番外編4 落石は山の舌打ち
落石は、危険地帯で発生する。
崩れやすい地質があり、落石前の兆候がある。
小石が先に動く。
岩肌の音が変わる。
割れ目がある。
上部に不安定な岩がある。
知っていれば、来る前に読めることもある。
これもまた、山の警告だ。
問題は、俺がそれを警告として受け取れるかどうかである。
難易度ハイキングとアドベンチャーでは、落石の有無が岩肌でかなり明確に分かれている。
しかも落石のないエリアのほうが広い。
つまり、「ここは危ない場所です」と区切られた危険地帯として出てくる。
まだ人間に配慮している。
しかし、それより上の難易度では話が変わる。
頻度こそ違うが、絶対的な落石安全地帯は山頂以外に存在しない。
山頂以外。
そこまで行かないと安全ではない。
いや、山頂が安全というのも変だ。普通、山頂だって危険だろう。だがガルダ基準では、落石だけ見れば山頂が比較的マシらしい。
感覚が狂う。
ダメージ判定型なので、必ず即死ではない。
ただし、事実上確殺となる大岩もまれにある。
まれに。
またその言葉だ。
ガルダの「まれ」は信用ならない。
さらに、猛禽類や先住民の行動で落石が誘発されることもある。
ただし、彼らが意図的に落石を攻撃手段にしてくるわけではない。
鳥が飛ぶ。
岩場に衝撃が走る。
石が落ちる。
先住民が移動する。
足場が崩れる。
結果として落石が起きる。
山は連鎖する。
誰も狙っていなくても、人が死ぬ。
現実味がありすぎて嫌だ。




