番外編11 安全とは何かを問いたい正規ルート
ネルソンルートでは、危険地帯に踏み込まず、爆発しない高度までひたすら登攀を行う海側ルートに挑戦できる。
ネルソンルートは完走して生還した人間がいる。
他のルートで登頂した者はいない。
どちらも死人はバンバン出てるが、ネルソンルートは生還率がゼロではない。
そのため、登山家の間では、「最も安全なルート」というジョークがあるらしい。
崖は、海食崖百三十二メートル。
ロープなし。
そのうち上部五十六メートルが、玄武岩質のオーバーハング。
何度読んでも嫌な数字だ。
百三十二メートル。
上部五十六メートルがせり出している。
ロープなし。
旗三本あり。
しかも難易度ネルソンなので、生還が求められる。
つまり下山時も、爆発地帯を強行突破しない限り、同じ崖を通る。
登るだけでもどうかしている崖を、帰りに下りる。
しかもゲーム内のネルソンは、山頂用の旗三本を確定で持っている。
重量負荷が増えている。
旗が誇りではなく、肩に乗る嫌がらせになっている。
いや、史実でもネルソンは持っていた。
だから仕方ない。
仕方なくない。
正規ルートに入ると、その後のルートもネルソンに忠実なものへ変化する。
元々は救済用ショートカットだったエリアが、硫化水素噴出の超危険地帯になったり、肉食獣の生息地になったりして、実質突入不可能になる。
救済が消える。
逃げ道が山に食われる。
各シーンの難易度も、通常のネルソンよりさらに上がる。
難易度ネルソンの上にある隠し難易度。
もう、難易度というより思想犯である。
なお、崖の下りではロープ懸垂下降を封じられるらしい。
ネルソンは普通に崖を掴んで降りていて、残置物がなかったとされている。
待て待て待て待て。せめてロープくらい使わせろ。
いや、ロープありで百三十二メートルの海食崖を下りるのも、普通に危ない。
普通の危険が、ガルダでは癒し枠になる。




