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ゲーム開始

【お遊びの時間】

始まりの時間とともに。

直人さんと鈴が、前に立つ。

簡単な挨拶。

友達に難しい言葉はいらない。

皆のお祝いの言葉もバラバラ。

乾杯すらもグループ内で。

結婚式とは違う抜けた温かさがここにはある。

一通りテーブルを回った2人。

幹事の子たちと頷き合う。

「ゲームするよ」

直人さんの合図と。

鈴が嬉しそうに手に持った箱を振る。

「入った時のナンバーカード出してください」

皆がカードを出したのを確認。

「まず、こっちが番号言うから。

その人前に来てね」

鈴のルール説明が始まる。

「この中に私と直人が考えたお題があります」

箱を軽く揺らすとカサカサ音がしている。

「お題をクリアできたら。

紙に書いてある番号の景品貰って。

次の人の番号を言って戻る」

質問ある?と言われても。

皆大体判ったようで、ゲームが始まる。

出た番号はボードに貼られて。

同じ番号を言っても、すぐわかる仕組み。

「え?3回回ってワン?」

隣の友達が引き当てたのは。

多分、直人さんが書いたものだ。

「え?早口言葉。

このがっこうにすきなこがいるのでこくはくたちむ。

あー言えた」

これは、多分鈴のような気がする。

「言えてないよ。やり直し」

鈴は、容赦なくやり直しを要求。

3回目で無事解放された。

何事もなく順調に進んでいき。

ついに、和馬さんが立ち上がる。

紙を引いた後、固まっている?

「何引いたの」

興味津々といった感じで直人さんが覗き込む。

「これって。偶然でもすごいね」

隣から鈴も覗いて大爆笑。

和馬さんからお題の紙を受け取る。

「ある意味引き強すぎ。

今なら特別に引き直し出来るけど」

ただし、お題は公表するよと言われて。

唸る和馬さん。

焦れた鈴が、私の方を見る。

「花音、出てきて」

お題、一体何だったの?


【告白タイム?】

当然、皆の視線が私に集まる。

仕方ないので立ち上がる。

なかなか動かない私に、鈴が迎えに来た。

ほぼ鈴に引っ張られるようにして前に出る。

和馬さん、その間無言。

鈴に渡された紙を開く。

『好きな子にプロポーズするセリフ。

相手が居ない場合は、架空の相手もアリ』

なんてもの仕込んでいるのよ、鈴。

普通ならさほど困ることのないお題。

でも、私たちにとっては特別なお題。

和馬さん唸るはずだ。

ここで私が嫌がれば。

プロポーズそのものを断った構図になる。

だから、変更の選択肢はない。

「念のため聞くけど、花音で良いよね」

鈴が和馬さんに聞いている。

「それ以外はない」

和馬さん、大きく深呼吸。

「花音、好きだ。結婚しよう」

思った以上にストレートなセリフ。

普段の遠回しな表現を想像していた私。

これって、今返事するものでしょうか。

想定外の出来事に固まる私。

それに気づいた和馬さんが、私を背中に庇う。

お陰で、背中に顔を付けることが出来た。

和馬さんの鼓動がやけに早く聞こえる。

熱いのは、私なのか和馬さんなのか。

「僕は言った。

答えは言えと書いてない。

花音は言わなくて良い」

軽く頷く。

こんな騙し討ちみたいなプロポーズは。

予定にないし、カウントもしたくない。

和馬さん、周りの大ブーイングにも同様の説明。

鈴の声が聞こえる。

「確かに書いてない。

花音は答えなくて良いよ」

その言葉にホッとする。

続けて和馬さんが番号を告げる。

私の数字。

番号は入り口で見ていた筈だから。

間違いなく私への気遣い。

和馬さんから引っ付いて離れない私。

鈴が箱を持ってくる。

耳元で一言。

「花音。さっきの答え言っているも同然」

慌てて離れてクジを引く。

“伝説と言えば?”

直人さんの字。

私の中で浮かぶのは一つしかない。

「伝説と言えば、学校の渡り廊下」

鈴が頷いたのでお題はクリア。

1人で席に戻りたくない。

和馬さんにずっと一緒にいる訳にもいかない。

どうしようと悩みながら、次の番号を告げる。

番号の人らしき人が手を挙げて出てきたので。

隅っこに2人で避ける。

「花音、このまま帰る?」

それは魅力的な提案だけど。

その後を考えると恐ろしいので首を振る。

「和馬、早く戻ってこい」

和馬さんを迎えに来た友達。

私を気にする和馬さんに、早く行ってと合図。

和馬さん、ほとんど強引に友達に連れて行かれた。

それを見送った私も仕方なく席に戻る。

「花音。愛されてるねえ」

まずは隣から。

「なんで答えんかったんよ」

反対側からも。

「いや、本気だったら別の所が良いよ」

トドメは正面から。

これが判っていたから、戻りたく無かった。

向こうでも、同様の会話がされているのは。

顔を上げて見なくても判る。

「イエスの答え、早く言わなくちゃ」

答えなんてとっくに出ているのに。

ずっと先延ばししてきた私。

だからこういうとき困る。

変なところで悩むクセ。

こういう時に顔を出すのは本当に良くない。

悩んでいる私の隣で。

私の呟きを拾った友達が気を利かせて。

伝言ゲームのように隣のグループに回して。

それがすべてのグループに伝達されて。

和馬さんの元まで届けられ。

さらに盛り上がる一幕になっていたことは。

幸い、私の耳に入ることはなかった。

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