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つないだ手の先に  作者: はらぺこ姫
こぼれた話
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奇跡の一枚

【見惚れる】

お父さんズ。

自分が用意したブーケと、カメラを見比べている。

「写真は僕らが撮るから」

お父さんズ、私たちにカメラを預けるといそいそと扉の方へ。

担当者さん、和馬さんのお父さんに耳打ち。

どうやら最初に出てくるのは、和馬さんのお母さんのよう。

和馬さん、カメラを構える。

私までドキドキしてきた。

「もう、恥ずかしい」

そう言いながら、和馬さんのお母さん。

ブーケを受け取っている。

和馬さん、真剣に写真を撮っている。

昔ながらの美人さんの顔立ちと相まって。

マーメイドドレスが似合う。

シワを気にしているようだけど。

そこは、プロに任せたら良いと思う。

それよりも。

一度、扉が閉まる。

次は私のお母さんの番。

カメラを構える。

「思ったより動けない」

入り口でお母さん、立ち往生?

お父さん、慌ててお母さんの元へ。

どうやら見栄を張って、高いかかとの靴を選んだらしい。

靴を履き替えると、歩けるようになった。

お母さんのは、プリンセスラインのドレス。

やっぱり王道が着たかったよう。

普段から、可愛い方向寄りのお母さんだから着られる。

面白いから、それも含めて写真へ。


【感想は】

いつの間にやら、こちらの準備も出来たよう。

カメラを再びお父さんズへ返却。

中央に用意された椅子に座る。

「お母さん、こっち」

和馬さんと私を撮ると思っていたお母さんズ。

きょとんとしている。

「女子3人で撮影しよ」

うちのお母さん、呆れたように。

和馬さんのお母さん、ちょっと嬉しそうに。

私の左右に立つ。

「仲の良いところを撮ります」

カメラマンさんの指示。

仲の良いところって?

お母さんズ目配せ。

それぞれから片手が膝に乗せた私の手の上へ。

もう片方の手が私の頭の上にあるのは判る。

でも見えないので状況が判らない。

和馬さん、大爆笑しているけど。

一体何事?

撮り終えた後、見せてもらう。

「お母さん達でハート?」

お母さんズ、思った以上にノリノリだったみたい。


【桜咲く】

無事、家族全員で写真を撮り終えて。

私たちの衣装を変えている間に。

それぞれ夫婦でも写真を撮ったみたい。

写真は後のお楽しみらしいので、今は我慢。

そして、着物に変えてから外へ。

一年前はもう少しで咲きそう。

そんな雰囲気だったのに。

今年は私たちを待っていたかのように、満開の桜。

担当者の人もびっくりしている。

どうやら、午前中に一気に咲いたよう。

「花音たちのこと、わかっているのよ」

お母さん、偶然だってと言いたいけど。

そうだったら良いなと思う自分もいる。

「花音、実は花の精霊とか」

和馬さん、目の前に両親居るからね。

お父さんも、そこで頷かない。

「こういう仕事していると、たまにあるんですよ」

とは、同行してくれたスタッフの1人だ。

「結婚って、奇跡みたいなものじゃないですか。

それを体現するような出来事。

前日まで大雨の予報だったのに。

その時にいきなり晴れたり」

それは、確かにすごいかも。

それにねと、スタッフさんは続ける。

「そういったカップルは上手くいくんです」

写真を撮るだけで、未来が判るの?

そんな疑問が顔に出ていたみたい。

「年賀状が来たり。

あと、先ほどの話の人の娘さん。

この前、成人式の写真撮りましたから」

なるほど。

そんな縁起の良いところなら。

私も撮るかも。

「花音、花びら付いている」

スタッフさんと話をしている間に。

舞い降りた花びらが、頭に付いていたよう。

和馬さんの位置から、私の頭は良く見える。

難なく取って、私に見せてくれる。

そんな姿さえ、両親は写真に収めている。

もちろん、プロのカメラマンの人の指示に従って。

ゆっくり歩きながら写真を撮る。

「和馬さん、あれ」

遠くの方で、去年の私たちみたいに。

ぎこちない雰囲気の2人。

「たった一年で、立場が逆転するとはなあ」

和馬さん、感慨深そう。

確かに、あの時はお互い目が泳いでいたものね。

「それは、和馬さんがグイグイ来るから」

私の返事に、和馬さんの目が見開く。

「あの時、花音が誘ってくれなかったら。

それも無かった」

そうなの?

今思えば、確かに大胆だったなあとは思うけど。

「それに…」

和馬さん、言いかけて止める。

視線の先。

お父さんズは、聞かないフリしてくれているけど。

お母さんズ、目がキラキラしている。

うん、その先は言わなくていい。


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