集合
あとちょっとでユニークが1000突破するから頑張って面白くしたい。
できたらいいなぁ。
次の日の土曜日。
学生は休日となってぐーたら過ごすか、部活に勤しんでいる者がいるなか、社会人は元気に仕事を頑張っている。
そんな曖昧な曜日。
時間は二時、その少し前の一時四十分。
俺は駅前に立っていた。
遠見と約束した時間は五十分だから、そう考えると十分前に来ていることになる。
更に、本命の静城との時間は二十分ほど時間がある。
こうしてわかる通り、俺は静城と遠見がかち合う様にはしなかった。
理由は単純で、遠見の心の準備と、流石に初対面でイキナリバッタリハイジコショウカイヨロシク~というのは酷だと思ったからだ。
あと多分遠見なら絶対どもるという一般男子に有り得る美少女に会った時のお約束をするだろうと思ったので練習でもさせようかと思ったのだ。
そして、約束の五十分まであと五分といった所、携帯を片手に暇を潰していると不意にチラリと、視界の端を白いものがよぎった。
俺の中で真っ白=シロという等式が成り立っているため反射的にその方へ顔を向ける。
だが、目に映るのは駅前特融の人ごみだけでそれらしい人物はいない。
「見間違いか?」
結論を出すのは聊か早計だとは思ったが見渡してみてもあの目立つ風貌を見つけることは叶わない。
「よう、待たせたな黒谷」
そうしてキョロキョロとしていると声を掛けてくる人物がいた。
遠見だ。
「ん?ああ、遠見か」
服装は黒のジーンズに白シャツでパーカーを羽織っている、といった、なんというか今時の若者、という印象を受ける感じだ。
アイツ自身金髪であるため絵が映える。
俺なんて黒い服を一たび着れば一気に犯罪者臭が増すというのに。
「何見てたんだ?可愛い子でもいたのか?」
遠見がキョロキョロと辺りを見渡した俺を見ていたのか、そんなことを口にする。
断じて違うと言いたかったが性別と容姿を考えて黙ることにした。
「なんで黙るんだよ!・・・それで、紹介したい相手って誰なんだ?」
黙っている俺をみて諦めたのか、本命と思われる質問をしてくる。
「ああ、お前も知ってる人だよ。一方的だが」
「一方的?」
「俺が昼休みの時に静城と弁当食べてたってのはしってるだろ?」
「そりゃ当然だ。いの一番にお前を尋問したのは誰だった?」
「あ、今唐突に殴りたくなってきた」
「スンマセン!!!」
はて、そんなに怖がる様な顔をしているしているのだろうか。
ちょっと眉間に皺が寄って眉が釣り上っているだけだが・・・。
いや、愚問だったわ。
「はぁ・・・、紹介したいのはその静城だ。勉強会の言いだしっぺなんだが、俺だけじゃ力不足が否めないからお前を呼んだ、という感じだ。」
一応、遠見に事の経緯をザックリと話したが俺から「静城」の名前が聞こえた瞬間から時が止まったように動かない。
「・・・・・・」
「遠見?」
大丈夫か?コイツ。そんなにショッキングだったのだろうか。
「え、あ、・・・は?え、まじ?」
うん、俺の予想よりも遥かに挙動が不審だ。
いつもの様なおちゃらけた様子も無ければコイツ本来の高いコミュニケーション力が嘘のように狼狽えてる。
実に滑稽だ。
「大マジだ。待ち合わせは二時なんだがいきなり会わせるのは流石に酷だと思って時間ずらしたんだ感謝しろ」
「イヤイヤイヤ、時間ずらす意味ないから!つか何で昨日教えてくれなかった!?」
「え、面倒だから」
「即答!?」
なんと騒がしいやつだ。
余り目立ちたくないと言っているのに何故コイツは目立つような声を張り上げるのだろうか。
いや、確かにこと待ち合わせにおいては「目立つ」ということはひどく便利なんだけどな。
待ち合わせにおいては、だが。
「そんなことはいいから、今ある十分を有効に活用したらどうだ?」
「え、いや活用って言っても何すんだよ。もう静城さんに会えるだけでもう心臓バックバクなんだぞ俺!?」
何やら遠見は本気でテンションが振り切れているようで最早パンク寸前のタンクの様な思考をしている。
実に面白い光景だが生憎今遠見が使えなくなるのは避けたい。
コイツがいつもの調子を取り戻せなければ今日の勉強会は絶対身が入らない中途半端なものになってしまうからだ。
「まあまあ、取りあえず深呼吸して落ち着け」
俺は未だ興奮冷めやらぬ遠見をなだめる為、肩を叩いて無理矢理静止させると落ち着くように促すため深呼吸を強制させる。
ボケとしてありがちなラマーズ法をしてツッコミを入れる、何てことはなく普通に深呼吸を繰り返していく遠見。
「落ち着いた?」
「・・・なんとか」
未だ冷や汗が絶えない遠見だが若干調子を取り戻しつつある遠見。
スマホで時間を確認すると既に五分も経っていたのでさっさと心の準備をさせなければきっとコイツは後悔するだろう。
正直心底どうでもいいが、それでは遠見を連れてきた意味がなくなってしまう。
だから少しでも精神ダメージを軽減させなければ。
「二時まであと五分だから、少し心の準備でもしておけば?」
「そ、そうするわ」
すると遠見は胸に手を当てて深呼吸を繰り返し行う。
少しでも心を落ち着かせようとの行動だと思うが、こうして傍から見るとプロポーズ前に緊張で死にかけてるヤツにしかみえないな。
んで告白したらフラれるというおまけ付きで。
ありありと思い浮かべるソイツの姿は真っ白に燃え尽きていた。
「うんうん」
謎だ、なんだか妙にしっくり来た。
どうやら遠見は俺の中ではどうしようもないヤラレ役という位置づけになっているらしい。
悲しいことだ・・・。
まあ、だからといってどうと言うことはないが。
「だいじょうぶだおれならいけるふつうにだふつうにすればいいんだそういつもくらすめいとにせっするようなかんじでいつもどおりのてんしょんでじこしょうかいとかしてそのままそのばののりにまかせてぺらぺらしゃべってればいつもどおりなかよくなってるようんそうだっておれはそうやっていまをいきているだからできないはずが――――・・・」
「遠見?」
なんということだろう。
落ち着くことや、いつも通りに振るまおうとして完全に空回りしてるやつじゃないですかー。
「そもそもいしきするからいけないんだそうくらすのじょしとかにこえかけられるのといっしょだとおもえばいいんだそうだよそうすればなんのもんだいもないはずだおおなんかとうとつにいけるきがしてこないでも―――・・・」
「おーい、おーい」
どうやら完全に自分の世界に入ってしまっているようで応答はない。
ただぶつぶつとうわ言を繰り返すだけだ。
でも俺は教えたかった。
「?」
後ろにいる静城の存在を。
そしてその静城がどうしようもない変な人を見る目をしていることを。
「ちぇすと!」
「ぐおお!!?」
仕方がないので遠見の頭に強めのチョップをお見舞いする。
これで少しは頭が冴えるだろう。
「なんでチョップすんだよ・・・」
結構痛そうに頭をさすり俺を見る遠見。
俺はやさしいので静城が目に入るように指を指してやる。
「・・・え?」
当然目に入るのは静城風香。
見てわかる服装は上からポンチョ、ミニスカ、ハイニーソにブーツ。
変装かどうかは知らないが黒縁のメガネをかけていて、長い髪もシュシュで後ろに纏めたロングポニーテール。
総評価、人形並の可愛さ。
いや、どう見たって可愛い。
身長が低い分、着ているポンチョがだぼっと垂れ気味でぶかぶかとした印象を持つが、腰辺りに裾がきているためサイズ自体は丁度いいようだ。
それからミニスカートにハイニーソ。
言わずと知れた女子の黄金コンボだ。
何が良いかって、そりゃあ絶対領域が拝めることだ。
美少女の絶対領域とはそれほどに価値のあるものなのだ。
そんな男が持つ理想が詰め込まれたような服装は確かにグッとくるものを感じる。
現に隣にいる遠見は手を合わせて拝んでいる。
アホだ。
本当にアホだ。
静城に気を取られ過ぎて隣にもう一人居る女子に気づいてないよコイツ。
「蒼太、この変な人は?」
「ん?今回の勉強会の助っ人だ。それで、そちらさんは?」
俺?
心には思っても顔には出しませんよ。
ポーカーフェイスは得意な方だ。
「塚野まいです。風香ちゃんのクラスのクラス委員なんだけど、勉強会するって話を本人から聞いて、それで心配になって同行させてもらったという訳よ」
「納得。黒谷蒼太だ。そこの変な奴は遠見真司。あんなでも頼れはする。」
塚野まいと名乗った黒髪ボブの少女はどっちかといえば言えば美人に入ると思うが、これといって特徴のない地味、と言えば悪く聞こえるが、逆に悪いと思う所がないというのがパッと見の印象だ。
服装は上からふわりとしたプルオーバーパーカーにジャケットを羽織った形に下はガウチョ、と可愛いよりかはカッコいい女子みたいな纏まりをした服装だ。
だが、そのにじみ出る凡人らしさはもはやプロと名乗り出ても違和感が無いと思うほどに普通だ。
可もなく不可もなくとはこの子のためにあるような言葉だと言われても納得できる。
因みに身長は静城が俺の胸上あたりとすれば塚野は俺の顎のあたりだ。
数字にすると140に対する150といった所か。
「ホントに?なんか変人ってあんななんだなあって怖いとか通り越してむしろ感心したんですけど・・・」
「その内戻る。名前以外の自己紹介は自分でやるだろ」
「ふーん。どうでもいい」
静城は黒縁メガネが大きすぎたのか斜めにずれているのを直しながらそう言うが、あれはずれているのではなく完全に静城の顔が小さくてメガネ自体が合っていないのだ。
それでは収まるものも収まらず、結局静城は斜めになったメガネをそのままにして諦めたらしい。
でも俺にはその斜めになったメガネがチャームポイントに見えて仕方がない。
誰だか知らんがそのメガネを買ったやつ、若しくは買わせたやつよ。
良くやってくれた。
「ハッ、無意識に拝んでた。ところで黒谷、隣にいる真っ白い女の子って知り合い?」
「ああ、静城の・・・・・―――ん?」
あれ、この場にいるのは俺、遠見、静城、塚野だよな?
「おい待て、なんつった?今なんつった!?」
「は?いやだから、お前の隣にいる真っ白い女の子だよ。」
それを聞いてすぐさま右隣を見る。
「えっと・・・」
視線の先には塚野だ。
真っ白い少女は見つからない。
次に素早く左隣を見る。
「?」
静城以外に見知ったものはない。
最後に正面を見る。
「何処だよ!」
「いやだからすぐそこ!」
すると遠見は同時に指を指して場所を知らせる。
その先は後ろ。
不意打ちをするかのように後ろへ振り返る。
だが、あるのは人通りくらいだ。
「おー・・・」
静城の感心するような声を聞いて俺は察した。
前後左右にはいないなら、残りはどこだ。
「そこだ!」
「ばあ!!」
上を向く。
いた。
頭からつま先まで真っ白な雪を彷彿とさせる、髪色、服の色は共に白。
瞳は赤く俗に言うアルビノ幼女である、俺の親友のシロが何の嫌がらせか上を向いたタイミングで鼻と鼻が触れるくらい近くでわざとらしく大声を上げる。
「驚いた?驚いた?驚いただろう?なにせわたしが来たんだ、驚かないわけがない!」
ひどく楽しそうに笑って言い切った彼女を見て、俺は喜ぶどころかその場でガックリと膝をつく。
この状況で、俺の本当の能力を知らない塚野に誤魔化せる自信が粉となってそのまま風になって消失した感覚を得てしまった・・・・。
俺は、コイツの暴走を御せる自身が無い。
「来るとは聞いてたが何で今なんだぁ・・・・・」
「面白いからにきまってるだろォ!!」
勉強会はまだ始まっていないというのに、集合した時点だというのに、俺はこの時点で既に頭が痛かった。
とりま目指せ5000pv




