なんでも屋『クローバー』
時は少し遡り、時間は六時丁度。
一般人が入る余地が無いはずの地下鉄の線路上に四人分の足音がコツコツと静かに響く。
しかし、息を殺すかのように響く音の正体は例えライトで照らしたとしても移すのは虚空ばかりで人がいるようにはとても見えない。
反対側の線路に電車が通り、まばゆい光がしばらく続く。
本来なら線路に人がいる時点で有り得ないのだが、それを運転手側に視認されでもすれば即刻通報され身柄を拘束されることは間違いないだろう。
けれども運転手、果ては乗客に至るまで、本来視認されてもおかしくない状況のはずが誰もそれに気づかない。
そして電車が過ぎ去った後には駅のホームから僅かに漏れる光だけが唯一の光源となっていく。
誰にも認知されないまま、足音は奥へ奥へと歩を進める。
それからしばらく経ったのち、駅と駅の丁度真ん中あたりまで来たところで足音はその場でふいに停止する。
それは足音が目的の場所へ来たことを知らせるには十分な反応だった。
「・・・目的の地点だな。サード、もう能力を解いていいぞ」
「わかった」
先頭にいるであろう男がそう言うとサードと呼ばれた男は指を鳴らす。すると、今の今まで姿の見えなかった男三人、女一人の計四人の姿が浮かんでくる。
四人はこうして姿を不可視化することで人の目を逃れ、地下鉄の線路その深部にまで侵入することに成功していたのだ。
勿論、それはこの四人の内の一人の能力によるものである。
「あと数分で行動開始だ。まったく、依頼者にはほとほと困ったもんだな・・・。なんでも屋としてテロを起こすなんて思ってもみなかった・・・」
「そう言うなファースト。表と裏どちらも歓迎っつう売り文句を掲げてる以上、こういう殺しよりもヤバイ依頼なんざゴロゴロ舞い込んで来るもんさ」
「それでも、今まで裏の仕事って言っても一人二人殺して欲しいなんて内容くらいなものだったんだぜフォース。それがリスク背負ってテロを起こせ、だぜ?怪しさの塊だろ・・・」
「でも、依頼は依頼でしょ。きちんと達成しなくちゃ、前金だって結構貰ってるし。あと、テロを起こすことに拘り過ぎないでね」
「分かってる。依頼の内容は『テロを起こしてその混乱を利用し人を攫え』。だが対象の人物はそうとう用心深い奴らしいから意表を突かなきゃいけない。だからテロを起こして注意を逸らし、隙を見せたらこちらで気絶させて拘束しそのまま撤収する・・・事務所で散々話し合った計画だ、きちんと頭に入っているよ。じゃなきゃ俺はこの四人の中でリーダーを張ってないさ・・・。」
ファーストと呼ばれる赤のメッシュが特徴的な黒髪の若い男はそう言いつつ、自らの役割のための準備をこなす。
ファースト、本名を『影山光』と言い、なんでも屋『クローバー』を営む二十六歳の若き青年である。
その能力は『影操作』。あらゆる影を動かすことで、それによる物理法則の適用が可能であり、操ることのできる能力だ。影を操るからして、こういった地下では無類の強さを発揮する。
光はこの四人のメンバーの中でいう主力に相当し、この依頼を実行するにあたって自分の性能を、仲間の性能を遺憾なく発揮できる場所である地下を選んだのであった。
「それじゃあ、最後にもう一度計画のおさらいだ。次の電車、つまりこの線路を通る電車が発車すると同時に俺がここの影を使って駅を封鎖する。それから犯人の動向を監視するのはセカンド、君の役割だ。」
「うん、大丈夫だよ。今だってきちんと監視してる。」
「頼む、君は俺達の『目』なんだから。」
はーい、と快い返事を光に返すセカンドと呼ばれる綺麗な青髪と雰囲気相応な柔らかボブが特徴の若い女性の本名を『早海千里』と言い、なんでも屋『クローバー』の癒し兼給仕担当で同じく二十六歳のほんわか系美人である。
能力は『監視』。ここと決めた地点に自分の視覚を設置することが可能で、その気になればいたるところに視覚を設置し、監視カメラのように見張ることが可能で、しかも他人に共有することができる貴重な視覚系の能力者である。
早海は自分の能力を使い、今まで透明化して移動している間に死角なく視界を設置し、余すところのないように監視ができるよう密かに行動していたのだ。
それはつまり、この早海をどうにかしない限りはこの駅内に逃げ場がないことを意味していた。
「影を使えば当然、明りも無くなる訳だからそこはセカンドの能力で視界を確保してくれ。」
『了解』
「OK、封鎖が完了した後、フォースの能力で霧を生み出して、明り等で視界を確保した人達の視界を更に奪う。タイミングはフォースに任せるよ。」
「わかった」
フォースと呼ばれるいかつい体に坊主頭が特徴的な男性の本名は『霧島章太』。なんでも屋『クローバー』でその風貌を活かした脅し担当で三十歳の壮年である。
能力は『水分操作』。その名の通り水分を操る能力者であり、その利便性で不測の事態であっても対応が可能であるという強みを持っている。
今回は大量の水分を空気中に生み出し霧を発生させると同時に微妙な霧の変化を感じ取ることである程度危険を察知し、それを伝える役目も担っている。
『監視』の早海と若干役割は被るが、こうして念には念を入れる姿勢はそれだけの警戒が見て取れる証であった。
更に戦闘能力も少なからずあるため、主力の光を補助する要員も担っている。
「更に混乱を誘う為に、サードが『幻』で俺の影に似た人影を大量に作成して足止め、首尾が良ければそのままターゲットを確保して連れてくる。そうでなくても俺が影で縛り上げて拘束か気絶させて連れて来ればそのまま撤収できる。まぁいつも通り、いい感じで頼む。」
「あいよ大将。いつも通りやりゃあいいんだ、この依頼だっていつも通り手早くやってトンズラしちまおう」
「ああ、そうだな。」
そして最後に、サードと呼ばれる長い紫髪を後ろで纏めている調子のいい青年の本名は『宇津路健人』。なんでも屋『クローバー』では高いコミュニケーション能力を活かした接客を担当としていている二十四歳とこの中では一番の若輩である。
能力は『幻』。視覚に関係する幻覚を見せることだけでなく、ある程度の物理法則を持った「幻」すらも産み出せる能力であり、裏の仕事をする際の隠ぺい工作等で活躍する人物である。
以上がこの『クローバー』の内情であり、関係性だ。
四人が自分たちのことをファーストといった明らかな偽名で呼び合うのは本名がバレない様に注意し、簡単かつ素早く呼び合える呼称を考えた末に収まった形である。
故に、裏での依頼をこなす場合は必ずこの偽名を呼び合っている。
四人はある人物に、一人の人物の身柄を確保するためにテロを起こせと依頼され、怪しさに首を傾げながらも高い前金と依頼料、それから少しばかりのお願いをされ仕方なく依頼を受け今に至る。
そのため、四人で入念に話し合い計画を立てることで少しでもテロのリスクを軽減しようと画策したのであった。
「それで、目的の人物はこの写真同様白衣をよく身に纏う人物で、名前は『日野敦』。間違っても他の人を巻き込まないように注意してくれ。」
最後に光がそう言って締め括り、四人が各々本格的に準備に入る。
光は影の調子を確かめるために影の形状を変化させたり引っ張ったりを繰り返す。
千里の場合自らが設置した視覚が正常かどうかの確認と、四人全員に正常な視覚の共有を施す。
章太はいつでも行動可能なのか、線路の上に鎮座しておりこれからの依頼に向け心を落ち着かせている。
だが、健人はいい意味でも悪い意味でも余裕があるのか、三人に向けて声を掛ける。
「そういや、裏の『死神』の噂って知ってるか?」
「『死神』?」
「そう、『死神』だ。」
健人の言葉に疑問を返す形で返答したのは光だ。
光としては正直この大事な時間に何をしているのかと呆れたくもなるが、健人の性格上そういう真面目な雰囲気は受け付けにくいだろうと考える。
「・・・それで?」
よって、光はこれに乗ることにした。
その方が健人が集中できるだろうと思ったからだ。
「『死神』って言っても本当に殺す訳じゃない。裏にとっての『死神』ってのは、裏でやろうとしていた計画をたった一人で完全に阻止するんだと。絶対に敵わないぶっ飛んだ奴らしくて、能力で攻撃しても、武器で攻撃しても、罠を張っても全く意味がないっつう超人っぷりだ。そうしてそんな化けもんはいつしか裏の『死神』って呼ばれるようになったらしいぜ。」
「・・・それがどうしたよ。」
その問いと共に、光の胸に嫌な予感が過ぎる。
話を聞く限り、ある程度大きな計画はその『死神』の標的となり、完全阻止される対象となるらしい。
ならば、今自分達が起こそうとしているこのテロも十分にその対象になり得る可能性を孕んでいると光は瞬時に考えたのだ。
「その『死神』サマ、もしかしたら来るかもしれねぇぜ。」
果たして、光の考えは的を射ていて多少なりともこの任務の危険性が上がったとみて間違いはなかった。
「なら、一層早く終わらせねぇとな。・・・・と、そろそろか。」
光は身に着けている腕時計で時間を確認し、実行の時刻が迫ると他の三人へ持ち場へ着くように合図を交わす。
「・・・ん、ファースト。あれは?」
すると、そこで章太があることに気づいたようで指を指す。
それに釣られた光が章太の指の先を見る。
それは――――、
「黒い・・・炎?」
地下鉄に怪しく揺らめくそれは、まるで闇をそのまま持ってきたかのような不気味さを放つ炎だった。
そしてそれはまるで光たちを嘲笑うかのように収縮を始め、限界まで小さくなると僅かに脈動を繰り返す。
今にも破裂しそうなソレは黒き発光という矛盾を成しえながら、その内に蓄えられたエネルギーを一気に放出する。
それは回避のしようがない黒い熱の本流。
「マズ――――――、」
これ以上ないほどに至近距離からの爆発だった。
轟音と共にあふれ出る熱によって四人は肌を焼かれながら、それぞれ爆発の衝撃によって体を投げ出される。
そして、その熱の被害を一番受けたのは当然ながら一番近くにいた人物である。
「千里!!!」
その不運な被害者は千里だった。
光は熱と衝撃によって痛む体に鞭を打って意識のない千里の元へ駆け寄る。
「千里!千里!!頼む、返事をしてくれ!!」
熱の奔流を一身に浴びた千里の女性らしい肌は焼けただれ、服には鮮血が滲んでいた。
その痛々しい有様は生きていることが奇跡とさへ思わせるほどに惨いものであり、光は完全に取り乱していた。
「ファースト!囲え!早く!!」
「・・・ぐ、クソ!!」
光は章太に急かされるや否や、本来自分がすべき役割を思い出し、逡巡した後に地へ掌を置き影を操る。
その暗闇とも言うべき影は光によって物理法則を付加され瞬く間に広がり、はじめに線路を塞ぎ仕舞いにはこの駅全体を覆いにかかる。
そうしてこの駅を光の操る影によって完全に封鎖されていった。
「ファースト、取り敢えず落ち着け。リーダーがそんなことでどうするんだ。」
「でも!!・・・・・、ハァ、いや、ありがとう。まずは被害の確認と襲撃者の警戒だ。・・・セカンドの容態は?」
「ひとまず止血は俺の能力で済ませた。後は応急処置だな・・・。」
「ありがとうフォース。サードは?」
「大丈夫、なんとか軽傷で済んだみたいだ。」
章太と健人は共に先ほどの爆発で軽傷を負いはしたが、衝撃による打ち身程度で済んでおり千里ほどの怪我はしていなかった。それは光も同様である。
手早く被害を確認し、重体である千里を柱の影へと運ぶ章太。健人も同じく柱の影へと隠れ、光は襲撃者が何者か、その目で確認するためにわざとその場から動こうとはしなかった。
それからしばらく、ぴんと張った糸のような緊張感が辺りを支配する。
視線を動かし、何か違和感が無いかと前方を注視する光。
三人が三人警戒を高める空気のなか、光は一向に変化の訪れないこの状況に疑問を抱いていた。
「なぁサード、ターゲットは何かの能力を持っているか?」
「いや、何の能力も持っていない無能力者だって聞いてるし、調べてもただの研究者だとしか出てこなかったぜ。」
「・・・だよな。」
普通なら何かアクションの一つでもあっておかしくない状況に疑問を抱きつつも、光はまず襲撃者についてターゲットによる襲撃を考えた。
何らかの方法で自分達の存在に気づき、逃れるために能力で攻撃を仕掛けてきた場合の可能性だ。
だが、それは健人の話によって否定された。
黒い炎という能力以外有り得ない現象に、無能力者であるターゲットが関わっている様には思えないからだ。
「とすると、第三者による襲撃と考えるのが最も自然か・・・。」
「ファーストどうする?こっちの『目』はもう使える状態じゃないぞ。」
「わかってる・・・。」
章太が暗に聞いてきたことは、この依頼を続けるかどうかだった。
仲間のうち一人は応急処置を施したものの重症であり、今こうして駅を囲み封鎖しているとはいえ自分達の居場所が既にバレているという危険性もある。
それを加味したうえでどうするか、どちらでもいいとも受け取れる章太の発言に光は悩む。
「・・・・、続ける。どのみち、この依頼を失敗する訳にはいけないってフォースも理解してるだろ?」
「・・・わかった。サード、手筈通りに頼む。」
「ハァ、わかったよ・・・。」
そうして短い時間で悩んだ末、下した決断は続行だった。
それを聞いて章太は本来の手順を沿うべく健人に声を掛け、それをしぶしぶ健人は了承した。
すると、だんだんと章太の周りから霧が立ち込めそれは次第に広がっていく。
「なるべく早く見つけ出してさっさと撤収するぞ。」
「「了解。」」
千里のためにもと思って告げた言葉は十分に二人へと伝わったのか、確かな信頼の代わりに短い了承の返事を返した。
一度爆発によって中断した作戦を再開してしばらく、章太が真っ先に霧を展開し僅かな揺れなどを感知してソナーのように大まかに人のいる場所を把握する。
けれど、それはあくまで大まかであり、この辺りにこのくらいの人が集中している、であったり、この辺りに人がいる、というようなかなり大雑把な測れないものであり、万全とは言えない状況であった。
それでも、章太は不自然な動きをする者がいないかどうかという基準で判断を重ねていた。
「ファースト、数人程度が真っ直ぐこちらに向かって来ている。」
そんな中、こちらに向かってくる存在に気づいた章太は二人に向けて声を発する。
光はそれを聞いて先ほどの爆発を起こした襲撃者が来たのかと考えるが、それにしてはタイミングが遅すぎることに気づく。
勿論、この騒ぎを止めようとして警備員等が向かって来ているという可能性もある。
けれどそれにしては人数が少ない。
いくら警備員でもこの騒ぎに数人程度で止めに来るというのは少々考えにくいのだ。
「待て、反応が別れた。一人で向かってくるぞ!」
「な、一人だと!?」
「おいファースト、俺の『幻』もどんどん消されていってる。多分視界が効かなくてもどうにかできる能力者が何人か居るぞ!」
クソ、と光は思う。
どんどん自分たちが立てた計画を一つ一つ潰され、遂には依頼を完遂するどころではなくなっていく。
徐々に退路がふさがれていく恐怖、まるで底なし沼に嵌った時の様な恐怖と焦燥が募っていく。
こんなはずじゃなかった。
もっと早く撤退を決めていれば。
そんな後悔ばかりが光を支配していく。
わかっている。爆発が起こった時点で撤退を決めていればここまでマズイ展開にはならなかった。
わかっている。『目』が使えなくなった時点でターゲットを的確に捉えることはできなくなると。
総合的に見れば、この結果は全て自分の未熟が呼んだものだ。
仕方がないと言えばそうなのかもしれない。自分達には荷が勝ち過ぎたと言えばそうなのかもしれない。
けれど、こうなってしまった以上はリーダーとして出来得る限りのことをするしかない。
今向かって来ている相手は一人。
この中で戦える能力を持っているのは自分と章太。
二人でその一人を相手し、殺すないしは気絶させる。
そうすれば取りあえず自分達が撤退することは可能なはずだ。
光はリーダーとして決めた選択を以て仲間に指示を出す。
願わくば全員が無事生還することを祈りながら。
「ひとまず、サードは予定通り『幻』を出し続けて駅内を翻弄、フォースは俺と向かってくる敵を迎撃。理想は気絶させることだが、難しい場合は殺してもいい。第一目標は撤退だ。」
「依頼を諦めるのか?」
「そうだ。この状況じゃ難しいだろう?依頼主には俺から伝える。」
「・・・わかった。」
「悪い、もっと早く決めていればこんなことには・・・。」
「なに、そうかわらねぇよ。どっちにしろこうなってたに決まってる。」
「・・・・そうだな、ありがとう。」
光は二人に感謝した。
この状況になったのは自分の所為だと二人も理解しているはずなのに、それを責めずにいてくれたどころか慰めてくれたことに少しの情けなさと嬉しさを感じたのだった。
そして三人が行動しようとしたその時だった。
「な!?まずいぞ、いきなり速度を上げた!!もう来る!!」
「なんだと!?」
それは章太の発言から始まった終わりを告げるプロローグだった。
一瞬。
そう、一瞬だった。
章太からの発言の直後、章太の目の前に現れた一つの影。
その影は既に左足を引き絞っており、どう抗おうが手遅れであることを示していた。
「なっ、速い!?」
なにも、光達の対応が遅かったわけではない。
むしろ判断ミスを即座にカバーしようと撤退を決めたことは素直に評価できる。
そのために敵一人に二人で応戦するという判断も間違っていない。早く撤退をするために必要なことだ。
唯一指摘する所を述べるのするならば、それは相手が悪かったとしかいいようがなかった。
その人物の引き絞られた左足から繰り出される回し蹴りにより、章太はその場で呆気なく気絶した。
「ッ!?クソ、サード!退け!!」
戦闘役を一人失ったことを歯噛みしながらも仲間の安全を優先し、健人を逃がそうと指示を出しながらそのフォローをしようと光は人知れず影を伸ばす。
だが、それを嘲笑うかのように先ほどの超スピードで健人に向かっていく。
止めようにも、余りに早い速度に影も追いつかず、遂にはその人物の間合に健人は入っていた。
「間に合わ―――、」
瞬間、裏拳によって健人の意識も闇に沈み、残すは光のみとなった。
そのまさに一瞬の行動によって章太と健人を気絶させた人物と光はその時、初めて向かいあった。
そして光が最初に抱いた印象こそ、まさに―――、
「―――死神・・・。」
まさに、死神であった。
まるでこの状況を心底楽しんでいるように弧を描く口元に目つきも合わせて、本当に死を運びにやって来た者なのだと思わせる迫力があった。
そして直感する。
今目の前にいる人物こそ、裏の『死神』と呼ばれる規格外な化け物なのだと。
もし、健人の言ったことが事実ならば、光に勝ち目はない。
そうでないとしても一瞬で仲間二人を気絶に追いやったこの人物は十分な脅威だ。
一人で対処するにしても難しい相手に光は歯噛みする。
自分に対して条件のいいこの場所だとしても、光は仲間の為に負けることは許されない。
何より、重体である千里を一刻でも早く治療してやりたかった。
こうして、光の操る影の攻撃を皮切りにこの退けない戦いは始まった。
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