番外編8 やっぱりいた天然地雷
公式サイトの危険要素一覧を読み進めていると、俺はまた変な項目を見つけた。
「真の大霊峰」
項目名だけでは、何のことかわからない。
だが、このゲームの言葉遣いにはもう慣れている。
真の大霊峰。
たぶん、ただの演出ではない。
この運営は、やたら荘厳な言葉の下に、平気でプレイヤーの死因を埋めてくる。
説明を開いた。
登山口付近の地面が爆発する。
天然地雷。
俺は画面を閉じかけた。
閉じなかった。
偉いぞ、俺。
登山口付近には、外観上の兆候がない爆発判定が存在する。
外観上の兆候がない。
つまり、見てもわからない。
雪崩は音や地形で読める。
クレバスは探索で見つけられる。
落石は岩肌の兆候がある。
硫化水素は、難易度次第では見えるガスになる。
だが天然地雷は、見えない。
地面が地面の顔をしている。
そのくせ踏むと爆発する。
山の中でも、性格の悪さが一段深い。
爆発判定は、一か所だけ大きな固定エリアがある。
その他は完全ランダム。
爆発条件は、判定エリア内に体重などの圧力を一定以上かけること。
巻き込まれると即死。
淡々と書くな。
「体重などの圧力」と言われると、自分の存在そのものを責められている気分になる。歩くことが罪。立つことが危険。山へ入る以前に、質量を持っていることが敗因になる。
猛禽類は、本能的に危険を察知するらしい。
麓まで無理やり連れてきても、爆発判定の上には着地しない。
さすが頂点捕食者。
いや、感心している場合ではない。
鳥ですら避ける場所を、プレイヤーは踏む可能性がある。
人類、知性の使いどころを間違えるな。
先住民には慎重な歩きモーションがあり、爆発地帯では歩き方が変わる。
そのため、彼らは爆発を避けられる。
ただし、それは現地の知恵であり、プレイヤーは再現不可。
再現不可。
ゲームなのに、見て覚えれば同じように歩けるわけではない。
文化と身体知の差を、システムで突きつけてくる。
すごい。
すごいが、これをゲーム攻略説明で読むとは思わなかった。
彼らが飛び道具を避ける理由も、ここで改めて説明されていた。
飛んでいった武器が危険箇所に乗り、重さがかかって誘爆する事故を恐れるため。
なるほど。
石でも矢でも、地面に落ちれば圧力になる。
しかも、どこに落ちるか完全には制御できない。
だから飛び道具そのものが文化として育ちにくい。
やっぱりこのゲーム、山と文化の接続だけは異様に丁寧だ。
ハリウッド方面では崖から片足出しているのに、こういうところでは足場を一本一本確認してくる。




