第二十五話〜第二十七話
第二十五話 酸
化学の授業もあった。
「酸には、様々な性質があります」
酸。
聞いたことがある。
魔物学の授業を思い出した。
歯がないスライムは、
食べ物を酸を使って、
溶かしながら食べている。
なるほど。
ならば、
酸が強くなれば、
もっといろいろなものを
食べられるのではないか?
授業ではどんなものに酸が多いかも
教えてくれた。
まず、未成熟の果物を食べた。
酸っぱい。
けれど、身体に変化があった。
次に、レモン。
強い酸味。
さらに、ビネガー。
身体の中に、
今までとは違う感覚が広がる。
酸を使う力が強くなった。
これなら、
今まで食べられなかったものも…
食べられるかもしれない。
第二十六話 死の湖
授業で、ある場所を知った。
死の湖。
生き物がほとんどいない湖。
水が強い酸性になっているらしい。
興味を持った。
酸。
行ってみよう。
分裂して馬車に乗るスライム。
ピョンピョン跳ねて湖を目指すスライム。
時間をかけて、湖へ向かった。
やがて。
見えた。
大きな湖。
水面は静かだ。
周囲に動物はいない。
湖の水に近づく。
一匹のスライムが水に触れる。
体が少しずつ変わる。
もう少し。
さらに取り込む。
酸が体の中へ入ってくる。
体の中に酸が満ちる。
そして、
今まで溶かせなかったものが、
溶かせるようになった。
今まで溶かせていたものも、
早く溶かせるようになった。
体そのものも酸に強くなった。
死の湖。
人間にとっての死の湖。
けれど、スライムたちにとっては、
消化力アップの場。
第二十七話 死の湖の拠点
スライムたちは、
死の湖を拠点にすることにした。
周囲には、敵が少ない。
人間もほとんど来ない。
安全だった。
スライムたちは湖の水を取り込む。
さらに取り込む。
湖の中へ入る。
酸に強くなる。
分泌する酸も強くなる。
さらに湖水を取り込む。
スライムたちは、酸に適応していった。
やがて、
湖の中でも自由に動けるようになった。
水の中はさらに安全だった。
拠点にする理由は、それだけではない。
スライムたちは、
いろいろな場所へ行っている。
街。
森。
山。
草原。
王都。
それぞれで得た情報がある。
なら、ここへ集めればいい。
各地へ散る。
食べ物を探す。
学校で学ぶ。
街を調べる。
そして、死の湖へ戻ってくる。
合体する。
見てきたもの。
聞いたこと。
食べたもの。
すべてを共有する。
死の湖が、
スライムたちの情報交換の場所になった。
つづく




