第十三話〜第十五話
第十三話 襲われない身体
スライムたちは毒を取り込み続けた。
少しずつ。
少しずつ。
駆除薬。
キノコ。
毒草。
カエル。
小さなヘビ。
少しずつ。
スライムたちの身体は変わっていった。
そして、ある日。
犬が近づいてきた。
犬が匂いを嗅ぐ。
鼻を近づける。
そして、
離れていった。
もう一度、近づいてくる。
けれど、やはり離れる。
どうやらスライムたちは、
犬にとって好ましくない存在になったらしい。
スライムたちは嬉しかった。
これなら襲われない。
次は猫だった。
猫がこちらを見つける。
ゆっくり近づいてくる。
猫が身体を低くする。
そして…
口を開いた。
噛みつこうとする。
けれど、
直前で止まった。
猫はスライムを見つめる。
そして、後ろへ下がった。
もう一度近づくことはなかった。
成功した。
少なくともこの街の犬や猫には、
簡単に襲われなくなった。
少しだけ強くなった。
だが、まだまだ危険はある。
人間もいる。
知らない生き物もいる。
けれど、
もう、ただ逃げるだけの存在ではない。
第十四話 牛舎の恵み
街を調べていると、甘い匂いがした。
いや。
甘いというより、濃い。
匂いを追った。
たどり着いたのは、牛舎。
大きな生き物が何匹もいる。
牛。
その近くに、
白い液体が入った容器が置かれていた。
少しだけ取り込んだ。
体が満たされる。
これは、今まで食べたものとは違う。
体が大きくなるだけではない。
生命力が増えている。
毒は、外敵から身を守るため。
白い液体は、生命そのものを強くするため。
食べるものによって、変化する方向が違う。
これは重要だ。
白い液体は、まだたくさんある。
スライムは分裂して仲間に伝えに行った。
そして集まったスライムたちは、
少しずつ白い液体を取り込む。
スライムたちは、また強くなった。
食べる。
増える。
変わる。
そして、生き残る。
この繰り返しが、
スライムたちを強くしていく。
第十五話 牛乳泥棒
翌朝。
街に出た。
すると、
あった。
白い液体。
家の前。
店の前。
あちこちに置かれている。
昨日の牛舎だけではない。
街のいたるところにある。
スライムたちは取り込む。
やはり、体が満たされる。
生命力が増えている。
スライムは考えた。
毎朝、白い液体が置かれている。
なぜ?
しばらく観察する。
人間が、白い液体を置く。
しばらくすると、人間が回収していく。
なるほど。
人間は毎朝、白い液体を運んでいるらしい。
ならば、
人間が回収する前にいただけばいい。
一匹ずつ、街へ散っていく。
家の前にある白い液体。
店の前にある白い液体。
見つけるたびに取り込む。
毎朝。
牛乳をいただく。
スライムたちは少しずつ強くなっていった。
人間は不思議そうにしている。
牛乳が消えている?
人間たちは知らない。
街のどこかに、
牛乳を盗み続けるスライムがいることを。




