求愛の方法
【違いを埋める】
「初デートの場所?」
和馬さんが聞き直す。
私の中では3つ。
うどん屋。
プラネタリウム。
そして、温水プール。
「図書館かなあ」
第4の選択肢が出た。
理由を聞く。
「花音に、付き合ってと言って貰ってから。
初めて行ったのがそこだから」
なるほど。
私の中では、あの日が初デートの認識だった。
和馬さんは、その次の時だったのね。
「花音はどれだと思う?」
私も同じと言いたい。
でも、それは話し合うとは言わない。
「うどん屋、プラネタリウム、温水プール」
場所を言うだけで、和馬さんには通じたようだ。
「何度も出来てお得と言ったのは和馬さん」
補足情報も添える。
「確かに言った。だから4つが正解だね。
じゃあ今度は僕から。理想の夫婦は誰?」
それに関しては。
「うちの両親。
あと、仕事場の先輩夫婦」
今日、新たに追加された項目。
「花音の両親は知っているけど。
仕事場の先輩?」
そう言えば、和馬さんに話したことないかも。
「先輩夫婦は、職場恋愛なんだけど。
元々、上司と部下の関係。
でも、仲の良いことで有名なの」
結婚する時は、あまりの電撃報告に。
周りがパニックになったらしい。
当時を知る人に聞くと。
先輩が脅した。
いや、旦那さんが土下座した。
他人には聞かせられない噂まで出ていたみたい。
なのに、それ以上仕事で2人が結果を出したから。
今では、そのことでとやかく言う人は居ない。
「だから、仕事も家庭もどっちも出来る夫婦に憧れる」
実際は、ネガティブな話の方が多い。
愚痴の大半の理由もそう。
「そこは、大丈夫と言いきれないのがつらいね」
和馬さんも流石に慎重。
「今から、子育ての本で勉強する?
むしろ、家庭医学の方が大事?」
だから、和馬さん。
思考が飛躍しすぎている。
「その前にすることあると思うよ」
私の指摘に和馬さん。
「そうか、安心出来る巣作りが必要」
だから、飛びすぎだって。
このままいくと、デザイン画が出てきそう。
「それは、置いといて。
鈴の結婚式の話からしようね」
花音は、諦めるを覚えた。
新しいテロップが頭を流れた。
【予定を決める】
「私の方は、いくつか希望の日が出ている」
見た範囲では、どの日でも大丈夫そうだったけど。
和馬さんに聞いても同じ。
電話の後に返事を返そう。
「僕の方は、直人の予定に合わせることになった」
確かに、主役が居ないと始まらない。
「後は、花音のスピーチがあったよね」
それは、ネットで検索したからある程度は大丈夫。
「下書きが出来たら一緒に見て欲しいかも。
出来れば練習も一緒に手伝って欲しい」
あと、気になる項目が。
「それよりも和馬さん。求愛ダンスって何?」
進行表を見た時から気になっていた項目。
落ち着いた今なら聞ける。
「あれはそのままだよ。一応僕も参加する」
その話、初耳ですけど。
「恒例行事みたいなもんだからなあ。
晃の結婚式でもやったから、気になるなら観る?」
是非お願いします。
【求愛ダンス】
電話を切った後、友達に連絡を入れる。
後は調整待ち。
その間に、和馬さんからも動画がきた。
動画を開く
「続きまして」
司会者の進行。
画面は舞台の方へ。
直人さんが真ん中に立つ。
後ろには、黒いマントに仮面を付けた。
10人くらいの人たち。
とある地域の結婚を祝う踊り。
それを披露すると言っている。
でも、本当にあるかどうかわかりません。
その一言に。
「いや、それ絶対作ったやつ!」
誰かの声がして会場が笑いに包まれる。
聞いた事のないリズミカルな音楽。
自然と拍手が揃う。
まず、真ん中の直人さんから。
リズムに乗っているけど、独特な動き。
そして、手を差し出した方。
その5人のグループが同じ動き。
次、反対側の5人がループで続く。
全員が揃ったところで。
主役の鈴のお兄さんが拉致られてきた。
直人さんが必死で教えているけど。
全然違う動きをしている。
あ、皆に囲まれた。
一瞬止まる音楽。
そして、捌ける人達。
中央にお兄さんだけが残る。
始まる音楽。
周りに散った人たちが拍手を促す。
拍手が揃ったところで。
お兄さんが完璧に踊っている。
ドヤ顔で茜さんを見るお兄さん。
茜さん、大爆笑している。
手で大きく丸。
しゃーと言わんばかりの動きで終わる。
【感想は】
「求愛ダンス」
さっき、和馬さんが巣作りを連呼したせいで。
鳥の求愛ダンスに見えてしまう。
たぶん、何も知らなかったらかっこ良かったのに。
それより。
「意外に見つけられるもんだね」
似たような背格好の人が何人か居る中で。
和馬さんだけはすぐ見つけられた。
動きが変な訳じゃない。
なのに、自然に目が吸い寄せられる。
この前、和馬さんが私をすぐ見つけられる。
小さな私をすぐ見つけたように。
私も、すぐに見つけられたことにびっくりする。
でも、そんな話をしたら。
また巣作りの話に戻りそう。
今は言わない。
その話は、もう少し別の話が進んでから。




