に送る。
そこから、茜さん→茜さんのお友達に届く予定。
「先に届ける?母の日には少し早いけど」
和馬さんからの提案。
というか、私が写真を撮っている間に。
もうすでに片付けまで済んでいる。
「うん。お母さんびっくりすると思う」
私が作ったケーキなんて。
お母さん、今まで食べたことないから。
絶対喜んでくれるはず。
【後日談】
数日後。
鈴を通じて返事が戻る。
『相手の選択している第2外国語なんて理解出来る訳ない』
和馬さん、一体何語で書いていたの?
その後、お母さんからの連絡も来る。
「ねえ、父の日は、チーズケーキが食べたいの。
レアチーズケーキ作ってと和馬さんにお願いして」
お母さん、和馬さんはケーキ屋じゃないです。




