第七話〜第九話
第七話 街の中のスライム
スライムたちは排水口に入った。
暗い。
狭い。
けれど、スライムたちには問題ない。
さらに、奥に進む。
すると、
一匹のスライムがいた。
排水路の隅で、汚れたものを取り込んでいる。
意思を持たないただのスライム。
体を触れ合わせ、ゆっくりと混ざる。
合体した。
大きくなった。
次のスライムを探す。
いた。
またいた。
街の排水路には、スライムがたくさんいた。
一匹ずつ合体していった。
身体が大きくなる。
分裂する。
少しずつ、増えていく。
街は広い。
スライムも多い。
多分、食べ物も多い。
スライムたちは思った。
ここなら、
もっと増えることができる。
第八話 変化
街のスライムと合体し続けるうちに、
スライムたちは違和感に気づいた。
排水溝の汚れを取り込んでも、
以前ほど苦しくない。
合体したスライムたちは、
汚れた水、
腐った食べ物、
濁った環境でも生きていた。
この街のスライムは、
この環境で生きるために変化していた。
そして、
その身体を取り込んだスライムたちは、
街の環境にあった体を手に入れた。
第九話 貯蔵庫
排水溝を進んでいると、流れが変わった。
食べ物の匂いが強い。
スライムたちは匂いを追った。
しばらく進むと、壁の隙間があった。
身体を薄くする。
通り抜ける。
そこには…
大量の食べ物があった。
果物。
野菜。
穀物。
壁際には木箱がいくつも並んでいる。
貯蔵庫。
スライムたちは理解した。
人間は食べ物を、
こうして保存しているらしい。
これはいい。
たくさん食べられる。
みんなで食べる。
食べる。
食べる。
食べる。
身体がどんどん大きくなる。
けれど、
全部は食べない。
スライムたちは考えた。
ここに食べ物があるなら、しばらく通える。
すべてを食べ尽くす必要はない。
いざという時のため、
食べ物を残しておくことも大切だ。
スライムたちは貯蔵庫の隅に集まった。
そして、身体を小さく分裂させる。
小さくなったスライムたちが、
別々の場所へ散っていく。
食べ物を探す。
街を調べる。
排水溝を進む。
そして
貯蔵庫を見張る。
スライムたちは初めて、
役割というものを考えた。




