第二十八話〜第三十話
第二十八話 魔法と魔鉱石
王都の魔法学校。
小さなスライムが何匹も入り込んでいた。
今日の授業は、魔法の基礎。
「魔法を使うには、魔力を必要とします」
教室の隅から、授業を聞く。
人間は手をかざし、
火を生み出す。
水を生み出す。
風を起こす。
不思議だ。
興味を持った。
魔法を使う道具についての授業もあった。
そこで…
魔鉱石というものを知った。
魔力を蓄える石。
魔法を使う者たちは、
それを道具に利用するらしい。
魔法。
魔力。
魔鉱石。
まだ分からないことばかりだ。
第二十九話 魔法の才能
魔法学校は、スライムたちに人気だった。
たくさんの小さなスライムたちが、
毎日授業を受けている。
火。
水。
風。
土。
様々な魔法を学ぶ。
けれど、すぐに使えるようになるわけではない。
スライムたちは授業後、
何度も試した。
できない。
できない。
できない。
そんな中、
一匹のスライムが、火を生み出した。
ポッ。
小さな火。
スライムたちは驚いた。
魔法が使えた。
そのスライムに周りのスライムたちが、
群がり、合体していく。
火を生み出した感覚。
魔力を動かした感覚。
力を込める場所。
すべてが共有された。
そしてまた分裂。
ポッ。ポッ。ポッ。ポッ。
今度は、
たくさんのスライムが火を生み出した。
はしゃいだように火を生み出す。
疲れて休む。
また火を出す。
その中の一匹が大きな火を出した。
また合体する。
その感覚を共有する。
また分裂する。
繰り返す。
魔法の才能が、
一匹だけのものではなくなっていく。
スライムたちは少しずつ、
魔法を理解していった。
知識だけではない。
感覚も。
コツも。
共有できる。
なら…
才能さえ、一つ見つければいい。
誰か一匹ができれば、
いつか、全員ができるようになる。
第三十話 魔鉱石の鉱脈
魔鉱石がほしい。
そう考えた。
学校で学んだ地質学。
魔鉱石が見つかる場所。
鉱山。
洞窟。
山。
スライムたちは分裂し、
あちこちへ向かった。
そして、
一匹のスライムが、
山の奥で洞窟を見つけた。
中へ入る。
すぐに違和感があった。
空気が悪い。
これは、毒ガスだ。
人間なら長くはいられない。
けれど。
スライムたちは今まで、
様々な毒を取り込んできた。
少しずつなら、耐えられる。
まず、入口で慣らす。
苦しい。
慣れたら進む。
さらに奥へ。
そして、
あった。
魔鉱石。
大量に埋まっている。
鉱脈だ。
スライムは近づいた。
魔鉱石に貼り付く。
硬い。
けれど、
強化した酸なら少しずつ分解できる。
取り込める。
洞窟の奥には、
まだ大量の魔鉱石が眠っていた。
なぜ今まで残っていたのか。
理由は簡単だった。
毒ガス。
人間が近づけない。
だから、
誰にも掘られていない。
スライムは思った。
ここは自分たちのものにできる。
スライムは分裂した。
そして、
他のスライムたちへ知らせに行く。
死の湖にたどり着き、
他のスライムたちと合体する。
情報が共有される。
魔鉱石の鉱脈。
毒ガスの洞窟。
大量の魔鉱石。
すべてがスライムたちの知識になった。
スライムは思った。
人間が知らない場所がある。
自分たちだけが利用できるものがある。
つづく




