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心配はお互い様

【心配かけました】

手を繋いでバス停まで戻った私達。

鈴の顔を見て、心配させたなあと反省。

でも、鈴のおかげで少し進めたのも事実。

だから、大きく頷くだけに留める。

鈴も何度も頷き返してくれた。

日がまだ高いこともあってか、帰りのバスはまばら。

「帰りの船、大丈夫か?」

直人さんの問いに、和馬さんが自信満々に返す。

「大丈夫。今なら何でも出来る気がする」

和馬さん、それフラグというやつです。

船を待つ間、鈴たちともう一度浜辺を歩く。

その間に、鈴に経過をこそっと報告。

「まったく、それ付き合っているのと同義だからね」

うん。鈴の言いたいことはわかっている。

だけど、これ以上は恋愛初心者には無理。

「後悔さえなければいいのよ。困ったら相談して。

役に立たないかもだけど、聞くくらいならできる」

鈴の言葉は重い。

私と違って、いろいろ経験もしてきている。

でも、目の前の幸せそうな鈴たちを見ていると。

たぶん、全部必要なことだったんだろうなあと思う。


【フラグ回収】

帰りの船の中。

和馬さん、行きの分を取り戻すように船の中を探索。

直人さんに誘われて、恋愛映画の真似なんてやっている。

「いい年をした男2人がやることじゃないよ」

なんて鈴が言いながらスマホで写真を撮っている。

「鈴がやってくれんから仕方なく和馬と!」

直人さんが言い返していたけど。

和馬さん、こっちを見ても私もやらないからね。

というか、そんなにはしゃいで大丈夫なの?

私の心配の通り、案の定というか、やっぱりと言うか。

船を降りた和馬さんが、少しふらついているよう。

手を繋いでいるから判るレベルではあるけど。

だからと言って指摘するのもなんだかなあ。


【内緒もバレる】

船着き場を出たところで、鈴が私に手を振る。

「じゃあ、私たちは電車で帰るね」

渋る直人さんの耳に鈴が何かを囁く。

直人さんの視線が、私と和馬さんの間を彷徨っている。

鈴が何を言ったのかは想像できるけど。

「なるほど。和馬の邪魔をしちゃダメってこと?」

直人さん、鈴に背中を叩かれている。

そのまま、鈴に引っ張られる直人さん。

和馬さん、今度は固まっているんですけど。

鈴には悪いけど、ここで解散。

駅に向かう鈴たちを見送る。


【お互い様】

「情け無いなあ」

鈴たちが見えなくなったころに、和馬さん。

「情け無いことは無いけど。なんか安心する」

私だって良いところ見せたいけど全然できてない。

「よし、近くを歩こう」

確かに駅の周りは見たことないお店がいっぱい。

そして、何故か最初に向かったのはお土産物屋さん。

「いや、旅行じゃないよね?」

思わず和馬さんに突っ込む。

「たまに友達にお勧め聞かれるから」

なるほど。確かに地元で知らないのも変だけど。

というか、うどん以外に…ある?

後は、おばあちゃん家のお供えくらいしか思いつかない。

「だから、花音も一緒に探して」

昔からおばあちゃん家にあったもの以外となると。

見たことがないもの見つけたと思ったら、県外のお土産。

それが案外面白くて、2人で1時間ほど彷徨って。

結局私の選んだ2つほどを和馬さんが購入。

食べて美味しかったら教えてもらう約束。

その後は、近くの店でアイスを買う。

一緒に食べていると、デートっぽい気がする。

もう少し一緒に居たいから今度は自分から。

「そういや、ここのビルも登れたよね」

展望台は、一度鈴と上った記憶がある。

「じゃあ行ってみよう」

展望台では、今日行った場所はもちろん見えたけど。

足元にも、この前花見をした場所が見える。

「あっちに水族館があって、それからこっちには―」

こうしてみると、行きたい場所が次々と思い浮かぶ。

「じゃあ、次は花音に場所決めてもらおうかな」

そっか、次はお弁当じゃなくて場所を決めるんだ。

それはそれで楽しそう。

そして、今日も日が暮れる前に家に着く。

『ありがとうございました』

和馬さんに送る言葉が恥ずかしい。


【ほうれんそうは大事】

そういや、鈴にも通知しないと。

『無事帰った』

鈴からすぐに返信が来た。

『帰るの早くない?』

私もそう思う。

でも、それより大事な話があるので電話をする。

「ぬいぐるみ事件。犯人は和馬さん」

ちょっとの間。

―話は、アイスクリームを食べているときに遡る。

学生時代の鈴との話とかしていて思い出した話。

鈴に一目ぼれした直人さんは、まず鈴のお兄さんに相談。

お兄さんから好きな物を聞き出すことに成功。

手作りのぬいぐるみを持って鈴に告白をしたらしい。

後日、直人さんの話から誰かに教えて貰ったことが判明。

当時は、相手が女の子だと思っていたけど。

和馬さんなら、ありえそうな気がして聞く。

「その話なら教えたのは僕。オリジナルが欲しいって。

直人の好きな子に、僕がぬいぐるみ作るのはおかしいし」

まあ、一般的に男の人に聞くとは思わんよね。

後で鈴に教えて安心させてあげよう。

などと考えていたら、和馬さん勘違いしたっぽい。

「だから、花音が欲しいなら作るよ?」

私、ぬい活しているんだけど。

一緒に作る?ただ場所が問題だね。

よし、今は言わないでおこう。

その後、展望台の話をして胡麻化したけど。

その辺の経緯を聞いた鈴のため息。

「…そりゃ、相手聞いても言えないはずよね」

鈴、あの時大変だったものねえ。

今更だけど、解決して良かったよ。

「そういや花音。ぬい活してなかった?」

…そこ来るよね。

「作ってくれるとは言っていたよ。

でも、出来るなら一緒に作りたいというか」

鈴の笑い声が聞こえる。

「良かったね。趣味理解してもらえそうで」

―久しぶりに好きな人のぬいぐるみ作ってみようかな。

電話を切った後、スマホのフォルダを開く。

「思ったより少ない」

写真には、景色ばかり。

何枚かあるけど、もう少し欲しいかも。

次に2人で出かけるときには、写真も必要かな。

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