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番外編2 雪崩は教材にもなるし人も殺す

 危険要素の説明を読み始めて、最初に出てきたのは雪崩だった。


 まあ、雪山だしな。


 と思った俺は、もうだいぶガルダに慣らされている。


 雪崩は、音と地形である程度危険を予測できるらしい。


 完全な不意打ちは稀。


 雪面の音。


 風の向き。


 斜面の角度。


 積雪の層。


 見ればわかる人には、兆候が見える。


 俺にはまだ雪が白いことしかわからないが、プロの目にはいろんな情報が見えるらしい。


 そして、巻き込まれると基本的に即死。


 知ってた。


 山は予兆を出す。


 見逃すと死ぬ。


 このゲームの哲学が、もうその一文に詰まっている。


 ただし、難易度ハイキングでは少し優しい。


 序盤の危険な斜面には、立入禁止ロープが張られている。


 俺は最初、それを初心者向けの親切表示だと思っていた。


 実際、親切ではある。


 だが公式解説を読むと、親切の密度がおかしかった。


 このロープは、複数のプロ登山家が監修している。


 しかも「観察できる状況から合理的に予想できる危険ライン」を正確になぞっている。


 安全側に甘くずらしていない。


 危険側に意地悪くずらしてもいない。


 プロの目で見た、ここから先は危ない、という線を引いている。


 何その教材。


 ゲームのロープにそこまで背負わせるな。


 しかも、ゲーム内の雪崩判定そのものとは完全には一致しない。


 あくまで、プロの観察結果としての危険ライン。


 現実なら、ロープの外でもまだ安全な場所があるかもしれない。逆に、ロープの手前でも実は危ない場合があるかもしれない。


 でも最低難易度のゲームバランスとして、ロープの内側で雪崩に遭った場合は、吹き飛ばされてダメージ判定だけで済む。巻き込まれ即死にはならない。


 つまり、ロープは安全装置であり、教材であり、現実の曖昧さの翻訳でもある。


 運営、山にだけは本当に真面目だ。


 ロープ一本に、プロ登山家の思想が入っている。


 ハリウッドの顔面には雑なのに、雪崩ロープには魂を込めるな。

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