↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禍津鰐《メガロドン》──深層の目覚め  作者: 麦野ライト
第2章 深層の顕現

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
68/96

第23話 決戦

山崎:「現在の音響センサーの合致率82%…。

やはり、濁りも影響しているようです。

至近距離の潜水艇位置は合致率99%ですし、“クイーン”に関しても、距離が近くなるにつれて精度は上がって来ています。

1000メートルを切る頃には、AIによる補正が追いつくと予想しています」


海自:『承知した。

今からソナーを起動すれば、作戦にとってノイズになりかねない。

80%の誤差であれば囮の安全に支障は出ない。

“桃”射出の為の精度確保に注力してくれ』


山崎:「了解しました。

500メートルまでの間に補正の精度を上げます」


海自:『承知した。

およそ1分後、潜水艇直上を海雲丸が通過する。

その時点で“クイーン”が1000メートル以内に入る。

そこを目安としてくれ』


山崎:「了解しました」





海自:「海雲丸が潜水艇直上を通過する」


山崎:「潜水艇内、振動を確認しました。」


MAPには各センサーから取得した、“クイーン”を示す赤い点が3つ、少しずつ重なるように表示されている。

“クイーン”と潜水艇の距離を示す数字は、ハンチングしながら、徐々に小さくなる。


合致率87%


距離800メートルを切ったところで、響はPCのモニターを見るのをやめ、ヘッドセットを装着する。


700メートル


600メートル


500メートル。


響:「“桃”弐型【刃】発射します!」


白州:「“桃”弐型【刃】、自動追尾も発射済み。

潜水艇、モーター起動します」


MAPに表示された合致率が96%に跳ね上がる。

赤い点がほぼ1つの点に収束すると同時に、潜水艇側に46メートル瞬間移動する。


山崎:「“クイーン”、実体は今までの情報の約50メートル手前です!」


誤差は最悪の形で現れる。

およそ19秒で接触するはずが、誤差の収束と同時に約2秒分、手前にコマ送りのように跳んで現れた。


響:「大丈夫です。

もうサーマルカメラで実物も見えてます」


複数のソナー情報がAI PCに流れ込み、“クイーン”に加えて“桃”の補正も始めたことで、市販品を遥かに上回る100TOPSのNPUの使用率が跳ね上がる。

eGPUのファンが悲鳴のような音を立てて熱を逃がし、響のヘッドセットの中では山崎の書いた演算コードが、濁った海の中に『赤いクイーンの虚像』を描き出し、そこにサーマルカメラの映し出す“クイーン”の実体が重なっていく。

知多の作成していた地形データが、ARのワイヤーフレームとして響に道を示す。

処理によるラグは0.2秒──。響のイメージ力が、その僅かなズレすらも本能で補正する。



モニター上から、自動追尾の“桃”の信号が途中で消える。

サーマルカメラの標的と通常カメラの映像を統合して動作する、AIによる追尾。

濁りで通常カメラが機能しないことで、岩盤を認識出来ずに衝突。


1基の桃の消失で、山崎が祈るようにモニターを覗き込む。


響:「着弾しました」


MAP上の“クイーン”と“桃”の点が交わる。


静だったイヤフォンに、会議室で湧き上がった歓声が響く。


ヘッドセットを外した響から笑顔がこぼれるが、冷や汗を垂らしながら操縦を続ける白州と、真剣な面持ち(おももち)でモニターを覗き続ける山崎を見て顔を引き締める。


通常兵器と違い、即効性のない“桃”を受けた“クイーン”は、それを放った潜水艇に標的を変えて迫っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。