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番外編5 槍を向ける人々と、祈りの変な効き目

 先住民についてのゲーム説明も、なかなか濃かった。


 彼らは山中に集落を持っている。


 ガルダは彼らの聖地。


 侵入者であるプレイヤーを排除し、聖地を守るのが攻撃動機になっている。


 ここだけ読むと敵キャラだ。


 しかし、実際にはもっと複雑だった。


 難易度ハイキングでは、近づいてくるが攻撃はされない。


 アドベンチャー以上でも、攻撃密度は比較的緩慢で、囲まれて袋叩きにされる場面はレア。


 つまり、ゲーム内でも「問答無用で殺す集団」としては作られていない。


 彼らは、槍、斧、剣、棍棒などを使う。


 弓矢や投石のような飛び道具を使う者は、非常にまれ。


 天然地雷の危険を知っているため、制御の難しい飛び道具を嫌う。


 文化として飛び道具が未発達なので、ごく少数出てくる使い手も攻撃精度は低い。


 この設定、前に調べた文化史とちゃんとつながっている。


 投げたものが危険地帯に落ちるだけで爆発する可能性がある土地。


 そこで飛び道具が発達しにくい。


 合理的だ。


 ゲームとしても、プレイヤー側に殺傷手段が乏しい。


 飛び道具もない。


 言語コミュニケーションも使えない。


 つまり、姿を晒さないと和解できない。


 そんな相手が遠距離から矢を当ててきたら、強すぎる。


 そこで文化設定とゲーム調整が一致している。


 気持ち悪いくらい丁寧だ。


 先住民は、猛禽類を山の精霊として信仰している。


 その姿を見ると、太陽の光を浴びる位置で腕を広げ、祈りを捧げる。


 そして、彼らが盛んに祈りを捧げるほど、猛禽類はプレイヤーを襲わなくなる。


 ここで公式説明は、さらっと変なことを言う。


 彼らの祈りがどう役に立ったかは考えるべきではない。


 考えるべきではない?


 考えるだろう。


 考えさせる書き方をしているだろう。


 魔法はない世界だ。


 祈ったから鳥が神秘的におとなしくなる、という話ではないはずだ。


 では何か。


 猛禽類は、人間の祈りの姿勢を見慣れている?


 腕を広げる動作に反応する?


 先住民が祈る場所やタイミングが、鳥の習性に合っている?


 太陽の光を浴びる位置が関係している?


 考え始めると、怖い。


 公式が考えるなと言うときは、大抵、そこに骨が埋まっている。


 本質は文化交流。


 だが、ゲームとしてはちゃんと危険回避にもなっている。


 現地の祈りを尊重すると、生存率が上がる。


 良い設計だ。


 良い設計なのに、説明文の奥が湿地みたいに泡立っている。

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