表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
55/60

番外編13 祈られるテント

 テント下山の軌道上で、肉食動物に当たると、相手は即死ダメージを受ける。


 ただし、テントの軌道には影響しない。


 肉食動物が、進路上の小石みたいな扱いになっている。


 生命倫理が音速で通過していく。


 さらに、空を飛ぶ猛禽類と同じ高度まで上がって眺められるよう、地形の一部にジャンプ台となる形状がわざと仕込まれている。


 わざと。


 一定以上の標高では猛禽類が登場しないことを利用し、高度が下がって猛禽類がスポーンする場所を計算に入れ、空での邂逅をデザインしている。


 ただし、衝突はしない。


 ここだけ急に繊細。


 音速テントで山を下ることは許す。


 岩は砕く。


 肉食動物は吹き飛ばす。


 でも猛禽類とは衝突させない。


 ガルダの頂点捕食者への敬意がある。


 敬意の向きが斜めすぎる。


 そして、一番変なのは先住民だ。


 テントが高速すぎてほぼ見えないが、実は先住民がテントに祈りを捧げている。


 俺はここで完全に笑った。


 音速で山を転がり落ちる耐久無限テントに、先住民が祈りを捧げる。


 絵面が強すぎる。


 だが内部処理を見ると、妙に筋が通っている。


 先住民AIは、脅威度最高の存在に反応して祈りモーションを発動する。


 通常、その対象は猛禽類。


 しかし音速テントは衝突ダメージが極大であり、脅威度判定に引っかかる。


 そのため、祈りの対象になる。


 理屈はわかる。


 でも、それはもう祈りの対象が精霊からテントに移っている。


 信仰の危機だ。


 いや、彼らからすれば、空から音を割って飛んできて岩を砕く物体など、祈るしかないのかもしれない。


 俺だって現地にいたら祈る。


 何に祈っているかはわからないが、たぶん祈る。


 最後、テントは音速のまま麓の湿地に突き刺さって着地する。


 ゲーム内で地面へのめり込みが生じるのは、ここだけ。


 これで下山すると、トロフィー「虚数解」がアンロックされる。


 ただし、正式クリア扱いにはならない。


 虚数解。


 解ではある。


 でも現実の解ではない。


 下山ではある。


 でも正規の下山ではない。


 トロフィー名が完璧すぎて腹が立つ。


 難易度ネルソンは道中のセーブポイントがほとんどないが、旗を三本刺し終えたところでセーブできる。


 だから、テント下山で遊んだあと、リロードして改めて正規下山が可能。


 旗が残っていても、山頂候補ならテント下山はできる。


 ただし、旗があるとトロフィーはもらえないし、普通に登り直しになる。


 遊びには厳密。


 仕様には狂気。


 この運営のバランス感覚は、ガルダの崖に片手でぶら下がっている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ