番外編16 山のグリッチが迎えに来る
二つ目の変更点は、テントの着弾地点。
麓でひとつだけ設定されている固定爆発判定が、そこに重なる。
つまり、天然地雷。
ここで使うのか。
説明を読むと、内部処理がさらにおかしかった。
プレイヤーの移動速度が音速を超えている間、「真の大霊峰」の爆発判定がプレイヤーに合わせて回転する仕様が裏で仕込まれている。
天然地雷側の固定爆発判定が、プレイヤーを迎えにくる。
迎えにくるな。
地雷は待っていろ。
天然地雷が全部ランダムではなく、一か所だけ固定判定だったのは、これに利用するため。
その判定が大きいのは、微妙に飛距離が異なる三ルートに対応しつつ、爆発規模を派手に見せるため。
計画的犯行だ。
元々は、音速超えしている足元に天然地雷を追従させる方法も検討されたらしい。
だが、それだと接地したら途中で爆殺される。
さらに、テントとは無関係に地上オブジェクトで誘爆してしまう。
だから、麓で待ち構える仕様になった。
丁寧に狂うな。
そしてテントが湿地に刺さった瞬間、プレイヤーが爆死する。
同時にトロフィーが解除される。
「英雄は逃げない」
俺は椅子の上でしばらく固まった。
英雄は逃げない。
つまり、音速テントで下山するな、ということか。
いや、テント下山を仕込んだのは運営だ。
やっていいよ、と言ったのも運営だ。
なのに真の史実ルートでそれをやると、山が本気で迎撃してくる。
トロフィー名は、非難ではない。
嘲笑でもない。
ネルソンはそんなことしてない、という淡々としたツッコミ。
史実のネルソンは、普通に五体満足で下山している。
普通に。
あの人に普通という言葉を使うのは抵抗があるが、少なくともテントで音速落下はしていない。
ここが大事らしい。
開発としては、説教臭くしたいわけではない。
最後まで振り切った演出で、プレイヤーに大笑いしてほしい。
そのための確殺。
笑いのために殺すな。
いや、ゲームだからいいのか。
いいのか?




