第十話〜第十二話
第十話 重なる記憶
スライムは、貯蔵庫を見張っていた。
一匹のスライムが戻ってきた。
身体を触れ合わせる。
合体する。
その瞬間、
知らない景色が浮かんだ。
街の中。
人が歩いている。
大きな建物。
見たことのない道。
スライムは動きを止めた。
合体すると、身体だけではない。
記憶も一つになる。
経験も。
知識も。
すべてが入ってくる。
別のスライムが見つけたものも、
知ることができる。
今までは、
意思を持たないスライムや、
同じ行動をしてたスライムとの
合体だった。
別行動をした、
意志のあるスライムとの合体は、
初めてだったのだ。
記憶を共有できる事を知ったスライムは、
分裂を繰り返したのちに、
たくさんのスライムと合体して、
情報を広めた。
スライムには発見したことを
みんなに教えたいという感情があった。
第十一話 街の生き物
街には、人間以外にも生き物がいた。
最初に見つけたのは、ネズミだった。
小さい。
素早い。
そして、食べ物を探している。
少し離れた場所から観察した。
ネズミが落ちていた穀物を食べる。
スライムと同じだ。
スライムが近づこうとした。
けれど、
ネズミが逃げた。
速い。
次に見つけたのは、猫だった。
屋根の上を歩いている。
ネズミを見つけると、静かに近づく。
そして捕まえた。
強い。
スライムは猫を見ながら考えた。
あれに襲われたら、危ない。
今度は犬がいた。
大きい。
力も強い。
犬は街を歩く人間についていく。
人間と一緒に暮らしているらしい。
スライムは三種類の生き物を見た。
ネズミは小さく、速い。
猫は静かで、強い。
犬は大きく、人間と共にいる。
スライムは思った。
街には食べ物も危険も多い。
スライムは遠くから犬を見つめた。
第十二話 毒
スライムはネズミの駆除剤を見つけた。
食べ物ではないことは分かった。
匂いが違う。
多分毒だ。
毒。
これを食べれば、死ぬかもしれない。
怖い。
けれど、
猫。
犬。
この街には、
スライムより強い生き物がいる。
もし襲われたら?
逃げるだけでは、いつか殺られる。
でも、
毒を体に取り込むことができたら?
スライムは分裂して、
一匹が毒を取り込んだ。
しばらく待つ。
動けない。
でも、死んでない。
もうしばらく待つと、
動けるようになった。
身体に少し違和感がある。
それでも動ける。
スライムは理解した。
毒に適応したのだ。
なら、もっと試せばいい。
猫に襲われない体。
犬に襲われない体。
生き残るための体。
毒に適応したスライムは分裂して、
みんなに知らせた。




