第51話 リベンジ
「へぇ、随分と生ぬるい攻撃だな」
立派な銃声が轟いたがその弾丸の軌道は分かりやすく、クウコたちに当たりはしなかった。
「型落ちの骨董品ですから。避けれて当然です。というかこの程度でいちいち反応しないでもらいたいです」
ルールーは時間をかけて弾丸を装填して、ミースに向かって銃口を向ける。
「もっとスピーディに弾込めろや」
ルールーが発砲すると同時に接近していたミースが殴りかかる。発砲された弾は右へ左へと体を傾けるだけで避けられてしまった。
「もっとスピーディに殴ってください」
ミースが拳を固めると同時にルールーの重いパンチが直撃する。しかしミースはその程度で怯むことなく、固めていた拳をルールーの顔面に叩きつける。
「おっとっと…」
ルールーは殴られた勢いを利用してミースとの距離を一気にとる。しかし建物自体が狭いということもありすぐに距離を詰められてしまった。
「相手は一人じゃないよ」
クウコが高速で回り込みながらルールーに蹴りかかる。それに続いてビリー、アティアもルールーに襲いかかる。
「アンタはアタシらを無視していればよかったものを…四対一なんて無謀だと思わなかったのかい?実際このざまだし」
やはり数的に不利すぎるルールーの体に傷が増えていく。ルールーは四方から飛んでくる攻撃を必死で受け止めながら反撃の隙を窺う。
(…ここだ)
ルールーは大きく跳びあがり、背後を塞ぐビリーを思いっきり蹴り倒し、左右から向かってくるアティアとミースの拳を受け止める。
「そうしちまえばアタシの攻撃をどうしようもできないだろう?」
正面からクウコの重い蹴りが腹部に直撃する。空中でモロに食らったルールーは勢いよく吹き飛んだ。ルールーの体は倒れるビリーの上を通過し、ドシャンと壁に激突する。
「ははっ、窓際にこれた…」
ルールーは腹をおさえながら割れた窓に身を乗り出して笑う。
「くくっ、武器が到着しました。あなたたちは今、最後のチャンスを失った。ここから私の、一方的な虐殺が始まりますよ」
ルールーは窓の外に向かってゆっくりと倒れていく。
「なっ…!飛び降りた!?」
ただ単純に飛び降りただけなワケないことを理解していたクウコは慌てて窓の外を覗き込む。
「…消えた、みてぇだな」
地面を見渡してもルールーの姿はなかった。嫌な予感がした四人は黙ったままお互いに背中を合わせて全方位を警戒する。
「…音が、するよ。上から…」
アティアの言葉に一斉に頭上に耳を傾ける。指摘通り確かに上から音が聞こえる。その音は徐々に近づいてくる。
「この音は…エンジン音?」
天井のコンクリートにヒビが入り、微かに聞こえていたエンジン音が大きくなっていく。
「こうなれば、もう私から逃げられませんよ」
ドガンッとコンクリートを破り、コンクリート片と共にバイクに跨ったルールーが降って来た。
「…ハッ!その登場にはちと驚かされちまったけど、結局またバイクかよ」
バイクに乗ったルールーとの戦いで勝利したビリーは一歩前に踏み出す。
「おや、前と同じと思ってもらったら困ります。先日のはSS3024でした。そして今回のはD.D.D4214です」
「…はぁ?何が言いてぇ?」
ルールーはバイクのエンジン音で威嚇しながらため息をつく。
「まぁ、あなたに分かりやすいように言えば前回のは偵察用だったということです」
ルールーはそう言うと勢いよくバイクを発進させる。そのバイクはマフラーから炎を吐き出しながらビリーと正面から激突する。
(なっ!?いつの間)
クウコたちが瞬きをした瞬間、目の前からルールーとビリーの姿が無くなっていた。
「そしてこれは戦闘用。どうですか?目で追えなかったでしょう」
バイクの前面に張りついていたビリーのおでこをペコンと叩く。そして勢いのまま外に飛び出したルールーはバイクを一回転させてバイクにへばりつくビリーを振り落とす。
「まずは一匹」
ルールーはビリーから目を離して建物の中にいる三人を指さす。
「覚悟してくださいね。全員ブチ殺すんで」
ルールーはそう言ってアクセルを回し建物の中に突っ込んでいく。
「おいおい、マジかい…!」
クウコたちがバイクの圧倒的スピードに驚いている暇もなく、エンジンの咆哮とともに黒い車体が視界いっぱいに迫ってくる。




