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喧嘩はしない

【嫌なもの】

寝られない。

時間を見ると、思ったほど遅くはない。

和馬さんに通知だけでも入れてみる。

電話がかかってきた。

「花音?」

いつもより、少し間延びした声。

やっぱり、寝ていた気がする。

「ごめんね。声が聞きたかった」

他に言い訳が思いつかない。

「花音の声はいつでも聞きたい」

何から聞けばいい?

緊張してきた。

「和馬さんは、我慢してない?」

和馬さんは私の嫌なところがあっても。

言わない気がする。

「我慢?しているよ」

あっさりとした答え。

「なんで、今隣に居ないのかなとか。

もっと話したいのにとか」

我慢って、そっち?

「嫌なところとかないの?」

嫌なこと?疑問系で返ってきた。

「花音が僕のこと嫌いって言ったら嫌かも」

和馬さん、やっぱり寝ぼけている。

会話が噛み合ってない。

「喧嘩、したくならない?」

今なら、少し踏み込んでも答えてくれそう。

「喧嘩は嫌。花音が嫌いって言いそう」

喧嘩しない理由、それ?

「言わないから、もう寝るよ?」

これ以上起きていると、仕事に差し支えそう。

「おやすみ。僕の花音」

切れた電話。

声の雰囲気からして。

和馬さん、無意識で言っている。

薄々思っていたけど。

和馬さん、かなり独占欲強いかも。

それが嫌じゃないのは、最初だけ?


【先輩の教え】

仕事に差し支えない程度には寝た。

ミスもしていない。

だから、先輩が1人の時に思い切って聞く。

「先輩は、夫婦喧嘩しないんですか?」

先輩のビックリした顔は、滅多に見ない。

貴重なものを見た気がする。

「喧嘩にならないように努力しているから」

やっぱり。噂には聞いていたけど。

「どうやってですか?」 

先輩、首を傾げている。

「話し合う」

そこを詳しく聞きたい。

「嫌なところを言って、相手が怒りません?

もしくは、落ち込むかもと思うと」

先輩、ため息をついた。

「嫌なところ1つ見つけたら。

3つ良いところ見つけるようにしている」

ついでに聞いてみよう。

「私、だったら?」

先輩、なんて答える?

「瀬戸さんは、一見大雑把に見えるけど。

備品の扱いが丁寧。

あと、周りをよく見て先回りしているから。

トラブルも少ない。

それに、決断が早いから気持ちよく仕事が進む。

変なところで悩むクセさえ無ければ良い」

先輩、最後のやっぱり要らないです。


【相談する】

「で、今度は何に悩んでいるの?」

先輩に休息室に連行される。

周りから見たら先輩に怒られている図。

でも、口調とは裏腹に、内容は優しい。

泣きそう。いや、もう泣いている。

「彼と喧嘩したことない」

先輩、棚からクッキーを出した。

それ、私が買ったやつですとも言えず。

出されたお茶とともにいただく。

「引き算するから」

私の話を詳しく聞いた先輩の一言。

「今の相手を100点だと思うから、引き算する」

だからと先輩が続ける。

「足せばいいのよ。お互いよく知らないんだから」

言いたいことは判るけど、そんな簡単には。

それに、和馬さんに足す項目がない気がする。

「嫌なところが目に付いたら?」

友達の愚痴を聞く限り、現実は甘くなさそう。

「その、欠点を長所に変えるのがパートナー」

先輩、良いこと言っていますけど。

クッキー食べながらだと、説得力は無いです。

案の定、休息室を出た私を皆が心配してくれた。

先輩は、知らんふり。

嘘じゃない範囲で、本当のこと言わないと。

「今度友達が結婚するから。

先輩に色々相談に乗ってもらった」

ごめん、鈴。また鈴の名前使ったよ。


【夢だった】

仕事が終わったころに、和馬さんの通知。

『昨日、電話で変なこと言わなかった?』

やっぱり寝ぼけていたらしい。

家に帰ってから電話をする。

「夢だと思ったら、実際に通話履歴があって。

朝、びっくりして飛び起きた」

焦っているのか、出ると同時に声が飛び込む。

「どんな夢だったの」

昨日の夜の口ぶりからして。

変な夢ではなさそうだから聞く。

「僕が、ドラゴンになっていて。

花音がわが家に来てくれたのに。

嫌だこんなところ、帰る。

とか言うから、必死で引き留めていた」

昨日のドラゴン設定。

夢にまで引きずっていたのね。

「それは、自分の家じゃないから。

自分の家に帰るよ。毎日」

でも、と続ける。

「独占欲強すぎ。

僕の花音は、嬉しいけど毎回はダメ。

声は好きだからずっと聞きたい。

だから、嫌いって言われたくなければ。

いっぱい話をして欲しい」

あれ?脅迫めいた言葉になった気がする。

先輩とずっと話をしていたせいだ。

うん。たぶんそのせい。

「僕が、花音が気に入る巣作りを頑張れば。

花音が、毎日帰ってきてくれる。

そうしたら、いっぱい話が出来るから。

花音に嫌いと言われない」

ん?方向性が怪しい気がする。

落ち込まなくなったのはプラスだけど。

「ちなみに花音。どんな家に住みたい?」

えっと、私。

そんな話していないと思うよ。

それに、一つ思うのは。

私と和馬さん、見ているものが全く違うから。

衝突する場所が少ないだけかも。

「火星に住みたい」

和馬さん一瞬止まった。

「なら、いっぱい稼がないと」

そうだね。稼がないとね。

でも、その前に。

「ところで、私たちの初デートって。

一体どこになると思う?」

先に、質問状の答え2人で埋めようかな。

思考が飛躍する和馬さんのクセ。

私に判るように翻訳してもらわないと。

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