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カミツメ!  作者: ヤク男
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第三十四話〜第三十六話

第三十四話 情報の差


人間に襲われたスライムたちは、


何が起きたのか。


どこで襲われたのか。


どんな武器を持っていたのか。


すべてを他のスライムに伝える。


人間が近づいてきた。


逃げる。


別の場所では、戦う。


その結果も共有する。


スライムたちは、失敗を隠さない。


負けたなら、負けた。


危険なら、危険。


すべてを伝える。


一方、人間は違った。


ある場所で、


スライムを攻撃して、


返り討ちにあった人間がいた。


でも、報告しない。


恥ずかしいから。


怒られるから。


自分の失敗だと思われたくないから。


人間には、プライドというものがある。


人間は、知っていることを隠す。


だから、


同じ失敗を、別の人間が繰り返す。


スライムは思った。


情報を共有できることは、強い。


一匹が得た経験を、


全員の経験にできる。


人間は、一人の経験を、


一人のものにしてしまう。


この差は大きい。


スライムたちは今日も合体する。


そして、すべてを伝える。


良かったことも。


悪かったことも。


失敗も。


勝利も。




第三十五話 先制


兵学校。


士官学校。


そこで学んだことがある。


戦いでは、先に動くことが重要らしい。


先制攻撃。


スライムたちは考えた。


人間はスライムを狩っている。


なら…


こちらから動く。


夜。


人間が活動を止めている時間。


スライムたちは動き始めた。


一つの街ではない。


二つでもない。


すでに、スライムは星の数ほどいる。


街。


村。


街道。


鉱山。


森。


人間が暮らす、あらゆる場所に。


小さなスライムたちが入り込んでいく。


武器を見つける。


剣。


槍。


弓。


鎧。


盾。


杖。


人間が戦うために作ったもの。


スライムたちは、それを、


溶かしながら取り込む。


少しずつ。


ひとつずつ。


食べ尽くしていく。


武器庫。


倉庫。


兵舎。


各地で同時に。


スライムたちは止まらない。


人間が気づいたときには、


もう遅い。


剣がない。


槍がない。


鎧がない。


盾もない。


戦うための道具が、消えている。


そして、


どこで何を食べた。


どこに何があった。


どこで人間に見つかった。


すべてが共有される。


スライムたちは、一つの軍隊ではない。


もっと多い。


もっと広い。


そして、


一匹の戦いは、


一匹だけの戦いではない。


星の数ほどいるスライムたちが、


同時に動く。


夜が明ける。


人間たちは、異変に気づく。


もう、遅い。




第三十六話 戦う理由


朝。


人間たちは混乱していた。


武器がない。


防具もない。


倉庫も空になっている。


けれど、


畑を作る人間。


食べ物を作る人間。


道具を作る人間。


薬を作る人間。


学校で教える人間。


そういう人間は、今まで通りだった。


戦うためのものだけを食べた。


人間たちは考え始めた。


なぜスライムは、武器だけを狙ったのか。


分からない。


そして、武器を失った人間たちは、


スライムたちを追えなくなった。


スライムたちは、戦いたいわけではない。


生きたいだけだ。


食べたい。


増えたい。


知りたい。


そのために、必要なものを残す。


必要のないものを食べる。


スライムたちは、そう決めた。


だが、


状況を受け入れられない人間もいる。


武器を失った兵士たちが、


街の外へ集まり始めている。


何かを作ろうとしている。


一部の人間は、


武器がなくても戦う気らしい。


つづく

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