表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/46

迷惑?それとも

【支払いの理由】

「と言う訳で、ここは出しておくから」

と、伝票を持つ和馬さん。

慌てて後を追いかける。

「ごめんね。茶番に巻き込んで。

映画、面白かった?」

2人一緒にレジに並ぶ。

話題を探していると、和馬さんが先に聞いてきた。

「期待以上でした。

あんな風に告白なんてされたらって考えると。

実際だったらドキドキしちゃいますよね」

和馬さんとの会話。

もう少し緊張するかと思ったのに。

思ったよりスラスラ言葉がでる。

合間に和馬さんは、カードで支払いをしている。

後ろにも人が待っているので、場所を開ける。

和馬さん、真剣な顔でこっちを見る。

思わず財布を握りしめる。

「うちの晃のせいで、花音さんには迷惑かけました。

ここは出すので許してください」

さっきまで、普通に話をしてたよね。

セリフは妙に棒読みだし。

大きな声じゃないけど、しっかりした声をしてるから。

後ろの人に見られている気がする。

財布をしまう。

代わりに口から出たのは。

「今度、奢りますね」

…何言ってるんだ私。

「ごめんなさい。また皆で会った機会にでもと言うか」

慌てて付け加える。

フリーズしていた、和馬さん。

あ、動いた。

「…ですよね。また遊ぶ機会があると良いですね」

レジの横で2人でペコペコしてたら。

鈴に邪魔になると外に連れ出された。


【誰に送って貰う?】

焼き肉屋を出た所で。

「鈴。お兄ちゃんを助けてくれ」

鈴に向かって頭を下げる鈴のお兄さん。

「母さん激怒してさ。茜も居るから来いって言ってる。

鈴もなんか言ってくれ」

えーっと。

それを自業自得と言うのでは。

呆れている鈴。

私を見る。

「花音。どうする?」

どうすると言われても。

「早くお兄さん、鈴が連れて帰った方が良いと思う」

これ以上巻き込まないで、当事者間で解決して欲しい。

「だよね。お兄ちゃんが悪いもんね」

諦めたように鈴が頷く。

となると、鈴のお兄さんが直人さんの車に乗る。

私を送るとなると、方向が違うから遅くなる。

あの車には、私も乗りたく無い。

どうやって帰ろう。

親に迎えに来てもらう?

それとも?

…悩む。

目の前では、鈴のお兄さんを直人さんが確保している。

そのまま、和馬さんを向く。

直人さん、いつもの人懐っこい笑み。

たぶん、いいこと思いついたとかそんな感じ。

「なあ、和馬。花音ちゃん送れん?」

直人さん、それはちらっと考えたけども。

和馬さんに迷惑では?

隣を見る。

和馬さん、また固まってるよ。

「だって和馬と花音ちゃんの家近いし。

ちょうどいいじゃん?」

そうなん?それは助かるけど。

鈴が、私と和馬さんを見比べる。

私に向かって、任せてと言わんばかりに頷いた。

「和馬さん、花音を頼んでいい?」

鈴は、和馬さんと話をしている。

目を逸らす。

逸らした先には。

直人さんが、鈴のお兄さんを車に押し込んでいる。

体格、鈴のお兄さんの方がいいのに。

抵抗する鈴のお兄さんを、意外にすんなり押し込んだ?

閉まるドア。

一仕事終えたと言わんばかりに肩を回している。

直人さん、私の視線に気づいてこっちを見る。

まだ、話終わってないの?と鈴と和馬さんを見る。

「和馬、悩むほどのことでもないよ。

家が近いから送るだけ。それ以上何があるん?」

和馬さん、悩んでるの?

そこまでして送ってもらうほどのことだっけ?

それなら、素直に親に迎えに来てもらうよ?

和馬さん、小さなため息。

「わかった。花音さんが嫌じゃ無ければ送る。

花音さん。家、どっち?」

そう聞かれて、簡単に場所を説明する。

「そこの角に昔タバコ屋あったでしょ?そこ僕の家」

え?めっちゃ近所じゃない?

歩いて行けるレベルの距離だ。

直人さんの提案も納得できる。

「悪いけど、お願いしていい?」

和馬さんに、一応確認。

今度はちゃんと頷いてくれた。

「和馬は家に来てくれないのか?」

窓から鈴のお兄さん。

…往生際悪いよ。

「花音さん送ったら考える。早く帰れ」

帰って行く一行を2人で見送る。


【母親は知っていた】

今度は、本当に2人きり。

一気に緊張してきた。

「お願いします」

今の私、たぶんぎこちない。

でも、前を歩く和馬さんには見えてないはず。

助手席を開けてくれたので乗る。

座り心地のいいシート。

シートベルトをする。

車の中は、物がほぼ無い。

いい香りもする。

微かに流れる音楽は、知ってる曲っぽい気がする。

その話題を皮切りに。

美術館の話、気になる映画の話やら。

会話に詰まることなく家まで着く。

家に帰ると、お母さんが迎えに出てきた。

行きと帰りで相手が違うと、びっくりするよね。

…いろいろあったんです。

和馬さんと話をするお母さん。

世間って狭いのねえなんて笑いながら言っている。

お母さんと2人、車が遠ざかるのを見送る。

「坂上さんとこの和馬くん。

あんなに落ち着いた大人になってたんだねえ」

玄関を入りかけて、お母さんの声に止まる。

「子供会の行事で良く一緒になったからねえ。

温子さんとは同級生だったから、会えば話してたんよ」

会った記憶無いんだけど。

「私も名前聞くまで思い出せんかったからねえ。

それにあの頃は子供も今より多かったから。

年が違うとわからんよ」

しばらく考えだけど、やっぱり思い出せない。


【お礼の仕方】

部屋に戻ってスマホを取り出す。

鈴に連絡。

『無事帰った。そっちは?』

程なくして返信。

『家族会議中。

お兄ちゃん、和馬さん呼んでる。

来てくれるみたい』

…あらま。

少し考える。

『和馬さんに今日のお礼とかしたいけど。

彼女おったら悪いしなあ。なんかない?』

歯を磨いていたら、返信。

『直人に確認したら、彼女なんて聞いたことないって。

誰かに隠れてどうこうする人でも無さげ。

で、本人に連絡先聞いた。

いつでも連絡して良いって。

とりあえず、そっちはそっちで何とかして』

連絡先の添付。

流れ的に連絡するやつ。

貰った番号を登録。

早速打つ。

『今日は、ありがとうございました。今度』

今度?今度。

『予定が合えば、奢りますね』

うん、このくらいで丁度いい。

お風呂に入ってる間に、返信があった。

『こちらが巻き込んだ側だから。

気にしないでください。

また会う機会があれば』

気にするな言われても。

奢られっぱなしもなあ。

気にせず奢りやすい場所。

思いつくのは一つ。

『お気に入りのうどん屋あります?』

直ぐに返信。

『お気に入りかわからないけど。

〇〇ってうどん屋なら、良く行きます』

よし。

『じゃあ、今度一緒に行きましょう』

了承の返事、貰えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ