【資料】群れのロジック
山崎の夏休み ep-3でダイジェストだった、山崎の研究報告の中身です。
ep-3の碧のセリフと合流します。
入れると長くなり過ぎるのですが、3章に必要な内容なので要約してねじ込むこともしたくなかった為、丸々切り抜いて3章投稿直前に出すことにしました。
山崎:「今年の夏休みでの研究は、禍津鰐が“群れ”で出た場合に対応するための研究をしました。
“桃”参型【祓】は食べさせた後、弐型のようにスパイクで注入された睡眠薬により数分後に極端な運動の低下が起き、バルーンが開きます。
海に入らずに対応出来るため、弐型のように即効性を重視する必要がないので、生かして捕獲も狙えます。
そして、いくつもばら撒いて複数頭を捕獲することを想定していますが、作動部保護機構を損傷させないため、他いくつかの理由で綺麗に口に入る必要があります。
そのために、群れで奪い合うように食べるのではなく、個別に確実に食べさせる方法を考えました」
教授:「群れと言っても、捕食者と被捕食者の群れでは性質の異なる部分があるが、水族館での研究では後者である小魚の群れがメインではないのかな?」
山崎:「そうです。
イルカなんかは複数頭いますが、主な研究は小魚でした。
なので海獣類の群れに関しては、稲垣さんの書斎で読んだ既存の研究がメインです。
また、今まで学んだこと、夏休み前に調べたこと、書斎で読んだ小魚の研究資料を、水族館での研究の基礎にしました」
教授は吟味するように頷いている。
山崎:「禍津鰐は頂点捕食者ですが、群れでの狩りをしているであろうことも示唆されています。
小魚の群れのような、意志のない状況対応型の群れではなく、意志を共有した群れだと想定しています。
ですが、間の細かい行動まで全て指示があるわけではなく、状況による方向転換などは、小魚の群れと同様の動き方をするのではないかと考えて小魚の群れを研究しました」
教授の顔が、満足したような表情に変わる。
稲垣:「面白い発想だ。
ハッキリと白黒つけて分類しがちな、頭の固い研究者にはない視点だな」
山崎:「詳細は現在まとめている資料を共有させてもらいますが、3つのタイミングが狙い目だと考えています。
1つ目は、何も目的を持たない、自由遊泳。
2つ目は、目的に向かう、状況対応型の群れ。
3つ目は、目的を捉える、一番集中する瞬間。
1つ目ですが、イワシも常にトルネードの状態ではなく、光などの刺激を与えてあの動きをさせています。
捕食者なら余計に、狩り以外ならば分断のチャンスになると思います。
次に3つ目は、禍津鰐が周りへの注意を最も失うタイミングなので、そこで強烈な音とノイズを与えることが出来れば、分断のきっかけを作れるのではないかと考えました」
碧:「3つ目は、攻撃の瞬間に隙を見せたヒソカのプレートを狙うシーンのオマージュですね。
伊達にハンター✕ハンターは見てねぇぜ、ということですね」
オンラインで講義して貰っている時、課題を出されてこなしている間に、画面に映っている本棚の内容を把握されているんだろう。
そういえば、以前碧の部屋が見えてしまった時、棚にキルアのフィギュアがあったような気もする。
山崎は少し遠い目をしながら頷く。
山崎:「無人艇を逃げさせて、黄泉の国への入り口に近いところで追いつかせるようにして、捕まる直前で音とノイズを食らわせるというのが、一番作戦を立てやすいと思います。
音は、エコーロケーションを使えないよう、聴覚を麻痺させる強いものを。
ノイズは、少し弱めに設定して、完全な機能不全にはさせません。
“桃”は本来微弱な振動とノイズで禍津鰐だけを誘うものですが、群れを相手にする場合は、臭いをつけておくことも視野に入れて、機能を少し麻痺させた禍津鰐に食べさせるように狙います。
群れの研究や分断に関して話すと長いので、今日はここまでです」
碧:「さすが蘭さんの教え子です。
山崎くんも、立派に研究を終えて来ましたね。
師匠として、鼻が高いです」
山崎:ヒソカのプレートを奪ったゴンも、その後の隙を狙われて吹き矢にやられたような…
本編、3章は今晩21時から再開します。




