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嬉しい知らせ

【お祝い】

週末、鈴から通知が来た。

『誕生日におばさんになるかも』

この前、茜さんから予定日までもう少しと聞いた。

少し遅くなれば鈴の誕生日と同じになるかもとも。

『そしたら、お祝いも2倍しなきゃ』

送ってから気が付く。

今年は色んなことあったから。

プレゼントをバタバタしていて買ってない。

いつもなら、時間を掛けて1人で買いに行くけど。

たぶん、そんな間もない。

どうせなら和馬さんと買いに行きたいと連絡。

明日、一緒に来てくれるらしい。

「ピアスにしようと思って」

ショッピングモールに来たのは良いものの。

候補となるお店は、意外に沢山ある。

こっちのピアス、鈴に似合いそう。

このネックレス可愛い。欲しいかも。

いやいや、今日は鈴のプレゼント。

あっちの店も気になる。

と、1時間あっちウロウロこっちウロウロ。

結局、最初の店でピアスは買えた。

和馬さん、楽しそうに一緒に見てくれたけど。

ほんの少し買ってくれるかなと期待したのは内緒。

あと、和馬さんに関係あることと言えば。

「茜さんのお祝いも必要かな?」

素直に和馬さんに聞く。

「その辺は直人が仕切っているからなあ」

友人間のお祝いは一番近い人が仕切る決まりらしい。

なるほど。じゃあ私は鈴と相談して決めよう。

どうせなら、実用的な物をあげたい。


【自分の誕生日】

もう少し話をしたくて、コーヒーショップに入る。

「そう言えば、花音の誕生日も近かったよね」

和馬さんの言う通り。

「鈴の丁度1月後になるね」

和馬さん、そわそわしている?

お祝いしたいとかかな。

でも、自分からお祝いしてとは言えないよ?

お互いの目を見ることしばし。

「その日、なんか予定ある?」

やっと言ってくれた。

予定。あると言えばある。

変に誤解されるのも嫌なので先に言う。

「お父さんが毎年誕生日はご馳走作ってくれるけど」

普段、料理をしないお父さん。

家族の誕生日。

結婚記念日。

あと、お正月のおせち、雑煮。

大事な日には何故か張り切って作る。

でも、和馬さんの方を優先出来る自信はある。

「それは、大事な用事だね」

和馬さん、笑っている。

「家族を優先した方がいいよ」

そんなにあっさり引かれると。

それはそれでなんと言うか。

コーヒーを一口飲む。

でも、もう氷しかない。

和馬さん、カップごと私の手を両手で包み込む。

「じゃあ、前日は?」

前の日はなんにも予定はない。

「空いているよ」

あ、手に力入った。

私じゃない、和馬さんのほう。

「じゃあ、誰よりも先に祝いたいから。

前の日空けといて」

視線が合わせられない。

「あ、うん」

さっきから、ストローばかり見ている。

「あと、出来れば…」

出来れば?

顔をあげると、和馬さんの顔が近い。

釣られて、私もドキドキしてきた。

「晩御飯食べに行くから。

いつもより可愛い花音が見たいかも」

いつもより可愛い花音、って何だ。

おしゃれしてきてとかなら判らないでもないけど。

そのあとは、ずっとその言葉しか頭になかった。

和馬さんずっと隣でニコニコしているんですけど。

これは聞いても教えてくれなさそう。


【誕生会に】

ふわふわとした気持ちのまま家に帰る。

そこに、丁度お父さん。

走る車を一緒に見送る。

「なあ、今年の誕生日…」

車が居なくなってしばらくして、お父さん。

「今年はお父さんのケーキ、無いの?」

私の言葉に、お父さんびっくりしている。

「もちろん、ある。

もう1人増えてもいいくらいの」

お父さん、目が泳いでいるけど。

もう1人って和馬さんのことだよね。

「呼んでいいの?」

ワザと聞いてみる。

「まだ早い」

ムッとしたお父さん。

答えなんて判っていたから、笑って誤魔化す。

「じゃあ、まだ先だね」

ごめんね、お父さん。

まだ、家族じゃなくて、2人で楽しみたいんだ。


【話したいこと】

部屋に戻って、鈴に相談すべきか悩む。

手元にはスマホ。

机の上にはプレゼント。

可愛い花音って何?なんていきなり打てない。

記入欄に、書いては消し。

書いては消し。

結局。

『鈴のプレゼント、いつ渡せばいい?

その時話したい事あるから、ご飯食べよ』

という無難なもの。

しばらく待つ。

鈴からの返信が、思ったより遅い。

仕方ないので人形に聞く。

「可愛い花音って、何?」

和馬さんの雰囲気からして。

普段の私が可愛くないとかじゃないくらいは判る。

当然、人形たちが答えてくれる訳もなく。

そういえば、スーツの子のパジャマ必要かな。

本気でパジャマ作ろうかなと思い始めたところで。

お母さんからご飯に呼ばれる。

スマホを持って、ご飯を食べて。

何度見ても、既読にすらならない。

何かあったかも、と電話を掛けようと手にしたとき。

『無事、おばさんになった』

赤ちゃんの写真と共に鈴からの通知。

『甥っ子。可愛い』

『茜さんも元気。話した』

『今、直人とお兄ちゃん踊っている』

『名前で揉めて、看護婦さんに怒られている』

来なかった分を取り戻すように次々と通知。

そして、最後に。

『こっちもいっぱい話をしたい。

フードコートあるところに行こう』

思わず、プッと噴き出す。

『楽しみ』

返信を返す手も、まだ震えている。

とりあえず、無事に産まれてくれて良かった。

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