女子会大事
【存在が尊い】
鈴の家に遊びに行く。
今日は、茜さんたちも来ていると聞いたから。
お祝いを渡すと同時に、赤ちゃんを見る。
茜さんの腕の中で埋もれるように彼は居た。
「小さい!」
第一声はそれ。
存在するのが不思議なほど、ちっちゃい足。手。
欠伸をする姿も可愛い以外の言葉が出てこない。
今までも、友達の赤ちゃんも見せてもらったけど。
皆あっという間に大きくなる。
お祝いの品は、結局オムツ。
可愛いケーキの形に整えて。
あとは、ぬいぐるみも作った。
これは、茜さんからの希望。
「やっぱり可愛い」
ぷくぷくのほっぺを指でつんつん。
怖いから抱っこは遠慮しておいた。
もう少し大きくなったら別だけど。
今は壊れそうで怖い。
茜さん赤ちゃんをベッドに寝かせる。
横には、持ってきたぬいぐるみ。
ウキウキと動画を撮り出す。
動くたびにアテレコしているから。
下手に笑い声も出せない。
【頼みごと】
そうこうしてたら、鈴のお兄さんが顔を出す。
「あれ?和馬と一緒じゃない」
私が和馬さんと一緒にくると思っていた?
別にずっと一緒に居るわけじゃないよ。
「どうする?」
茜さんとお兄さんが顔を見合わせる。
すぐにお兄さん、鈴を呼ぶ。
「鈴。ちょっと手伝って」
鈴がお兄さんに連れて行かれる。
私の横に来た茜さんが、耳を貸してと合図。
素直に従う。
「花音ちゃん、お願いがあるんだけど。
高校時代、鈴ちゃんと一緒だったよね」
鈴とは、高校から一緒なので頷く。
「高校時代の仲の良かった子達と連絡取れる?」
再び頷く。
鈴の高校時代の交友関係は。
私と一緒だからほとんど変わらない。
「お願いがあるんだけど。
その子達に結婚のお祝いメッセージとか頼める?
鈴ちゃんの高校時代の友達。
皆に遠慮してほとんど呼ばないのよ。
それを直人くんが気にしているの」
確かにそれは、鈴に聞かれたら困る話。
鈴からは、仕事場の人がほとんどと聞いている。
確かに、呼ばれた数からは合わない。
お祝いメッセージくらいなら。
私でもなんとか出来そう。
スマホを持ち、何人かに連絡。
比較的直ぐに返信が戻る。
「大丈夫、皆協力してくれるって」
茜さんが、手を合わせる。
赤ちゃんがウトウトし始めている。
大声は出せない。
「鈴ちゃんだけだと、逆に気にするだろうから。
直人くんの方も頼もうと思っていて。
和馬くんに相談したかったんだけど」
で、最初の話に戻ると。
「結婚式のサプライズの予定だからお願いね」
その言葉に頷く。
丁度そこに飲み物やらお菓子やら持った2人が現れる。
慌てて鈴にスマホを見られないように隠した。
【大学時代】
鈴のお兄さんは、寝始めた赤ちゃんを見て。
早々に赤ちゃんを連れて退散。
私たちが話をしやすいようにとの配慮もある。
「茜さん、大学時代の直人の面白い話ない?」
鈴の一言で、女子会の場に切り替わる。
「直人くんもだけど。
晃も和馬くんの家に入り浸っていたの」
集会所みたいになっていたのは聞いた。
「でね、男ばかり集まっていると。
何しているか気になるでしょう?」
確かに気になる。
「だから、晃といる時に突撃したのよ」
何をしていたんだろう。
「したら、和馬くんと直人くん。
キッチンの床で数式らしきものを書いているの」
えっと。なぜ?
「聞いたら、料理に使うとは言うんだけど。
確かに出来たのは、肉じゃがだったけど。
過程は、召喚の儀式にしか見えなかったわよ」
それは、面白いというより、ホラーじゃ。
「だから直人、料理のメモ取るとき。
呪文みたいなこと書いているんだ」
鈴には通じた!
でも、次から和馬さんが何かを作ってくれたら。
召喚の儀式が頭をよぎりそうな気がする。
「あと、晃は英語が苦手だったんだ」
今度はなんだろう。
「苦手を克服してくると、和馬くんの家に一週間。
同じく苦手な直人くんと一緒に泊まり込んでいたのよ」
強化合宿みたいな?
「後で聞いたら、源氏物語を英文に翻訳を一週間。
3人で手分けしてひたすらやっていたらしいの」
確か、源氏物語って有名なあれよね。
授業の一環で一部を現代文にはした記憶あるけど。
英文に翻訳するものなの?
「語学は上がったけど、地獄を見たらしいわ」
次元が違いすぎて、追いつけない。
「今、直人。会話は無理と言いながら。
日本語に対応してないゲームを普通にやっているよ」
茜さん、流石に全部は理解してないと思うわよ。
と、軽く訂正していたけど。
直人さん、何気に凄い人だったのね。
茜さん、私に向かってにこりと笑った。
「和馬くんは、苦手を克服させるのが上手よね」
それに関しては、心当たりがある。
私がそうだったから。
泳げなかった私が泳げるようになりつつあるのも。
おしゃれが楽しめるようになったのも。
全部、和馬さんが苦手を克服させてくれたから。
「そのせいで、私の苦手も克服出来て。
私が晃と付き合うようになったんだから」
そこ、是非詳しく知りたいです。
隣で鈴も身を乗り出しているのが見える。
「それ、私も聞いたことないよ」
やっぱり恋バナは楽しい。




