打ち合わせ
【集まろう】
「学校の撮影の許可も貰えるみたいだね」
え?見てないそれ。
慌てて確認。
『先生から連絡。
先生まだ学校変わってないから。
必要なら撮影許可貰ってくれるって』
時間を見ると、ちょっと前。
和馬さんが見ている間に追加されたみたい。
『今、打ち合わせ中』
とりあえず打つ。
「学校を舞台にしたらいいと思うよ」
横から和馬さん。
そのまま打つ。
『任せて。お願いしておくから。
集まる日決めないと』
そこは、元委員長の貫禄。
動きが素早い。
『で、花音の彼は来る?』
和馬さんを見ると、笑っている。
「撮影係必要じゃない?」
和馬さんの言葉に甘えて、打つ。
『よし、楽しみ』
一気に既読が増える。
『ねえ、花音の彼ってどんな人?』
和馬さん、スマホから目を逸らした。
私も隣では流石に打てない。
『打ち合わせが終わったら詳細打つ』
それだけ打って、そのままスマホを鞄に入れる。
【聞きたいこと】
「花音の方は何とか出来そうだね」
和馬さん、ノートに軽くメモ。
皆との思い出の場所で。
動画を撮るのは、そこまで難しくは無い。
編集は、自分でやってみたい気持ちもある。
和馬さんに聞きながら、出来そうならやろう。
「次に、直人の方だけど」
和馬さんとノートを見る。
「メインとしては、ラスボスと戦って。
お姫様を救い出すシーンだよね」
和馬さんも頷く。
「茜さんが、皆が聞きたいことを。
直人が答えるのはどうかと言っている」
それは面白いかも。
ただ。
「同じ質問がこっちに来るのが怖いかも」
和馬さんも、納得したよう。
「内容は精査したほうがいいね」
私も、友達に聞かれたら困る話もある。
【見つける】
結局、質問を何にするかとなると。
意外に出てこない。
「ネットで検索する?」
100の質問とかあった気がする。
「ネットで検索してもいいけど。
それだと、ありきたり過ぎたりするし」
ちょっと方向性が怪しくなってきたかも。
和馬さん、基準が人と違う自覚ないから。
ここは、私がしっかりしないと。
「他の人にもわかるものじゃないと」
軽く軌道修正する。
内容も聞かないと怪しそう。
「例えば、鈴ちゃんを探せみたいなのは?」
何、そのどこかの本みたいな話。
面白そうだけど、どうやるの?
「花音ならすぐ見つけられる自信あるよ」
えっと、どう言うこと?
「さっきの写真出して」
スマホを出す。
皆が出してくれた写真。
鈴と皆の思い出がいっぱい詰まっている。
「この中に花音。7枚写っていた」
和馬さん、写真を見ずに答えた。
あの短い間によく見ていたね。
呆れつつも確認。
集合写真。
鈴たちと撮った写真。
スクロールしながら確認。
「6枚しかないよ?」
何度数えても6枚。
和馬さんに見せて確認。
6枚目までは、一緒。
そして、最後の1枚は。
「花音、ここ映っている」
鈴と一緒に写っている子の後ろを。
たまたま歩いていた私が写り込んでいる。
「ほんとだ」
ここまで小さいと言われるまで気づかない。
本人すら判らないものを見つけるって。
一体どんな才能よ。
「ダメかなあ」
その認証システムみたいな見つけ方は。
直人さんも出来るかもしれないけど。
一般受けはしないと思うよ。
【ラスボスの存在】
そもそも鈴が脇役になるのは、ダメだと思う。
少し考える。
集合写真、子供のころ撮らなかった?
「鈴の子供のころの集合写真なら」
直人さんが知らない鈴の写真あるかも。
「晃に頼めば出てきそうだね」
鈴の家族なら嬉々として出しそう。
それより気になるのは。
「ラスボスって、鈴のお兄さん?」
頭の中では、簡単に想像がつくけど。
「違うよ。晃は中ボス扱い」
あ、判ったかも。
「本当の意味でラスボスだ」
貫禄ある鈴のお父さん。
確かにお父さんにとって、鈴はお姫様。
うちのお父さんも子供の時。
私のことをお姫様と言っていた。
でも、和馬さんは。
勇者って感じじゃないのが残念かも。
【お姫様の定義】
じゃあ、和馬さんなら、なんだろう。
一番しっくりくるのは賢者とか。
でも、賢者はお姫様を救うイメージがない。
物語の王子さまは、本人が否定した。
他に何かあったかな。
「花音。大丈夫?」
急に静かになった私。
心配そうに見る和馬さん。
「ねえ。私、お姫様じゃない」
考えれば考えるほど。
泣きそうになってきた。
【宝もの】
私の話を聞いた和馬さん。
「それなら、僕はドラゴンかも」
ドラゴンと言っても、いろいろある。
いい意味でも、悪い意味でも。
「綺麗なものを自分だけのものにしたくて。
お姫様も連れて行くドラゴン」
それ、悪い方のドラゴンだよね。
「勇者に倒されるかもよ?」
和馬さん、自信満々に頷く。
「簡単に倒される気はないけどね」
いや、そもそもの設定がおかしくない?
和馬さんの目を見る。
これは、判って言っている。
ドラゴンにある別の有名な設定。
私の口から番って言葉。
引き出したくてうずうずしている。
「残念。勇者は別のお姫様助けに行ったよ」
目を逸らす。
「そっか。ならずっと一緒にここで住もう」
そういえば、ここ和馬さんの部屋ってこと。
すっかり忘れていた。
流石に家には帰らせてくれるよね。




