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彼の部屋は

【案ずるより】

和馬さんの家のチャイムを押す。

時間はちょうど、1分を過ぎたくらい。

出てきたのは、和馬さんのお母さん。

「花音ちゃん?あの花音ちゃん?」

このテンションに既視感がある。

うちのお母さんが、和馬さんに会った時だ。

「すっかり綺麗な女性になったわねえ」

ぐいぐい来られて、思わず1歩下がる。

これは、ビジネスマナーに無かった。

挨拶のマナーにも無かったはず。

だから、想定外の出来事。

一回、玄関閉めて仕切りなおす?

いや、それは失礼だよね。

2人の私が相談を始めたところで。

足音が聞こえて、和馬さんの姿。

思わず抱き着きそうになるけど、我慢。

流石に子供みたいな真似は出来ない。

「彼女は用事で来ているから」

そのまま、手を引いて部屋へ案内される。

半分涙目になっていたのはバレていないと思う。


【部屋の感想】

部屋のイメージは洋室だったけど。

意外にも和室だった。

広さは私の部屋より一回り広いかも。

でも、ベッドがないからな気もする。

その代わりに隅に置かれた本棚の圧迫感。

しかも、中身が漫画とかじゃない。

日本語の本すら少ないかも。

「本、多いね。私には読めないけど」

入った感想がそれ。

「難しい本はないと思うよ」

言いながら、和馬さん本を一冊手にする。

「花音。ここ座って」

小さな座卓の前。

ノートが一冊とペンが置かれている。

和馬さん、そこに本を置く。

辞書かと思ったら、違うみたい。

図書館でよく見るやつだけど。

いつも素通りするような本。

部屋の入り口を閉めようか一瞬迷うけど。

そのままにして、座る。

和馬さん、本をぱらぱらとめくっている。

ここからでは、タイトルも見えない。

一体、何を見せてくれるんだろう。


【知っている話】

さほど待つことなく。

「あった。ここだ」

和馬さんの手が止まる。

そのまま私に向けて差し出される。

「ごめん、私読めないよ?」

記号に見える文字の羅列。

「違うよ。下に簡単な訳が載っているから」

言われて下の方を見る。

確かに小さい字ではあるけども。

日本語で何か書かれている。

「ランプをこすると、現れたのは」

ん?この話知っている気がする。

しばらく読み進める。

やっぱり間違いない。

「これ、アラジンと魔法のランプだよね」

和馬さん、大きく頷いた。

「難しい本じゃないでしょ?」

いや、それ以前の話があります。


【教えるのは】

改めて本を見る。

記憶にあるあらすじを思い出す。

違いを指摘すれば、本来の目的を見失う。

花音は学習した。

頭の中でテロップが流れる。

うん、無かったことにしよう。

「和馬さん、鈴の結婚式の話だけど」

和馬さん、本を避けてノートを開く。

「晃から聞いたのは。

鈴ちゃんへのお祝いメッセージ。

それは、花音がやってくれる」

頷く。

「全員、というか先生にも連絡ついている」

和馬さん、目見開いているよ。

「花音は凄いね」

頭撫でても良いよ?

気づいたのか、和馬さん頭を撫でてくれた。

さっきから。

安心感からスキンシップに走りがち。

自制心との反動で、子どもっぽいのは仕方ない。

「ただ、鈴ちゃんが居ない時間らしくて。

で、茜さんからの提案で。

鈴ちゃんが入場するまでの間に。

映像を流すのはどうかと」

タイムスケジュールをみる。

鈴がお色直しの間の余興の位置付け。

それは不自然じゃない。

鈴の入場の後は、私のスピーチがある。

最悪、そこを調整すれば何とかなると。

「今のところ、過去の写真は集めた」

和馬さんが手を出す。

「花音のスマホ、見せてもらっていい?」

頷いてスマホを渡す。

「こっち、直人の案。

茜さんから、花音の常識的な意見大事。

とか言われたんだけど」 

納得がいかない顔の和馬さん。

机の上にあったノートを渡される。

和馬さんは、常識というより。

次元が違うんです。


【才能は】

ノートを広げた時から気にはなっていた。

手元に来ると、一番に出た感想。

「棒人間」

棒人間の〇の部分に人物名が書いてあるから。

それがその人なんだろう。

四コマ漫画みたいで面白そう。

つい夢中になって読む。

直人さんって、ただの天然の人じゃないんだ。

少年漫画の主人公みたい。

誰かを助けて、それでもそれを自慢しない。

なんかかっこいい。

「花音。これ、どうしたい?」

グループチャットの履歴を見ながら。

和馬さん、メモを取っていたようだ。

ごめん。単純にこっちは楽しんでいた。


【打ち合わせ】

「直人さんを勇者、鈴をお姫様にするのは賛成」

とりあえず、漫画を読んだ感想がそれ。

直人さんが好きそうな構成でもある。

鈴もそれはノリノリで付き合ってくれそう。

「で、こっちのメッセージなんだけど。

エンドロール風にするのは?」

位置関係はわからない。

でも、入場した鈴が見た瞬間。

先生のコメントから始まったらビックリしそう。

「面白いね、それ」

和馬さん、今度は会場の見取り図を取り出した。

ほんとこういうのは準備がいい。

「大丈夫そうだね」

2人で見ていたら、おでこがくっつきそう。

思わずコツンとぶつける。

和馬さん、気づいてない?

反応無いけど。

「花音。遊びたいなら付き合うけど?」

ごめんなさい。

さっきから、おかしいんです。

人って、真面目な時ほど。

どうでもいいことをしたくなる。

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